Culture
2019.09.12

美白テクからニキビの治し方まで!江戸版おしゃれマニュアル『都風俗化粧伝』を読んでみた

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江戸時代に刊行された資料『都風俗化粧伝(みやこふうぞくけわいでん)』。その中には、美白の方法、丸顔の化粧方法、ニキビの治し方など、現代の女性誌と同じような項目が並んでいます。
まさに「江戸版おしゃれマニュアル」!?
この記事では、『都風俗化粧伝』がどのような資料なのか、作者や出版された時代背景に触れながら、その内容を簡単にご案内します。

『都風俗化粧伝』とは?

江戸後期、文化10(1813)年に出版された、化粧法を中心とした総合美容読本です。
著者は佐山半七丸(さやまはんしちまる)。「江戸時代の美容家」という説もありますが、経歴の詳細は不明です。
書名の「化粧(けわい)」は、「けしょう」よりも広い意味を持ち、この本では「全身の装い」の意味で使われています。

『都風俗化粧伝』の構成

『都風俗化粧伝』は、上中下3巻3冊。
上巻は「顔面之部」、中巻は「手足之部」「髪之部」「化粧之部」、下巻は「恰好(かっこう)之部」「容儀(かたちつくり)之部」「身嗜(みだしなみ)之部」で構成されています。

本の内容は多岐にわたり、顔・からだ用の化粧品や薬の処方、欠点をカバーする化粧のノウハウ、顔型別の化粧法、美しく見える立ちふるまい、帯の結び方、かぶりものの種類など。京都の浮世絵師・速水春暁斎(はやみしゅんぎょうさい)の挿絵つきで紹介しています。

建前では礼儀としての化粧を意識させつつも、「この本のとおりにすれば、たとえ醜くても、たちまち美人になれる」といった女性のおしゃれ心をそそるフレーズがちりばめられています。

書いた人

秋田県大仙市出身。大学の実習をきっかけに、公共図書館に興味を持ち、図書館司書になる。元号が変わるのを機に、30年勤めた図書館を退職してフリーに。「日本のことを聞かれたら、『ニッポニカ』(=小学館の百科事典『日本大百科全書』)を調べるように。」という先輩職員の教えは、退職後も励行中。