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2019.08.28

東京にこんな酒蔵があったなんて!青梅で楽しむ日本酒と自然がおいしい!

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新宿から電車で約1時間半。緑の深い東京都青梅市、沢井駅から徒歩5分ほどに、日本酒「澤乃井」で有名な小澤酒造株式会社があります。

売店・軽食の澤乃井園、酒蔵見学、きき酒処だけでなく、食事処の「まゝごと屋」「いもうとや」「豆らく」、「櫛かんざし美術館」「玉堂美術館」といった美術館や、バーベキュー施設「煉瓦堂朱とんぼ」まで幅広く運営している、元禄15年(西暦1702年)から続く老舗酒造です。

創業は元禄15年!東京・青梅では300年酒造りが続いている

お酒は水と温度管理が命。多摩川という水質の良い川を持ち、山間の涼しい土地である青梅には昔から酒造りが行われていたそうです。「澤乃井園」から見える川は、遠目からでも澄んでいるのが一目でわかります。

たっぷりした多摩川の流れ

「まゝごと屋」「豆らく」は豆腐料理店。同じく水が重要なお豆腐を作り始めたところから始まったようです。

実は小澤酒造の創業年度、元禄15年というのは「逆サバ読み」。元禄15年に「(今で言う)酒税に関する調査が入った記録」があることが確認できるからそうしているそうです。

酒税の調査が入っているということはすでに酒造りをしていたということ。300年以上でもすごいのに実際はもっと古い歴史があるなんてびっくりしますね。

無料で参加できる酒蔵ツアーは大人気!季節にあったお酒が試飲できるのも人気のひとつです。飲んでもらってこそその魅力がわかってもらえるはず……と、昭和41年に広報活動の一環として始まりました。

「澤乃井園」と酒蔵は、道路を挟んで向かい合っています。集合場所に行くと、ずっしりした蔵が立ち並び、かやぶき屋根の家が歴史を感じさせます。1日4回、各回40名まで実施している酒蔵ツアー。社員の方が案内してくださいます。

酒蔵ツアーは元禄から「使い続けている蔵」からスタート!

沢蟹のマークが入った酒樽、お酒造りのシンボル・杉玉を通り蔵へ向かいます。杉玉とは新酒ができると新しい緑色のものに交換され、色の変化で酒の熟成度がわかるそうですよ。

酒樽は鏡開きや神社への奉納に使われるもの。かつてお酒の輸送用に使われていました。

樽にもついている、小澤酒造のマークは沢蟹。澄んだ水辺に住む沢蟹は、英語では「Japanese Freshwater Crab」(ジャパニーズ・フレッシュウォーター・クラブ)、まさに酒を造る水の美しさを語るシンボルです。

酒蔵の入り口には神棚が祀られていました。お酒とは元々神様にささげるもの。酒造りを神事と捉え、働く皆さんは酒造に入る前は必ず拝まれるそうです。

まずは「元禄蔵」と名のついた蔵へ。その名の通り、元禄から使っている蔵です!もちろん修繕はしているそうですが、梁などは創業当時のものが未だ現役。突き出した年輪が木の強さを物語ります。

ひんやりした空気は天然の冷蔵庫!夏でも25度前後という涼しさで、お酒を保存するのに適している造りです。

1:タンク見学

まずずらっと立ち並ぶタンクの説明から。100リットルから4万リットルまで、さまざまな大きさがあり、200本ほどのタンクを所持しているそうです。
ちなみに、8000リットルのタンクで一升ビン4500本ぶん。一日コップ一杯飲んだとして飲み切るのに123年かかるそうですよ!

鉄製のタンクは内部がホーロー加工され、お酒の品質が保たれています。

かつてお酒は木の桶で造られていました。近年小澤酒造では自社の杉の木を活用して木桶を復活。「木桶仕込み」のお酒も数量限定で販売中です。

2:上槽(じょうそう)室へ

奥に進むと、ガラス越しに機械が並んでいる部屋が見えてきます。ここは「上槽」という、お酒をしぼる部屋。

部屋の前にはお米のサンプルが並べられています。お酒用の「酒米」は、普段食べているお米とは少し違うんです!

有名なのは「山田錦」。玄米からお酒用のお米になるまで「磨いて」いきます。磨くことで雑味がなくなり、味がクリアになるのです。

削った部分はどうなるのでしょうか?実は「赤ぬか」=ぬか床のもとになったり、肥料になったり。「大吟醸」は50%もお米を削るので、「白ぬか」と呼ばれる白いぬかが出ます。こちらはほぼ米粉と同じ成分なので、おせんべいなどの加工用に使うそう。酒どころには米菓子会社が多い、というのも納得ですね。

酒造りに「ゴミ」はほとんど出ません。長年受け継がれてきた、昔の人の知恵を感じることができますね。

磨いたお米を蒸し、米麹と混ぜます。さらに酵母菌を加えます。このとき「糖化」と「アルコール発酵」が同時に行われるのが日本酒の特徴。
ワインやビールなどはの発酵とは異なり、こうした発酵をするお酒というのは世界でも珍しいそうです。

発酵の終わった醪(もろみ)を機械でプレスすると、「清酒」が絞り出てきます。機械の袋に残ったものが「酒かす」。袋からぺりぺりとはがして様々な用途に使われています。

3:明治蔵と平成蔵

横に進むと明治蔵に。1万リットルの大きめのタンクが並ぶ、貯蔵蔵として使われています。

さらに奥には「平成蔵」が。小澤酒造では日本酒をもとにした梅酒を作っているので、ここで仕込まれています。日本酒の甘みを生かして砂糖を控えめにした、飲みやすいお酒です。

何百キロという梅のへたを取るのはいまだに手作業!仕込みの時期には大ぜいでへた取りをするんだそうです。まさに「青梅」のお酒、「梅酒ぷらり」ですね。

4:古酒「蔵守」が並ぶ棚

元禄蔵のはしにおかれた棚には、酒瓶がずらりと並んでいました。キャプションには「2001年」「2013年」の文字が。日本酒には賞味期限がありませんが、保存をするとウイスキーのように熟成されて「古酒」になります。
ここに並ぶのは「蔵守」という古酒。芳醇なしっかりしたお酒で、ステーキや中華料理のような濃いめの味付けにもぴったりです。

管理が難しいので、取り扱える店舗は決まっています。現在60店ほどで購入することができますよ!近所にあったらラッキーかも?

5:仕込み水の井戸へ

「澤乃井」の味の秘密は「仕込み水」。蔵のすぐ近くには「蔵の井戸」と呼ばれる、ミネラルが多く、鉄分やマンガンなどの、雑味となりやすい有機物をほとんど含まない、上質な水が湧き出る井戸があります。
珍しい「横井戸」で、全長は140m!水面が奥まで見えるのが特徴です。

ゴツゴツした壁面は、機械のない時代に手作業で掘り進められたことを感じさせます。

仕込み水は「澤乃井園」で飲むことができるので、味を確かめたい方はぜひ!

いよいよ試飲へ! 過程を知ってから飲むから二倍おいしい

蔵の横で季節のお酒をオリジナルおちょこで一杯楽しんで、酒蔵ツアーは終了。

「これじゃ物足りない」「蔵で見たあのお酒は飲めないの?」と思われたら、階段を降りてきき酒処へ向かうのがおすすめです。

澤乃井のロゴの入ったおちょこ。おみやげになってカワイイ

お値段はおちょこつき一杯200円から!「澤乃井」をはじめ、小澤酒造のお酒を楽しむことができます。しかも、二杯目からはそのおちょこでお代わりすれば100円引き。呑みすけもお酒に弱い方も気軽に楽しめます。

小澤酒造が誇る醸造技術の結晶・大吟醸「凰」(こう)も飲むことができますよ。1800ミリリットルびんで1万円超という品です。

最高レベルの山田錦を35%まで磨き上げた、高級大吟醸が500円で試せるのは酒造経営ならでは。
華やかな香りが鼻腔をくすぐり、上質さを感じさせます。飲み口は甘すぎずきりっとして、大吟醸なのに飲みやすい。辛口はあまり得意じゃない、という方もするっと飲める味わいですよ。

2020年の東京五輪を控えておすすめしたいのが純米吟醸「東京蔵人」(とうきょうくらびと)。なめらかな口当たりが魅力の、昔ながらの製法・生酛造り(きもとづくり)のお酒です。
ほどよい酸味が旨味を引き立て、料理との相性も抜群。全国燗酒コンテスト プレミアム燗酒部門にて2年連続金賞受賞しているので、燗酒にもぴったりです。

「木桶仕込 彩は」(いろは)の姿も。こちらも「生酛造り」のお酒です。ほどよい酸味と、生酛造りならではのコクが魅力。秋冬にかけては、燗酒で飲むのもおいしいそうですよ!

酒蔵で見かけた古酒にチャレンジしたい!という方、「蔵守」もきき酒処でお試しいただけます。
とろりとした見た目は熟成酒ならでは。年月を重ねたコクとインパクトが、酒好きの舌をうならせます。ちなみにこちら、アイスクリームにかけるとい方もいらっしゃるのだとか。

どんな風に作られているか、職人さんたちの苦労や努力を酒蔵見学で見てからだと、お酒の味がよりおいしく感じられます。
日本酒ベースならではの、さっぱりとした甘みが特徴の「梅酒ぷらり」、焼酎ベースのリキュール「柚子酒ゆずほ」、といった果実酒もあります。また、9月以降には「ひやおろし」など、季節に合わせたお酒も登場。

何度でも訪れたくなってしまいますね。実を言うとライターも来訪3回目です。

おちょこを持ちだして、「澤乃井園」の売店で買った軽食と楽しむこともできます。
多摩川の清流を見おろし、みずみずしい風に当たりながら飲む日本酒は絶品。平安時代から酒宴が愛されてきた理由がわかるような気がしてきます。

軽食のコーナーの隣にはおみやげ処も。きき酒処に並ぶお酒はほとんど売店に揃っていますので、飲み比べて気に入ったお酒を持ち帰るのもおすすめです。

「梅ジャム」や「湯葉」、おまんじゅうなど、お酒以外のオリジナル商品も展開しています。バリエーションが豊富で、目移りしてしまいますよ!お土産タイムを多めにとっておくと安心です。

9月から日本酒の仕込みが始まる! これからの日本酒シーズンも見逃せない!

小澤酒造の酒造りは9月から始まります。ひと夏を過ぎた「ひやおろし」が登場するのもこのころ。
10月中旬に新酒が登場。4月で一段落というのが基本的な一年の流れです。

これから秋の味覚も次々登場しますし、日本酒のおいしさを存分に味わえる季節がやってきます。

取材時は青々とした緑が涼やかで、ユリが凛と咲いておりました。秋は紅葉が見事だそうです!紅葉酒もオツなものですよね。

造る過程を見て、お酒を数倍にも味わえる「東京の酒見学」、一度足を延ばしてみてください!

小澤酒造株式会社公式HP
澤乃井ー小澤酒造