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2019.09.13

モナ・リザにも負けない! 美しく微笑む仏像、観音さまベスト3

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思わず見とれてしまう美しい佇まいの仏像たち。中宮寺の「菩薩半跏像」、向源寺の「十一面観音立像」、聖林寺の「十一面観音立像」は、国宝仏像の中でもとりわけファンが多い3観音像。その温かい微笑みで、見る者の心をほっこりと癒してくれます。

その微笑みに癒される…! 奇跡の3観音はこちら

中宮寺「菩薩半跏像」

如意輪(にょいりん)観音の姿と伝えられる中宮寺の「菩薩半跏像(ぼさつはんかぞう)」。片足を上げて思索にふける姿から「半跏思惟像(はんかしゆいぞう)」と呼ばれることも。

モナ・リザにも負けない! 美しく微笑む仏像、観音さまベスト3「菩薩半跏像」国宝 寄木造 高さ87.1㎝ 飛鳥時代・7世紀 中宮寺

静けさが漂う美しい姿は、聖徳太子の母・穴穂部間人皇后(あなほべのはしひとこうごう)の姿を写しているとも伝えられています。慈愛に満ちた表情は、「奇跡のアルカイックスマイル」といわれるほど。エジプトの「スフィンクス」、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」と並び、“世界の3微笑”と称されます。

向源寺「十一面観音立像」

向源寺の「十一面観音立像(じゅういちめんかんのんりゅうぞう)」は、ゆったりとした腰から足元にかけてのプロポーションと長い手が印象的です。

モナ・リザにも負けない! 美しく微笑む仏像、観音さまベスト3「十一面観音立像」国宝 一木造 高さ194㎝ 平安時代 向源寺

一本の檜(ひのき)から彫り出された観音像で、十一の顔があり、頭部の後ろには「暴悪大笑面(ぼうあくだいしょうめん)」という人間の煩悩(ぼんのう)を笑い飛ばす複雑な顔が。腰のひねりや足の重心を傾けたスタイルはインドや大陸の影響も考えられます。戦国時代、織田信長と浅井長政による姉川(あねがわ)の戦いのときに、住職と村人たちが土に埋めて戦火から守ったという逸話も。

聖林寺「十一面観音立像」

聖林寺の「十一面観音立像」も明治時代に危機から救われました。もとは三輪山(みわやま)の大御輪寺(だいごりんじ)の本尊でしたが、幕末から明治の初めに廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の嵐が吹き荒れる中で、聖林寺の住職たちによって救い出されたのです。

モナ・リザにも負けない! 美しく微笑む仏像、観音さまベスト3「十一面観音立像」国宝 木心乾漆造 高さ209㎝ 奈良時代 聖林寺

秘仏とされていましたが、明治20(1887)年、日本の文化財を調査していたフェノロサによって世に出ることになりました。明治30(1897)年に旧国宝制度ができたときに国宝に指定され、戦後、新しい国宝制度が発足した折も、第1回の国宝指定に選ばれました。まっすぐたおやかな身体に対して表情は男性的で雄大な印象を与えます。

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