Culture
2019.09.05

えっ枯山水のボードゲーム?ルールとそのおもしろさを徹底解説!

この記事を書いた人

ボードゲーム「枯山水(かれさんすい)」を購入して1年。まだ遊んだことのない人に、その魅力を伝えたい! ということで、この記事では「枯山水」のおもしろさをじっくりと解説します。

ボードゲーム「枯山水」とは?

2014年に発売したボードゲーム「枯山水」、作者は山田空太さん。
このゲームでは、プレイヤーが禅僧となり、美しい日本庭園をつくっていきます。勝利の決め手は「庭園の美しさ」。芸術点を競い合うゲームです。


こちらがゲームのパッケージ。渋いイラストが目を引きます。

Q.ゲームの名前になっている「枯山水」とは?

そもそも「枯山水」とは、水を使わずに自然にある川や水の流れの美しさを表現した日本庭園の様式のひとつです。

禅庭
小堀遠州作の庭「瑞龍山 南禅寺 臨済宗」(京都・京都市)

このゲームでは、その様式に基づきながら石や庭の波紋を美しく配置していくことで、擬似的に庭園づくりを体験します。

Q.枯山水を遊ぶのに、必要な人数は?

2人〜4人です。
ルールが少し複雑なため、1人以上遊んだことのある人がいると、スムーズに進行できるかもしれません。

Q.枯山水を遊ぶのに、目安の年齢は?

公式では10歳以上が目安となっています。
その理由は、禅にまつわる単語も多く登場するため。また、瞬発力よりも戦略が重要となるゲームのため、大人のほうが楽しめるかもしれません。

Q.枯山水を遊ぶのに、かかる時間は?

公式では60-90分となっています。
実際に何度か遊んでみたところ、最低でも90分かかりました。

枯山水のおもしろさ

さて枯山水のおもしろさは、日本人ならではの「侘び寂び(わびさび)」の感覚をベースにしている点。ゲームに使う駒やボード、カード、ゲーム設計や用語からもそのおもしろさが伝わるはずです。

枯山水のポイント1 内容物の美しさ

パッケージを開けてみると、石やカードが標本のようにきれいに納まっています。

内容物は、寺院ボード1枚に禅僧駒と円相駒。プレイヤー分の庭園ボードに波紋タイルと石。それに加えて「作庭家カード」「名庭園カード」があります。


カードは2種類。「作庭家カード」と「名庭園カード」。よーく見てみると、作庭家カードの裏面には庭を眺める人の姿があるんです。細かなデザインにうっとりします。

石は、横石、立石、臥石、立石、舟石の5種類。1つずつ形が違うため、どの石がどの種類かわかるように底面に記号が印字されています。


色や形の異なる石。どれを選ぶか考えるのも楽しみのひとつ。

枯山水のポイント2 作庭家カードと名庭園カード

作庭家カード」は千利休や善阿弥、小堀遠州など禅に縁のある偉人の描かれたカード。このカードを使うと、ゲームを有利に進めることができます。9種類あり、それぞれできることが違います。

また「名庭園カード」は、龍安寺や南禅寺などの寺院の庭が描かれており、そこに指定されたとおりの手順をとることで得点をもらえるしくみになっています。


カードを眺めているだけで、こんな庭もあるのかと勉強になる。

枯山水のポイント3 「徳」を積むシステム

このゲームの一番おもしろいポイントが「」を積むシステム。いわゆるポイントのようなもので、徳を積むと新しい石をもらえたり、他人からアイテムを奪うアクションを選ぶと徳が減ったりします。


ゲームをしていると「徳積みます〜」といった会話が、ナチュラルに飛び交うのがおもしろい。

枯山水のルールとゲームの流れ

ここからは、ざっくりとルールとゲームの流れを解説します。
まず、ゲームを始める前のセッティングは以下のように、寺院ボードを囲むようにして庭園ボードを自分の前に置きます。


2人で遊ぶ場合。大きなボードが寺院ボード。小さなボードが庭園ボード。

このゲームでは、自分の庭園ボードに波紋タイルを並べて、その上に石を置き、美しい庭園を完成させていきます。


これが波紋タイル。寺院ボードに置かれている裏返しのタイルの山の中から、ランダムで引いて並べていきます。

原則的に、石は禅僧駒のいる縦列にしか置けません。また苔のあるタイルの上にしか石を隣接して置けません。

プレイヤーの手元には、先ほど紹介した「名庭園カード」と「作庭家カード」が配られています。名庭園カードに描かれたとおりに石を並べると、カードに書かれた得点を獲得することができます。

それでは、ゲームをプレイしてみましょう。

枯山水の基本的な流れ

自分のターンで行う手順は、前半後半の2つがあります。

(1)前半・庭をつくる 〜砂紋タイルを引く〜

最初に、砂紋タイルの山から1枚引いて、左上か左下の隅に置き、その上に禅僧駒を置きます。

2回目以降は、同じように砂紋タイルを並べていくか、引いたタイルを廃棄・保管・強奪などを選択できます。ちなみに「強奪」とは、他人の引いた砂紋タイルを奪うこと。その際は、徳がひとつ減ってしまいます。

(2)後半・禅をおこなう 〜徳を積んだり石を置く〜

次に、以下の4つから好きな行動を選べます。
座禅」・・・徳を積みます。中央の寺院ボードにある円相駒を1つ進めます。
禅僧駒の移動」・・・自分の庭の上にある禅僧駒を移動させます。
石の獲得と設置」・・・積んだ徳に応じて、石を獲得・自分の庭の上に設置できます。
作庭家カードの使用」・・・手持ちのカードを後悔して、そこに書かれたアクションを取れます。

(1)(2)が終わったら、次の人のターンです。これを繰り返して、庭をつくっていきます。

枯山水の得点計算

プレイヤー全員の庭園に砂紋タイルが並べられたら終了です。得点表にしたがって、作られた庭を計算していきます。美しく洗練された庭は評価が高くなり、過剰な要素や不均整の庭は評価が低くなります。

例えば上のような状態の場合、以下のように計算していきます。

砂の基礎点(砂タイルのみで構成される最大の長方形)・・・10点
苔の基礎点(苔タイルの数×2点)・・・4点
対称性ボーナス(横列の5枚が左右対称)・・・5点
渦ボーナス(真円を構成するタイル×2点)・・・8点
砂紋の減点(途切れている辺1箇所につき)・・・-2点
石の基礎点・・・1種類につき2点
石組み 桂馬置きボーナス・・・5点
石組み 舟石ボーナス・・・3点

※実際は、これにゲーム終了時に残した徳など他の評価点も加算されていきます。

砂の基礎点、苔の基礎、対称性、渦、砂紋の切れがないか?石の種類、石の並べ方の組み合わせ…あらゆる芸術点を加味して計算した結果、もっとも点数の高い人が勝者となります。

枯山水は、ゆったり遊びたい大人におすすめ

「枯山水」のおもしろさ、少しでも伝わったでしょうか。デザインからルールまで、とことん日本美を感じる美しいボードゲーム「枯山水」。芸術性の高いゲームだけあって、最後の得点計算はフィギュアスケートのようなおもしろさがあります。ゲームの流れは一見複雑ですが、初めてボードゲームをプレイする人でも大丈夫。時間制限がないため、ゆっくりと自分たちのペースで楽しめます。宴会のおわりや昼休み(ちょっと時間がはみでるかもしれないけど)に遊ぶのもおすすめです。


我が家のねこ「すい」ちゃん、「枯山水(かれさんすい)」 のパッケージに描かれた夢窓疎石と同じ表情をしていました。

枯山水をプレイする前に読みたい、おすすめの記事

日本庭園の基礎知識30。種類や見どころを解説