Culture
2018.05.10

歌舞伎の女型のすごさとは?八重垣姫とニジンスキーを徹底比較

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日本の伝統芸能である歌舞伎を、世界のエンタメと比べ共通点をみつけてみることで、その意外な面白さや楽しみを発見! 今回は、ロシアの天才バレエダンサー「ニジンスキー」と、歌舞伎のお姫様の中でも特に難しいとされる「八重垣姫(やえがきひめ)」を比べてみました。

ニジンスキーの跳躍と、霊力で飛ぶ八重垣姫

ロシア・バレエ史のスターの中でも最も伝説的な人はヴァーツラフ・ニジンスキーでしょう。その華麗なジャンプは、自分の身長より高く跳び、しかもありえないほど長く空中にとどまるため、「飛行するニジンスキー」「空中の皇帝」などと賞賛されました。バレエの観客は、実際に目の前に起こった素晴らしい跳躍に拍手します。

歌舞伎ヴァーツラフ・ニジンスキー(1890〜1950)。“飛んだまま降りてこない”とまで言われた跳躍。写真の演目は「ジゼル」1910年。写真提供/アフロ

一方、「翼がほしい、羽根が欲しい、飛んで行きたい、知らせたい」と悶絶するのは、歌舞伎「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」の八重垣姫です。死んだと思っていた恋人が生きていた。その恋焦がれた男の命を救うため、氷の張りつめた湖を渡ろうとする姫君。恋人を救いたい一念から狐が乗り移った姫は、なんと狐の霊力で湖上を駆け抜けてゆきます。お姫様ゆえの大胆さを愛らしく感じ、飛んで行きたいという姫の願いが叶ったとき、お姫様と一緒に観客も快く飛躍できてしまうのです。

歌舞伎豊原国周「歌舞伎座中幕廿四孝八重垣姫 尾上菊五郎」慶應義塾蔵

観ている人の想像を掻き立て、一緒に飛躍した気持ちにさせてしまう歌舞伎。現実のジャンプに拍手を送るバレエとは、また違った面白さがあります。さぁ、新しい魅力を発見したところで、歌舞伎を観にいってみませんか?

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