Culture
2022.08.22

和菓子の「ぜんざい」は一休さんが語源?「善哉」2つの意味を探る

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「善哉(ぜんざい)」というと、何を想像しますか? 小豆を使った甘い汁? お坊さんが笑顔で頷く光景? 2つの「ぜんざい」の語源を探ってみました!

お坊さんの笑顔?初めて聞いた「善哉」の意味でした!

1.賞賛の言葉「よきかな」

実によい、すばらしい、その通り。そんな称賛の言葉が「善哉」です。よいと感じる様子や喜び祝う様子も指します。
「ぜんざい」とも「よきかな」とも読み、特に先生が弟子に対して使うことが多い表現です(現在ではあまり使われないかもしれませんが)。

古代インドの会議で決め事をする際、賛成の意思を示した語(サンスクリット語の単語)が由来となったもので、お経などの中にもこの言葉が使われています。こんな歴史からもお坊さんの笑顔のイメージと結び付いているのかもしれませんね。

ちなみに、善哉善哉、と2回繰り返して使われることが多いそう。

2回唱えるところがおまじないみたいで素敵。お経で「ぜんざい」がでてくるのも面白いですね〜。

2.和菓子の「ぜんざい」

和菓子の善哉、関東と関西では中身が違うんだそう。

基本的な材料は同じなのですが、関東では濃いめのつぶし餡やこし餡に焼いた餅を入れたもの、関西ではつぶし餡のお汁粉を指します。

ちなみに関西では、こし餡のものを「しるこ」、つぶし餡のものを「ぜんざい」、汁気の少ないものを「亀山」と呼び分けているのだとか。

こちらの「善哉」の語源説はいくつかあるようで、『日本国語大辞典』には、以下のような説が引かれています(引用は同義の「善哉餠」の項目より)。

(1)ある人が善哉善哉といって賞味したところから〔久保田の落穂〕。初めて食べた一休禅師が善哉此汁と言ったところからか〔大言海〕。

(2)出雲では10月を神在月といい、この餠をまつるところから、シンザイモチ(神在餠)の意か〔梅村載筆・私可多咄〕。

(3)あずき餠の餡(あん)を任意に湯でうすめて食べるところから、ジザイモチ(自在餠)の義か〔月曜通信=柳田国男〕。

正月や誕生日に食べた記録もあることから、お祝いの食べ物だったと考えられるのだそう。

「善哉」と「ぜんざい」全く同じ意味かと思いきや諸説あるとは。私は焼いたお餅を入れて欲しいです!


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アイキャッチ画像:歌川国芳・画『一休禅師諸国物語 4巻』国立国会図書館デジタルコレクションより

参考文献:
・『日本国語大辞典』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・『例文 仏教語大辞典』小学館
・『故事俗信ことわざ大辞典』小学館

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。

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平成元年生まれ。コピーライターとして10年勤めるも、ひょんなことからイスラエル在住に。好物の茗荷と長ネギが食べられずに悶絶する日々を送っています。好きなものは妖怪と盆踊りと飲酒。