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2019.08.15

夏休みは「池袋・川越アートトレイン」で小江戸にタイムスリップ!

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蔵造りの街並みに時の鐘、菓子屋横丁に川越氷川神社など、近年観光地としての人気がグイグイと上がっている埼玉・川越市。レトロな街並みをつくる歴史的建造物をはじめ、縁結びスポットや食べ歩きなどが人気を呼び、友達同士や家族連れ、海外旅行客など多くの人々でにぎわっています。

そんな川越観光に便利な東武東上線に、若手画家の描き下ろしイラストが施された「池袋・川越アートトレイン」が登場しました。

10両編成の電車に描かれた作品には、川越を代表する観光スポットやモチーフがズラリ! アートトレインに乗って行くぶらり小江戸川越さんぽ。あなたなら、どのモチーフから巡りますか?

池袋・川越アートトレインとは?

埼玉県の南西に位置する川越市は江戸時代、川越藩の城下町として栄えた都市です。城跡や神社、街の中には歴史的建造物も多く、“歴史まちづくり法”という国が定める法律によって、歴史都市として埼玉県で唯一認定されている街でもあります。

都心からのアクセスが良く、川越観光に便利な「本川越駅」には西武新宿線、「川越市駅」には東武東上線、「川越駅」にはJR川越線と東武東上線がそれぞれ乗り入れています。

今回注目したのは、川越のPR施策として導入されたラッピング車両、東武東上線を走る「池袋・川越アートトレイン(以下、アートトレイン)」です。運転区間や運転時刻は未定のため、当日分に限り東上線各駅や東武鉄道お客さまセンターに問い合わせて確認できるというレア感。

池袋~川越間を最速26分で結ぶ「川越特急」として運行されるアートトレインもあり、これに当たれば、川越観光への気分もさらに高まりますね。

ちなみに川越特急。“特急”という名前こそ付いていますが特急料金は必要なく、乗車券のみでOK!

平日の運行は「池袋発が2本(10:00、11:00)、川越発が3本(16:52、17:52、18:52)」、土休日は「池袋発が2本(10:00、11:00)、川越発が4本(16:22、16:52、17:22、17:52)」。川越観光に関する自動放送をはじめ、一部の列車にはコンシェルジュが添乗し、海外からの観光客への英語対応なども行われています。

残念ながらアートトレインとはならずとも、川越観光にはおススメです!

若手画家・古家野雄紀氏の描き下ろし群像図

アートトレインの1~10号車には、それぞれに観光地やイベントなど川越の魅力がギュッと詰まったイラストが描かれています。

作者は、若手画家の古家野 雄紀(こやの ゆうき)氏。日本画を専攻する東京藝術大学在学中から数々の賞を受賞し、日本各地で個展を開催するアーティストで、近年では、鳩サブレーでお馴染みの鎌倉・豊島屋とコラボレーションした、パッケージ「豊島屋 鳩サブレー干支缶」が話題となった注目の画家です。

古家野氏が描く作品の核になっているのは「生命」。今回の作品はアートトレインのために描き下ろされており車両発表会では「四季折々の川越の自然と人が織りなす情景を通じて、生命感の連続を群像図と合わせて表現しました」とコメントされました。

列車には、川越に縁のあるモチーフがダイナミックに表現される一方で、たくさんの人々…群像とその傍らにも川越らしい絵柄があちらこちらに描かれています。作者の古家野氏が一番気に入っているのが2号車の「あい鯛みくじ」だそうで、これまでも多くの群像ををテーマに描いてきた古家野氏が魅かれるのは、やはり魚の群れのようです。

また、扉の足元に合わせて人や動物の図柄を配置したり、窓があるために構図が限られてくる点にも気を付けて構成をしたと話される古家野氏。キャンパスに描かれた作品とはまた違う魅力で、とても迫力のあるものとなっています。

池袋・川越アートトレイン10両を一挙ご紹介

1号車:中福の神楽

川越市の指定文化財にもなっている「中福(なかふく)の神楽」。神楽(かぐら)とは、神様に奉納するための歌や舞いで、中福の神楽は中福地区にある中福稲荷神社や川越市増形の白山(しらやま)神社など川越市内の数か所で奉納される無形民俗芸能です。

府中市にある大國魂神社の宮司が始めたとされる、相模流神楽が伝承された中福の神楽は、“里神楽”と言われるもので、宮中などで行われる“御神楽(みかぐら)”に対して、その土地に根付き、その地域の人々から愛される存在の伝統芸能なのです。

2号車:あい鯛みくじ

縁結びの神様として有名な川越氷川神社にある「あい鯛みくじ」。境内でいくつかあるおみくじの中でも、ひと際目立つあい鯛みくじは、竿を使って鯛を釣り上げる珍しいおみくじです。

当たる! と評判なだけあり、たくさんの人だかり。吊り上げた鯛のしっぽに入ったおみくじには、“出会い”や“相性”、“待ち合わせ”など具体的な気になるお言葉が書かれています。

3号車:喜多院

川越大師の別名で知られる「喜多院」の車体には、秋になると見事に色づく紅葉や菊の花が描かれています。日本三大羅漢のひとつ“五百羅漢”は、川越の観光スポットの中でも特に人気が高く、538体の石像の中には、笑うもの、泣くもののほか、日用品を持つもの、動物を従えるものなどひとつずつ違った表情の羅漢が鎮座しています。

また、徳川家光誕生の間(客殿)や、春日局が使用していた化粧の間(書院)といった江戸城紅葉山の別殿を移築したものなどがあり、建物の多くが国の重要文化財に指定される関東屈指の名刹は、川越の歴史文化の象徴とされています。

4号車:川越まつり

ユネスコの無形文化遺産に登録されている「川越まつり」は、毎年10月の第3土曜・日曜に開催される川越が一年で一番賑わうとき。

川越の山車(だし)は、町ごとに違う精巧に作られた人形が乗ることと、2層のあんどん(鉾)が特徴の江戸系川越型。城門をくぐるために伸び縮みできるエレベーター構造もまた特徴のひとつです。

全部で29台ある山車は、10年に一度の節目の年のみ全ての山車が揃います(次回は3年後の2022年)。それぞれの町により特徴が異なる山車を、見比べてまわるのも川越まつりの楽しみのひとつでしょう。※2019年の川越祭りは10月19日(土)20日(日)予定

5号車:花火と風鈴

川越の夏の風物詩と言えば「花火と風鈴」。

毎年8月に行われる「小江戸川越花火大会」は安比奈親水公園と伊佐沼公園の2か所で1年ずつ交代で開催されています。2019年の開催は8月17日土曜日、伊佐沼公園にて(荒天等の場合は翌18日(日)に延期。18日も開催できない場合は中止)。河川敷から打ち上げられる迫力ある花火が、川越の夜を彩ります。

一方、もうすっかり川越の夏の定番とも言える人気のおまつり川越氷川神社の「縁むすび風鈴」。2019年7月6日(土)~9月8日(日)の期間、境内には風鈴回廊が設置され多くの人で賑わいます。また、昼間とは違った景色を見ることができるのが夜の神社です。幻想的な“光る川”の伝説が再現されるほか、風鈴型のぼんぼりの明かりで街を歩く“恋あかり”や神社特製の線香花火“恋はなび”など見どころがいっぱいです。

6号車:川越氷川神社

今から1500年も前の古墳時代に創建されたという「川越氷川神社」は、太田道真・道灌父子によって川越城が築城された室町時代からは、城下の守護神として歴代城主により崇められてきました。

縁結びのパワースポットとしても人気で、2号車に描かれているあい鯛みくじや、5号車の縁むすび風鈴も川越氷川神社が舞台です。

恋愛だけではなく、家族や友人、仕事など、さまざまなシーンでのご縁を願い、慌ただしい日常をひと時でも忘れて、ゆったりとした気持ちで訪れることができる場所は、長い年月を経ても守られ続けています。

7号車:菓子屋横丁

川越観光に欠かせない場所のひとつ「菓子屋横丁」の始まりは、明治初期、養寿院の門前町として栄えていた頃に菓子を製造したことがきっかけと言われています。

一歩足を踏み入れると、駄菓子の甘い香りや香ばしいにおいが漂う菓子屋横丁で童心に返るのはいかがでしょうか。ふと足元を見ると、石畳には飴細工をイメージしたというガラスが散りばめられていて、ノスタルジックな気分倍増です。車体にも描かれた大黒棒のお土産をお忘れなく!

8号車:時の鐘と川越城本丸御殿

川越藩主・酒井忠勝によって創建された「時の鐘」は、江戸時代初期から時を告げる役目を果たしてきた川越のシンボル。環境庁の「残したい“日本の音風景100選”」にも選ばれたという鐘が鳴るのは、1日に4回(午前6時・正午・午後3時・午後6時)、現代らしく自動で鐘つきが行われているそうです。

また、1457年に太田道灌親子によって築城された川越城は、酒井重忠をはじめ数々の重臣たちが藩主となり、1639年に松平信綱が近世城郭の形態を整えることとなりました。華美な装飾はなく、落ち着いた城内は、テレビドラマにもなった「JIN~仁~(村上もとか・作)」の舞台としても使用されています。

9号車:大正浪漫夢通りの鯉のぼり

御影石の石畳に町屋造り、電柱の無い通りには洋風のレトロな建物が並び、まるで映画の世界に迷い込んだかのよう。

大正浪漫夢通りでは毎年ゴールデンウィークの頃になると通りいっぱいに鯉のぼりが掲げられます。子供たちの手描きによるカラフルな鯉のぼりが再現され、車両にも色とりどりの鯉のぼりが泳いでいます。

10号車:新河岸川と桜並木

川越氷川神社の裏手に流れる新河岸川。川沿い約500mには桜が見事に咲き誇ります。

花筏(はないかだ)と言われるその景色は、新河岸川一面が散った桜でピンク色に染まる春の絶景。一日限りの花見舟が川を渡る姿はまさに芸術です。

川越さんぽへ出発進行!

“カワイイ”イラストの電車に思わず目を留める池袋・川越アートトレイン。

続編では、モチーフの中から「川越氷川神社の縁むすび風鈴」へお出かけします。思わずカメラを向けたくなる風鈴回廊が今年もスタート。川越への日帰り旅へ出発です。

◆池袋・川越アートトレイン詳細

池袋・川越アートトレイン公式サイト:https://kawagoe-express.jp/

※運転区間、運転時刻については東上線各駅、または東武鉄道お客さまセンターに問い合わせ。当日分のみ。なお、変更となる場合もあり。

◆川越特急詳細

【運転】

平日は池袋発(10:00、11:00)の下り2本、川越発(16:52、17:52、18:52)の上り3本

土休日は池袋発(10:00、11:00)の下り2本、川越発(16:22、16:52、17:22、17:52)の上り4本

(時刻表は2019年7月現在のものです)

【停車駅】

池袋、朝霞台、川越、川越市、坂戸、東松山~小川町間の各駅。(上りは森林公園が始発となります。)

※特急料金は不要です。

※鉄道写真は東武鉄道様よりご提供いただいております。線路内や私有地に入っての撮影などは法律で禁止されています。また、駅構内での撮影は危険ですので、くれぐれもご注意ください。

書いた人

関西と中部の両文化が入り乱れる伊賀地方の出身。1年間の放浪生活を送ったオーストラリアで良き日本を再認識。広く浅い知識を頼りに活動中。子のためなら鬼にでもなると2人の男児を溺愛するも、その子どもから鬼と呼ばれている。好きなものは道具、模様、コーヒー、プリン、深夜ラジオ。