これぞキングオブチラリズム!「歌麿チラ見せ美女図鑑」【誰でもミュージアム】

この美術館の館長

今から約230年前、美人画で一斉を風靡した浮世絵師・喜多川歌麿。歌麿が描いた美女たちは現代の私たちが見ても、アイドルや女優の写真集に劣らない、思わずうっとりするほどの色気と艶が滲み出ています。そんな歌麿が描く女性たちの美しさはチラリズムにあるようです。江戸時代に描かれた美人画の中から厳選して「歌麿チラ見せ美女図鑑」をお送りします。

歌麿チラ見せ美女図鑑1

喜多川歌麿 1790年 メトロポリタン美術館

お風呂上がりの女性をバストアップで描いた歌麿。ほっそりとした首元にふっくらとしたお胸がチラリ。不思議と女性らしい肌質とお風呂上がりの火照っているような様子も伝わってきます。
歳上のお姉さんの不意打ちショットを見ているような気持ちになりましたが、皆さんはどう感じるでしょうか。

歌麿チラ見せ美女図鑑2

喜多川歌麿 1795年 メトロポリタン美術館

恋人同士がイチャイチャ……女性の胸元に手を入れる男性。ギリギリ見えないこのチラリズムが心をくすぐられます。
女性の足下には思わず落としてしまったような団扇が描かれています。不意打ちの出来事だったのでしょうか。そんな妄想を膨らませてくれるのも歌麿の絵の魅力な気がします。

歌麿チラ見せ美女図鑑3

喜多川歌麿 1796年 メトロポリタン美術館

お風呂上がりの若い女性たちを描いた作品。年齢は10〜20代前半くらいでしょうか。胸元チラリは多いですが太ももチラリは珍しいかも? 猫を使って描かれたチラリズムがいやらしさを感じさせません。

歌麿チラ見せ美女図鑑4

喜多川歌麿 1790年 メトロポリタン美術館

だ、大胆! チラリズムというか、お腹のあたりまで見えています。鏡に映る自分をどんな気持ちで見つめているのでしょうか。表情からは、大人の余裕のような、落ち着きを感じます。

歌麿チラ見せ美女図鑑5

喜多川歌麿 1793–94年 メトロポリタン美術館

透きとおったピンク色の帯の向こうに見える、豊満な胸! この絵から感じるのはいやらしさというより、色っぽ可愛い……そう感じさせるのも歌麿のテクニック! 帯を咥える口元や帯を掴む小さな手の描写、首元から右肩にかけての丸っとした体のラインなど、女性の魅力がふんだんに散りばめられています。それにしても、猫を使ってチラリズムを表現するのが上手ですね!

歌麿チラ見せ美女図鑑6

喜多川歌麿 1793-1804年 ニューヨーク市立図書館

浴衣を着た湯上りの女性の振り向きショットを描いた作品だそうです。こちらも片胸がチラリ。うなじのほつれ毛もセクシーです。現代でも、色気を出すようあえてまとめ髪を崩してつくる後れ毛スタイルが流行っていますが、その感覚は江戸時代も同じだったのでしょうか。S字カーブも女性らしくて、素敵です!

歌麿チラ見せ美女図鑑7

喜多川歌麿 1795-1796年 シカゴ美術館

ふわっとした優しい色の着物の合わせ、透きとおった櫛、左右に美しく鬢(びん)が広がった髪型、そしてウィリアム・モリスのような背景。チラリズムだけでなく、女性の好みがふんだんに描かれているところも魅力です。まるで雑誌の表紙を思わせるようなお洒落で可愛いこちらの作品に、私は一瞬で心を掴まれてしまいました。
ちなみにこれは私の勝手なイメージですが、高くてすっとした鼻が長澤まさみさんにそっくりだなと思いました!

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パブリックドメインの作品を使って、バーチャル上に自分だけの美術館をつくる「誰でもミュージアム」。和樂webでは、スタッフ一人ひとりが独自の視点で日本美術や工芸の魅力を探り、それぞれの美術館をキュレーションしています。「誰でもミュージアム」はwebメディアだけでなく、各SNSアカウントや音声コンテンツなど、さまざまな媒体のそれぞれのプラットフォームに合わせた手法で配信。アートの新しい楽しみ方を探ります。

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