Gourmet
2020.06.12

梅雨には梅酢だ!消化促進・美肌効果に期待大!「しじみのスープ」ほか梅酢レシピ

この記事を書いた人

そろそろ梅雨ですね。梅に雨と書いて「梅雨」ですが、梅はこの時期の心身を健やかに保つのに欠かせない食材です。

梅と聞くと「梅干し」をイメージする方も多いかもしれませんが、より手軽に使える「梅酢」をご存知でしょうか。

梅酢は梅干しをつくる過程で発生する液体のことで、梅のエキスがギュッと凝縮しています。美味しくて、いろいろな料理にも使いまわせる万能調味料!

市販品もあり比較的手ごろな価格で購入できますが、一般的にはまだ広く知られていないような気がします。

私自身は毎年梅干しを作っていますが、「(梅干しよりも)梅酢がもっと欲しい」と思うほどに、いろいろな場面で活躍しています。

そこで今回は、梅酢の正体と効能、市販の梅酢を使って作るおすすめ簡単レシピなどをご紹介したいと思います。梅酢のパワーで、梅雨も健やかに過ごしていきましょう!

梅酢とは?

梅酢とは、梅干しを作る際に、梅を塩漬けにする過程で梅から出た液体のこと。梅干しの副産物とも言える存在です。

「酢」という文字が入っていますが、通常のお酢のように酢酸を含んでいません。まろやかな酸味と梅の香りを楽しめるのが特徴です。

梅と塩を保存瓶に入れて2週間ほど待つと、梅酢ができあがります。水を全く加えずに出てきた液体なので、梅のエキスが凝縮! ひとなめすると、身体に染み込むような味わいがあります。

梅酢は古くから調味料として親しまれ、味噌や醤油などがない時代には、塩と並んで使われる万能調味料だったのだとか。

ちなみに、梅と塩だけでできたものが「白梅酢」、そこに赤紫蘇を加えたものが「赤梅酢」。赤梅酢は、赤ジソの爽やかな香りも楽しむことができます。市販品では赤梅酢を見かけることが多いですが、どちらでも同じように使用することができます。

驚くべき梅酢のパワー

梅酢は、梅干しに勝るとも劣らない、さまざまな効能が期待されています。

・食欲増進・消化促進…梅干しと同様に、梅酢には食欲を高めて消化を助ける働きがある。そのため、梅雨~夏にかけての食欲が落ちやすい時期にもぴったり。

・殺菌効果…梅酢に含まれる塩分やクエン酸には、強い殺菌効果がある。原液や水などで薄めたものは、掃除やまな板の殺菌、うがい用、食中毒予防などにも使用できる。

・老化防止・美肌効果…抗酸化作用の高いポリフェノールを多く含むことから、老化防止や美肌効果なども期待されている。

昔ながらの製法で作った梅酢の場合、塩分が約20%、クエン酸やアミノ酸などが約4%、そしてミネラルが豊富に含まれています。

クエン酸は、スポーツドリンクなどにも含まれていることで知られていますが、ミネラルの吸収を助けてくれる働きがあります。そのため、ミネラルの欠乏によって起こる熱中症の予防にも、梅酢はぴったりというわけです。

ちなみに、私自身が最近気に入っているのは、肩こりや頭痛などの時の「梅酢湿布」。梅酢を少量の水で溶かしたものをガーゼなどに染み込ませて患部に貼るという民間療法のひとつで、梅の血行促進作用や鎮静作用などを利用したものです。

外出自粛で買い物の回数を減らしていた時などにも、梅酢湿布はとても役立ちました。ただし、赤梅酢を使うと、貼った部分に薄っすらと跡が残ることも多いので、くれぐれも気を付けてくださいね。

梅酢を味わってみよう

さて。何はともあれ、梅酢を味わってみましょう。梅酢は、自然食品店や大きいスーパー、通販などでもよく見かけます。まずはお試し感覚で、少量の梅酢を購入してみるといいかもしれません。

梅酢のお湯割り/水割り

そのままだと塩気や酸味が強い場合が多いので、お湯や水で割って飲んでみるのがおすすめ。夏場のスポーツドリンクとしても活用できます。

〈材料〉1人分
・梅酢 小さじ1/4~1/2
・お湯(または水) 150㏄

〈作り方〉
コップに梅酢を入れて、お湯(または水)を注ぎ、混ぜる。梅酢の量はお好みで調整する。梅酢を入れた後で「塩気が強い」と感じたら、お湯(または水)の量を増やす。

梅酢を使って、手軽に養生ごはん

梅干しを作っている方のなかには「梅酢ができたけれど、使い方が分からない」「ずっと放置している」という声もよく聞きます。

そこで、これからの時期におすすめの梅酢を使った料理をご紹介しますね。梅酢があると、蒸し暑い時期の身体が喜ぶ料理が簡単に作れます。

【簡単レシピ1】梅酢のみょうが漬け

食欲をそそる風味と強い殺菌作用を持つ梅酢は、保存食や常備菜づくりにも向いています。みょうがの代わりに、新生姜やセロリなどを使っても美味しいです。

〈材料〉作りやすい分量
・みょうが 2個
・梅酢 大さじ1

〈作り方〉
1.みょうがは縦半分に切った後、千切りにする(アクが気になる方は水にさらす)。
2.ボウルに1のみょうがと梅酢を入れて、さっと混ぜ合わせる。少し時間を置いて、みょうががしんなりしてきたら食べ頃。

冷奴や素麺などに添えるのも、よく合います。夏の料理は身体を冷やすもの多いですが、みょうがなどの薬味を加えることで冷やす作用を和らげてくれます。口だけでなく、身体にも美味しい料理ができあがり!

【簡単レシピ2】しじみの梅酢スープ

昔から「土用しじみは腹ぐすり」とも言われ、暑い夏の日にしじみなどの滋養のある食材を食べる習慣があります。しじみの味噌汁や潮汁も美味しいですが、梅酢を加えたスープもこれまた格別! 身体に染み込む味わいです。

〈材料〉2人分
・しじみ 80~100g
・梅酢 大さじ1
・昆布出汁(または水) 350㏄
・青ねぎなどの香味野菜(お好みで)適量

〈作り方〉
1.しじみは真水に漬けて1時間以上置き、砂出しをする。
2.鍋に昆布出汁を入れて、火にかける。沸騰したら弱火にして、しじみを加える。
3.しじみが全て開いたら火をとめて、梅酢を加えて味をととのえる。器に盛りつけて、お好みで刻んだ青ねぎを散らす。

【その他の簡単レシピ】おにぎりや青魚料理にも

おにぎりを握る時に、塩の代わりに梅酢を手に付けるという使い方も。美味しいだけでなく、食中毒予防にもなって一石二鳥! ごはんを炊く際に梅酢を加えるのもおすすめです。

イワシなどの青魚と梅酢の組み合わせも、よく合います。梅酢の風味によって魚の独特の臭みが消えて、魚嫌いの方も食べやすくなります。

梅酢のパワーで梅雨も健やかに

梅のエキスが凝縮した梅酢。高温多湿で身体が疲れやすい梅雨~夏のお助けアイテムとも言えそうです。

普段の料理に少し加えるだけでも、ぐっと奥深い味わいに変わります。簡単レシピをご参考に、お気に入りの食べ方をぜひ見つけてみてくださいね。

先人の知恵と自然の恵みが凝縮した梅酢のパワーで、梅雨も健やかに過ごせますように。

書いた人

バックパッカー時代に世界35カ国を旅したことがきっかけで、日本文化に関心を持つ。大学卒業後、まちづくりの仕事に10年以上関わるなかで食の大切さを再確認し、「養生ふうど」を立ち上げる。現在は、郷土料理をのこす・つくる・伝える活動をしている。好奇心が旺盛だが、おっちょこちょい。主な資格は、国際薬膳師と登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。https://yojofudo.com/