Culture
2022.08.24

歌舞伎とは?松本幸四郎さんと市川猿之助さんに聞く、新作歌舞伎と古典への思い

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自由すぎる新作歌舞伎、弥次さん喜多さん

歌舞伎には、400年の歴史があります。江戸時代は庶民のためのエンタテインメントでしたが、いまやTHE伝統芸能! です。「こむずかしそう」「どこかお高くとまってみえる」とのイメージを持たれる方も少なくないはず。

たしかに歌舞伎には、解説がないと理解がむずかしい作品が数々あり、名作といわれる古典歌舞伎ほど、観劇前の予習が大事です。その一方で、歌舞伎は1年に何本もの新作が上演される、現在進行形の芸能でもあります。新作の中には、漫画や絵本が原作のものもあれば、オリジナルの脚本で作られるものもあります。基本的に台詞は分かりやすく、中には、ひたすら楽しい、なんでもありの作品もあります。

たとえば『東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ。以下、『弥次喜多』)』シリーズです。原作は、江戸時代に大ヒットした十返舎一九の滑稽本です。2016(平成28)年より、松本幸四郎さんが演じる弥次郎兵衛と、市川猿之助さんが演じる喜多八のコンビで新作を上演し、人気を博しています。最新作は『弥次喜多流離譚』と書いて「やじきたリターンズ」と読みます。弥次さんと喜多さんの珍道中は、古典歌舞伎の名作や某ミュージカル、某ヤンキー漫画など、笑いとオマージュの連続。歌舞伎を観たことがない方はもちろん、何度か観たことがある方さえ、「これって歌舞伎なの?」と驚くにちがいない、自由奔放な内容です。

左より喜多八=猿之助、弥次郎兵衛=幸四郎。シリーズ5作目『弥次喜多流離譚』は、2022(令和4)年8月30日まで歌舞伎座で上演。こむずかしくありません!
この衣装、歌舞伎なの!? びっくり!

ふざけて見えて“おふざけ”にならないのは、第一線の歌舞伎俳優さんの芸と華、歌舞伎座を支える一流のスタッフワークのおかげ。ここぞという場面では、踊りやお芝居、立廻りでみせます。めいっぱい楽しみ圧倒されたあとに、やはり思いました。

「これって歌舞伎なの!?」。

そこで弥次さん役の幸四郎さんと、喜多さん役の猿之助さんに、お話を伺いました。

取材に協力してくださった方

十代目 松本幸四郎さん

屋号は高麗屋(こうらいや)。1979年3月、三代目松本金太郎を名乗り初舞台。1981年10月、七代目市川染五郎を、2018年1月、高麗屋三代襲名披露公演『壽 初春大歌舞伎』で十代目松本幸四郎を襲名。古典の大役を勤めるのと並行し、歌舞伎NEXT『阿弖流為』、ラスベガス公演、フィギュアスケートとのコラボなど、革新的な取り組みも。1987年、当時16歳で舞台『ハムレット』主演。TVドラマやバラエティ番組に多数出演。二代目松本白鸚の長男。叔父には二世中村吉右衛門。姉は女優の松本紀保。妹は女優の松たか子。長男は美少年と話題の市川染五郎。

『勧進帳』武蔵坊弁慶=松本幸四郎(令和3年4月歌舞伎座)

四代目 市川猿之助さん

屋号は澤瀉屋(おもだかや)。1983年7月、二代目市川亀治郎を名乗り初舞台。2012年、四代目市川猿之助を襲名。古典歌舞伎だけでなく、スピード感、スペクタクル、ストーリーで歌舞伎の新境地を切り拓く『スーパー歌舞伎』を、『スーパー歌舞伎Ⅱ』として受け継ぎ存在感を発揮。NHK大河ドラマ『風林火山』や日曜ドラマ『半沢直樹』他、映像作品にも多数出演。四代目市川段四郎の長男。伯父には三代目市川猿之助(現・猿翁)。いとこには市川中車(香川照之)。従甥は美少年と話題の市川團子。

『新版 伊達の十役』乳母政岡=市川猿之助(令和3年12月歌舞伎座)

『弥次喜多』では、おとぼけ顔の幸四郎さんも猿之助さんですが、今の歌舞伎界を牽引する俳優さんです。古典歌舞伎に定評があり、新作歌舞伎にも意欲的に取り組まれています。インタビューでは、次の3つのお題にピンポン!(そう思う)かブー!(そう思わない)の2択でご回答いただきながら、お話を伺いました。

3つのお題はこちら↓↓

新作歌舞伎は何でもありですか? 
古典歌舞伎の方が大変ですか?
歌舞伎は何でもありですか?

※澤瀉屋の「瀉」のつくりは、正しくは“わかんむり”です

新作歌舞伎は、何でもありですか?

— 本日はよろしくお願いします。

市川猿之助さん(以下、猿之助): はい、よろしくお願いします。

松本幸四郎さん(以下、幸四郎): お願いします。

— 歌舞伎座で『弥次喜多流離譚』を大変たのしく観劇しました。そこで、さっそく最初のお題です。

『新作歌舞伎は、楽しければなんでもあり』?

猿之助: ブー!(そう思わない)

幸四郎さん: 何でも……ピンポン!(そう思う)

猿之助: 僕は、再び上演できる作品じゃないとダメ。その時限りの興味本位で作ってはいけないと思っています。

幸四郎: なるほど。その意味では、僕も猿之助さんと同じ意見ですね。新しい歌舞伎を作る時は、この芝居を一生やりたいと思えるか、必ず自分に問いかけます。

猿之助: そうですよね。だって僕ら、後の世に残すために新作歌舞伎をやるんですから。新しく作る1回目は、ただ歌舞伎の財産を食いつぶすだけでしょう。でも再演につながれば、レパートリーとして歌舞伎の財産になる。実際に再演されているかどうかの前に、その思いで作っているか。

— そこさえクリアできれば……。

猿之助: 基本的に何をやってもいいんじゃない? と僕は思います。

『東海道中膝栗毛』(平成28年8月歌舞伎座)はシネマ歌舞伎としてBlu-rayやAmazon Prime Videoで視聴可能。全国の映画館でも!

— 何でもありとはいえ「ちょっとやりすぎたな」というご経験はありますか?

幸四郎: 毎回(笑)。

猿之助: 常に(笑)。

幸四郎: 僕らも反省はするんです。舞台に立つときは「これがベスト!」「自分の出せるすべてだ!」という気持ちでやりますが、1日1日、その月その月が終わったあとには色々と考えますよね。

猿之助: たとえば、僕ら役者が「あの場面でこんなことをしたい」 と言うと、劇場や興行を支えるスタッフさんたちは、どうにかしようとしてくれます。予算とか時間とか手間とか、どこかで無理をしてくれた人がいただろうな。やりすぎたな……とかね。

『東海道中膝栗毛』(令和元年8月歌舞伎座)

幸四郎: 僕の場合、「俺さえがんばれば、どうにかなる!」と詰めこみすぎて、やりすぎたな……って。前の役の化粧を落として次の顔(化粧)をするのに、時間がない。二枚目の役なのに、小梅太夫さんのような顔になっていた! ってこともありました。

猿之助: ははは! 本当にやりすぎ。でも、あるある。分かります!

幸四郎: やりすぎたな、段取りって大事だなと思いました(笑)。

新作歌舞伎と古典歌舞伎、大変なのはどちら?

— 幸四郎さんも猿之助さんも、古典歌舞伎の作品で高く評価されながら、新作歌舞伎にも意欲的に取り組まれていますが、『弥次喜多』はひたすら楽しそうにみえました。そこで次のお題です。

『新作歌舞伎と古典歌舞伎では、古典歌舞伎の方が大変だ』

猿之助: ピンポン(そう思う)!

幸四郎: うーん……ブー(そう思わない)!

猿之助: おお~、そうですか。

— 猿之助さんは「古典の方が大変」なのですね。

猿之助: 僕にとって、古典は先入観との戦い。それが大変です。新作は、例えるなら生まれたばかりの歌舞伎でしょう? ヨチヨチ歩きだから、やってあげないといけないことがたくさんあります。その点、古典はもう立派な大人の歌舞伎です。自分で歩けるけれど、年を重ねた分、かぶったホコリや蜘蛛の巣をはらい、カビや垢を落として……としなくてはいけません。名作と言われる古典も、江戸時代のまま上演しているわけではなく、時代時代で磨いているんです。その時に先入観がじゃまになるし、「古典はとにかくよいものだ!」というタイプのお客さんの先入観とも戦わないといけないよね。

幸四郎: たしかにね。

『義経千本桜 川連法眼館』狐忠信を演じる猿之助さん(令和4年1月歌舞伎座)

猿之助: 幸四郎さんは「新作の方が大変」ですか?

幸四郎: 頼りにできるものが、あるのか、ないのか。その違いですね。古典には、先輩方が作ってこられたお手本があります。身体で覚え、自分の身体を通して皆様にお見せする。それはもちろん大変なことですが、ある意味、そのゴールを目指して迷わず突き進めばいいんですよね。新作だと、ゴールを考えるところから始まりますから。

『源平布引滝 義賢最期』で木曽先生義賢を演じる幸四郎さん(令和3年8月歌舞伎座)

—  漫画が原作の新作歌舞伎の場合はいかがですか? 幸四郎さんは、みなもと太郎さんの『風雲児たち』を、猿之助さんは尾田栄一郎さんの『ワンピース』を歌舞伎にして大ヒットさせています。

猿之助: 原作漫画は助けにもなるし、制限にもなりうる。

幸四郎: うん。原作漫画はこうしていた。じゃあ忠実にお見せするのか、あえて歌舞伎では外すのか。判断の基準にもなりますね。それでもやはり、自分で「これを歌舞伎にする!」と決めるまでに、「この作品で良いのか」から考えなくてはいけません。自分を頼りにゴールを決め、決めたゴールを信じ続ける。それは大変なことです。

シネマ歌舞伎にもなった『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』(令和元年6月歌舞伎座)

猿之助: 新作には新作の、古典には古典の大変さがある。でも取り組む気持ちは同じです。どちらも楽しく、どちらも真面目!

幸四郎: そう思います!

知恵と意地の、弥次さんと喜多さん

—  弥次さんと喜多さんは、シリーズの1作目でお伊勢さんを目指しました。幸四郎さんと猿之助さんの『弥次喜多』シリーズに、ゴールはありますか?

猿之助: 次の世代に伝えることかな。歌舞伎の『弥次喜多』は、昭和3年8月に、初代の市川猿翁(当時 二代目猿之助。猿之助さんの曾祖父)さんと(六世大谷)友右衛門さんのコンビがヒットしてシリーズ化して、歌舞伎の歴史に残った作品です。僕らの『弥次喜多』は、歌舞伎座で5回目。いずれは「夏の風物詩」と紹介される時がくると思う。

—  ちょうど猿翁さんが弥次郎兵衛を、友右衛門さんが喜多八(当時「北八」)を勤められたときの資料があります。幸四郎さんと猿之助さんの弥次さん喜多さんの顔が、約90年前の弥次さん喜多さんとそっくりです!

猿之助: そう、これ! 最高でしょう、この顔! これが僕らの目指すところです。着物の柄は、そろばん玉柄や弁慶格子が定番。

昭和8年8月、昭和10年8月の筋書(公演プログラム)。

—  1933(昭和8)年の筋書の友右衛門さんのコメントによれば、昭和3年8月は十返舎一九の原作に新趣向を加え“未曽有の大入り満員”。翌昭和4年の2作目は、原作の“不即不離の筋に朗らかなユーモアを多分に織込み、前年を越えて白熱的な御賛辞”。昭和5年の3作目は、さらに“奇想天外なナンセンス・レビュー”になったとあります。『弥次喜多』は、ハチャメチャなところも含めて古典に忠実な作品なのですね。

幸四郎: 猿之助さん、僕らの『弥次喜多』のゴール、これじゃない?

猿之助: 生首?

幸四郎: 筋書の表紙(笑)

猿之助: 目指したいですねえ、生首で表紙!

『東海道中膝栗毛』(平成28年8月歌舞伎座)より

幸四郎: 思えば『弥次喜多』は、戦後最初に上演された作品でした※。今年7月は、歌舞伎座の公演も途中で中止になりました。三部制の全てが中止となったのは、2020年の緊急事態宣言による休演以来でしたね。そこから復活した今月、歌舞伎座で『弥次喜多』をやっている。『弥次喜多』という作品には、何かそういう役目があるように感じられます。

※1945(昭和20)年5月、歌舞伎座と新橋演舞場は空襲で焼失。8月、すぐそばの東京劇場で歌舞伎の興行が再開。演目は『橋弁慶』と『弥次喜多』。終戦の8月15日から月末まで休演ののち、9月には『黒塚』と『弥次喜多』を上演。

『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』(平成29年8月歌舞伎座)より

幸四郎: だからといって『弥次喜多』が、手軽に上演できる作品というわけではありません。劇中の場面転換は多いし、役者も裏方さんも道具もたくさん必要。むしろ大変な時期に一番やっちゃいけない作品でしょう?(笑)。それを、あえてやる。こんな状況でも、これだけできるんだ! とお見せする。役者の知恵と意地でやる作品、という気がしますね。

猿之助: (深く頷いて)次の時代でも、世の中が辛い時に「かつて四代目猿之助と十代目幸四郎のコンビで上演し、世界が疫病で大変だった時にも上演した」って紹介されながら、『弥次喜多』をやってくれたらうれしいですよね。

何をもって歌舞伎ですか?

—  最後のお題です。

『そもそも、歌舞伎は何でもありだった』?

幸四郎: ピンポンピンポン!

猿之助: ピンポンピンポン!

—  おふたりの中に「何をもって歌舞伎か」の定義はありますか?

幸四郎: ないです。

猿之助: ないね。

—  ありませんか?

幸四郎: ないよね。

猿之助: ないない。

—  ないですか……。

猿之助: あ、松竹さん※が「歌舞伎だ」といえば、歌舞伎でいいよ!(※松竹株式会社。歌舞伎の興行を支える民間企業)

(関係者一同「え!?(笑)」)

幸四郎: そう思います(笑)。

(関係者一同、ふたたび「ええっ!?(笑)」)

『東海道中膝栗毛』(令和元年8月歌舞伎座)より

—  三代目の市川猿之助(現・市川猿翁)さんが、1986年に『スーパー歌舞伎』を始められたころ、「これは歌舞伎なのか?」と問う声があったと聞きます。歌舞伎の定義があるからこその異論かな、と想像したのですが。

幸四郎: たとえば「歌舞伎とは白塗りで男性だけでやる時代劇」と言われたとしても、白塗りの役者が出ない作品もあります。「歌舞伎をはじめたのは女性の出雲阿国だった」と歴史の教科書に書かれているし、幕府に禁止されるまでは女性も出ていた以上、「男性だけ」とも定義できないんですよね。

猿之助: 日本の演劇に新劇、新派、新国劇、大衆演劇みたいなジャンルが生まれたのは、明治時代になってから。それ以前の江戸時代、庶民が娯楽として見る演劇は人形芝居か歌舞伎。役者がやるのは歌舞伎しかない。だから役者が何をやろうと歌舞伎になるし、他のジャンルがないから定義する必要もなかった。

『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』では、ロシアが舞台になりました。ドレスを着ているのが猿之助さん、その右手に幸四郎さん。

—  役者さんがやるお芝居=歌舞伎、という時代が長くあったのですね。とはいえ、いまでは歌舞伎は伝統芸能です。明治時代には「歌舞伎を、西洋の演劇に対抗できる高尚なものにしよう」という動きもありましたよね。

幸四郎: 伝統芸能になりやってはいけないことや、決まりができたというよりは、歴史を重ねた分、江戸時代にはなかった“伝統”という引き出しが増えたってことじゃないのかな。歌舞伎俳優として、歌舞伎を作り歌舞伎をやることそのものは、当時も今も変わらないように思います。

猿之助: 明治時代の運動って、演劇改良運動ですね。坪内逍遥や文学者が、ギリシャ悲劇さながらの“高尚”な台本をバーッと書いた。でも役者は、字をろくに読めなかった時代です。芝居は、どちらかと言えば肌感覚のようなもので作っていた。演劇改良運動をきっかけに、肌だけでなく頭脳も大事だよ、となったんですよね。 でも、それは逆に言えば、昔の役者はやっぱりみんな天才だったって話ですよね。

—  昔の役者さんが天才だった、とは。

猿之助: いま名作と言われる古典の数々を、研ぎ澄まされた感性で作りあげたんですから。たとえば『絵本太功記』の十段目。幕末の頃に演じた光秀役の役者が、階段を踏み外して尻もちをついてしまった。とっさに三味線が音を入れたら、光秀の心情が表れて見えたんだろうね。お客さんに大ウケしたそうです。いまでは階段に腰を下ろして、片足を三段に出すのが型になっています。『仮名手本忠臣蔵』の六段目で、腹切する勘平が頬に血をつけるのも、やはり役者の工夫。役者は、その日その日のお客さんとのセッションで、感覚的に面白いものを感じとり、面白ければ型にしていく。台本を見て考えるのではなく、舞台で芝居をしながらお客さんとワーッと創り上げていく。だから素晴らしい作品ができたんだよ。

幸四郎: 肌感覚が大切なのは、今も同じですね。歌舞伎って「音楽的で、きれいな演劇」だと思うんです。悪い奴も汚い奴も喧嘩の場面でも、美しくないといけない。醜いのに美しいって、理論では成り立ちません。伝統の中でその作品、その役を、たくさんの役者が何度も演じ、目の前のお客さんの反応によって洗練されてきた。その積み重ねで、古典歌舞伎はできているんです。

『色彩間苅豆 かさね』(令和2年9月歌舞伎座)の幸四郎さんと猿之助さん

—  光秀の尻もちも、勘平の顔の血も、撮って終わりの映像作品だったら生まれなかった、あるいはNGシーンとして消されていたかもしれません。生の舞台で再演されるって、本当に大事なことなんですね。

猿之助: 今月の舞台も毎日相談をして、お客さんの反応をみながら変えています。それをリアルタイムでご覧いただけるのは、新作歌舞伎の醍醐味じゃないでしょうか。

生の歌舞伎が、毎日をワクワクさせてくれる

—  最後に、歌舞伎の新たなベクトルとして、配信のために制作された映像の歌舞伎『図夢歌舞伎(ずうむかぶき)』や、VRを活用した『META歌舞伎』についてもお聞かせください。

幸四郎: 生の歌舞伎とオンラインの歌舞伎は、別のものとしてどちらも残っていくと思っています。オンライン配信の歌舞伎は、好きな時に好きな場所で楽しんでいただけます。いまの時代にあっていますよね。それに対して生の歌舞伎は、「この期間のこの時間に、ここでやります。だから予定をあわせて観にこいよ」と(笑)。そこにどんな魅力があるのかというと、毎月の演目が発表されて、いつ行こうかな。よし、予約をしたぞ! あと何日かな。せっかくだから着物を着てみようか。いよいよ明日だ! と。当日は、お芝居はもちろん歌舞伎座の雰囲気や、お土産、前後のお食事も楽しんでいただく。これらすべての体験が「歌舞伎を観る」に含まれている。行くと決めた瞬間から、ドキドキ、ワクワクが始まるのが、生の歌舞伎の魅力じゃないのかな。

猿之助: しかもコロナ禍の今なら、無事に開幕するかのドキドキもついてきます。幕があくまで分かりません!(悪い顔)

幸四郎: この状況だと何が起こるかわかりませんからね(悪い顔)……って猿之助さん! 日々スリルを感じるくらい、歌舞伎座は感染症対策への意識が高い、ということですね(笑)。

『東海道中膝栗毛』(平成28年8月歌舞伎座)より
どうしよう、今すぐ歌舞伎を観に行きたくなっちゃった!!

作品情報

歌舞伎座『八月納涼歌舞伎』

会場: 歌舞伎座
期間: 2022年8月5日(金)~30日(火)
住所: 東京都中央区銀座4丁目12−15
公式サイト: https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/

シネマ歌舞伎

作品: 『東海道中膝栗毛』『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』他
公式Webサイト: https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/