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2017.11.16

運営はニトリ!建築に注目、北海道小樽の銀行をリノベした「似鳥美術館」

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全国個性派美術館への旅、今回ご紹介するのは似鳥美術館です。

かつて栄えた小樽の銀行街に美術館が誕生

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明治時代〜昭和初期、「北のウォール街」と呼ばれ、経済発展の拠点として栄えた小樽の銀行街は、今でも古く貴重な建造物がひしめくエリアです。そんな場所に新たに誕生した「小樽芸術村」。村内には、3つの施設が点在、そのなかのひとつ「似鳥美術館」は、市の歴史的建造物に指定されている「旧北海道拓殖銀行小樽支店」をリノベーションし、誕生しました。

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建築の最大の特徴とも言える2フロアの吹き抜けには、銀行時代の名残が。2階に配された回廊は、当時のアメリカ銀行建築にならった強盗対策の防犯用のもの。銀行の閉鎖後は、ホテルや美術館、またホテルと、たびたびリノベーションが行われましたが、今回の「似鳥美術館」は、拓銀の建築をベースに改装を実施。一部には、ホテルを手がけた有名建築家ナイジェル・コーツのコンセプト「船」を表現した、床タイルやバルコニーバー階段など、最も美しいリノベーションといわれた当時の内装も活かしています。

DMA-P17_個性派2岸田劉生「黒き土の上に立てる女」1914年 小樽芸術村蔵

美術館を運営するのは、国内の大手家具・インテリアメーカーの「ニトリ」。北海道出身の似鳥会長は幼いころに絵画に救われたことから美術への造詣を深め作品を蒐集、そのコレクションを広く鑑賞してもらいたいと開館。およそ300点の所蔵品は地下1階、地上4フロアに展示されています。コレクションの中心となるのは、小樽が栄華を極めた時代に活躍した作家の作品で、なかでも美術界のニュースとなっているのが、岸田劉生の「黒き土の上に立てる女」。長年焼失されたといわれていた幻の作品が、51年ぶりに見つかり「似鳥美術館」のもとへ。胸をあらわにした農婦からは満ちあふれる生命力が感じられます。

DMA-P17_個性派3米原雲海 「木彫竹取翁」 小樽芸術村蔵

2階には、高村光雲とその弟子たちの木彫などを展示。高村光雲の写実表現を加えた木彫を復活させた作品の数々、かぐや姫を見つけた瞬間の喜びまで伝わってくる高雲の弟子の米原雲海による「竹取翁」も必見です。

DMA-P17_個性派4地下1階には、アールヌーヴォーを代表する作家の作品が約160点並ぶ。

地下1階の「アールヌーヴォー・アールデコグラスギャラリー」には、色とりどりのランプが集合した「ランプの森」があり、その幻想的な光景に足を止めて鑑賞に浸る女性も多いのだとか。小樽運河すぐ近くの新たな名所「小樽芸術村」で静かな鑑賞のときを過ごしてみては。

似鳥美術館

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