Culture
2020.02.13

映画館で上映!大絶賛の新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』初心者のための見どころ解説

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制作が発表された途端、SNSを中心に大きな話題となったスタジオジブリ作品『風の谷のナウシカ』の歌舞伎上演。アニメ映画ではなく、宮崎駿監督が自ら描いた全7巻の漫画原作を昼夜通しで上演するという、前代未聞の挑戦です。2019年12月、新橋演舞場公演のチケットは発売後即完売。連日超満員で千穐楽を迎えました。

あまりの評判に、映画館での「ディレイビューイング」(時間差上映)が決定。昼の部にあたる【前編】は2月14日(金)から、夜の部にあたる【後編】は2月28日(金)から、東劇・新宿ピカデリーほか全国の映画館にて上映されます。

こだわりの映像を映画館で臨場感たっぷりに楽しめる!


新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』の映像収録は早い段階で企画されていました。しかし上演約2か月後とは異例の速さ。「チケットが手に入らなかった」という声、公演中も「もう一度観たい」という要望がたくさん寄せられたそうです。少しでも早く作品を届けたい、と今回の「ディレイビューイング」上映の運びとなりました。

今回は舞台のライブ感をそのまま再現。14台ものカメラで追いかけ、生の舞台を見ている感覚を大切にして制作されたそうですよ。
衣裳の繊細さ、登場人物の細かな表情や熱演がわかるほどの近さは映像ならでは!ナウシカが操る「メーヴェ」がいかに忠実に作られているか見ることができますよ。

豪華キャスト陣を歌舞伎になじみのない方にちょっとご紹介

歌舞伎を知らないけど、ディレイビューイングを見てみたい!という方に、出演する歌舞伎役者さんについて少しご紹介します。よくぞ揃った!というべき豪華メンバーですよ。演出はG2さん。新作歌舞伎『NARUTO』などを手掛けています。
脚本は、『ゲド戦記』『借りぐらしのアリエッティ』など、数々のジブリ作品を手がけた丹羽圭子さん、松竹株式会社演劇製作部芸文室所属の戸部和久さんの共同作品。戸部さんは新作歌舞伎『東海道中膝栗毛』を手掛けられた方ですよ。

ナウシカ役:尾上菊之助さん


ナウシカを演じる尾上菊之助さんは、この舞台の発案者でもある音羽屋の女方(おんながた)。最近は『下町ロケット』『グランメゾン東京』などにも出演されているのでテレビで見たことがある方も多いのでは?
踊りの名手でもあり、一挙手一投足が美しい!物腰の柔らかさと芯の強さはまさにナウシカです。可憐な姿はついときめいてしまいますよ♪

クシャナ役:中村七之助さん


トルメキアの気高き皇女・クシャナを演じるのは中村屋・中村七之助さん。十八世中村勘三郎さんの御子息で、昨年の大河ドラマ『いだてん』にもご出演されていましたね。歌舞伎では主に女方を演じられていて、その美しさで観客を魅了しています。今回はクシャナ殿下に見とれる方が続出、舞台写真を買い求める方々が絶えなかったとか。
凛々しく品のあるその姿は、きっとみんな忠誠を誓ってしまうはずです!?

実はこの舞台はいわば「ダブルヒロイン」。歌舞伎ではかなり珍しいことですよ!美しい二人の競演は見ごたえたっぷりです。

実力派の歌舞伎俳優も続々登場!

全員おすすめしたいところですが、長くなりすぎますので……。ヴ王役の中村歌六さんは、新作歌舞伎に出演されるのは珍しい!重厚で迫力あるヴ王ですよ。ちなみにケチャ役の中村米吉さんのお父様です。
軽妙な演技が大変にうまい片岡亀蔵さん、二枚舌で徐々にクシャナの忠実な部下になるコミカルなクロトワ役がぴったりです。くるくると変わる表情はディレイビューイングならしっかり見られますよ!

ナウシカの良き相談者・ユパ役は音羽屋・尾上松也さん。バラエティやスイーツ番組でもおなじみ、最近はミュージカルで見たことある!という方も多いのではないでしょうか。実年齢よりかなり上の役柄ながら、美声とどっしりとした存在感で、全編通して大活躍。本水の立ち回りの美しさは思わず目を奪われます!

魅力的な若手もずらりと出演しています。スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』でルフィを演じていた尾上右近さんはアスベル役で登場。前編の冒頭の口上では、人々をナウシカの世界へと誘います。新作歌舞伎『NARUTO』のうずまきナルト役も好評の坂東巳之助さんはミラルパ・ナムリスの二役、大迫力の悪役ぶりです!ミラルパは「公家悪」という伝統的な歌舞伎の化粧で演じられていますよ。

歌舞伎の面白さもたっぷりと!【前編】のみどころを紹介


まずは尾上右近さんによるナウシカの世界観を説明、口上から始まります。そしてナウシカ登場!キツネリスのテトとのエピソードもしっかり描かれます。歌舞伎には元々動物が登場する演目が多く、その技術は新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』でもいたるところで発揮されていますよ。

ラステルやユパ、風の谷の人々とのふれあい、そしてファンにおなじみ「ガンシップ」と「メーヴェ」。
さらにはクシャナやクロトワ、アスベル、大きな王蟲!風の谷のナウシカの世界を存分に楽しめます。

途中、ナウシカが飛んでいる姿が「遠見」で演じられます。これは遠近感を役の扮装をした子役を使って表現。「一谷嫩軍記」などで使われている、歌舞伎独特の伝統的な手法です!


二幕では「本水」も登場!本物の水を使った立ち廻りで、ヒーローショーのような鮮やかな印象を残します。カメラワークが格好良く、きっとワクワクできるはず。

クロトワとクシャナの対決、開き直ったクロトワの長せりふ。「知らざぁ言って聞かせやしょう」のような、歌舞伎の音の小気味よさに、耳をすませてみてください。

また、衣裳の演出「引抜」もナウシカ・ミラルパで見られます。留めた糸を後見が引き抜くことで、衣裳が一瞬で変化!
特にミラルパが行うのは、役の変化も同時に表現する「ぶっ返り」。上半分を落とすことで衣裳がガラリと変わります。どの場面で使われているかは、本編でご確認ください!

圧倒的スケール!【後編】のみどころ紹介

【後編】は中村種之助さんが演じる道化の物語りからスタート。前編を説明しながら歌舞伎の世界に誘います。軽妙な踊りはお見事!舞台上では各登場人物が「名乗り」を行い凛々しいです。ヴ王はここで初登場。

ナムリスによる弟殺し、クシャナの苦境、風の谷のナウシカの名シーンが続々演じられます。
五幕では、竹本の歌と演奏に合わせて尾上菊之助さんの踊りがたっぷり見られます。王蟲の目を踊りの小道具として使うなんて驚き!全幕を通じて、歌舞伎の小道具がナウシカの世界の道具になっています。次に歌舞伎を見る機会があったら、きっと「ああ!」となるはず。戦士や村人が踊る場面も華やかです。
ナムリス対ナウシカでは迫力ある立ち廻りも。上手(向かって右)で拍子木を板に打ち付ける「ツケ打ち」に合わせて、様式的に戦う歌舞伎ならではの場面です。

大詰めはまさにクライマックスといえる大迫力。カメラがその魅力をたっぷりとスクリーンに映し出してくれます!

ナウシカなのに歌舞伎、歌舞伎なのにナウシカ!見事な世界観の融合


歌舞伎を見たことがない方にもわかりやすく、一方で歌舞伎の伝統的な要素もふんだんに盛り込まれたこの作品。
元々歌舞伎は、能や狂言から書き換えたもの、心中事件などのゴシップをもとにしたものなど、「何でもあり」な大衆芸能でした。その懐の深さはさながらナウシカのよう?
歌舞伎を見たことがない方も、お好きな方も楽しめます。限定上映の「ディレイビューイング」をどうぞお見逃しなく!

YouTubeでは一足お先に予告編を特別公開中です♪
新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』ディレイビューイング予告編

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」公式HP