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Fashion&きもの

2026.06.09

「ロエベ」の誕生は江戸後期!時代を超えて愛される手仕事の豊かさと創造性―― 創立180周年を祝い、その原点を振り返る

皮革産業の本場スペインに伝わる手仕事の豊かさ、遊び心、創造性をもって、独自の世界観を築き上げてきた世界的なラグジュアリーブランド「ロエベ」。180年に及ぶ歴史を振り返りながら、時代を超越して愛され続ける、かけがえのないレガシーをひもときます。
アイキャッチ写真:アーティストのデイヴィッド・シュリグリーによるアートワークが印象的な、「ロエベ」180周年を祝う『アマソナ180』のスペシャルデザイン。バッグの中から覗く愛らしいモチーフは、創業者エンリケ・ロエベ・ロスバーグがドイツ出身であり、ドイツ語でLoewe=ライオンを意味することから採用されて。上質なナパレザーにフリンジカットを施し、ライオンの毛並みを表現したテクスチャーは、まさに高度なレザー技術の賜物。バッグ『ライオン フリンジカット アマソナ180』[縦22.5×横28×マチ11cm/ショルダーハンドルとクロスボディストラップ付き]¥816,200(ロエベ ジャパン)

豊かなクリエイションの真髄に迫る「ロエベ」180年の軌跡

【1846年】「ロエベ」の前身は、マドリードに集結した職人たちの皮革工房!

革小物から著名なクライアントの特注品まで、さまざまな製品を手がけていた「E. Loewe」は、当時、“革製品の工場”と称されていた。身嗜みを整えた職人たちの作業風景(上)、スペイン王室御用達の称号が掲げられた当時の広告(下)からも、「ロエベ」の格式の高さがうかがえる。

「ロエベ」の歴史は、ドイツ出身の皮革職人、エンリケ・ロエベ・ロスバーグが皮革産業の本場であるスペインで、上質な革を巧みに操る職人たちの技術力の高さと想像力の豊かさにインスパイアされたことに始まります。

1846年、マドリードに小さな工房を開いた皮革職人たちと業務提携を果たしたエンリケ・ロエベ・ロスバーグは、1872年に「E. Loewe」を設立。1890年代初期、現地で最も華やかなプリンシペ通りに、「E. Loewe」の名を冠した大型の店舗兼レザー工房を開設。女性用のハンドバッグのデザインも、ここから本格的に始まりました。

エンリケ・ロエベ・ロスバーグの精密な技術手法と、上質なスペインレザーを操る職人たちとのタッグで生まれる製品は、瞬く間に王室関係者の目に留まることに。2代目に当主が代わり、1905年には国王アルフォンソ13世からスペイン王室御用達の栄誉を授かります。これを機に「E. Loewe」の評判はさらに高まり、王侯貴族から特注品の依頼が殺到! 20世紀初頭は、自動車や鉄道などの移動手段が急速に発展した時代。また、クルーズ船でヨーロッパ各地を巡る旅も、富裕層に大流行。「E. Loewe」製の旅の特注品は、彼らのステイタスシンボルとなったのです。

そのころ日本は…
1853(嘉永6)年、米国東インド艦隊の司令長官ペリーが黒船を率いて、浦賀に来航。翌年、日米和親条約が結ばれ、215年間続いた鎖国に終止符が打たれた。これを機に日本文化は海を渡り、葛飾北斎や歌川広重などの浮世絵が、19世紀後半の「ジャポニスム」ブームに多大な影響を与えた。

【1939年】マドリードに旗艦店が誕生!詩情豊かなウィンドーは、道行く人々を虜に…

アール・デコ建築が目を引く、オープン当初の「グランヴィア店」(左)。人々を魅了したウィンドーディスプレイ(中央)は、ホセ・ペレス・デ・ロサスの手描きの水彩画(右)でイメージを固めてから具現化されていた。四季折々の草花や、異国の情景を映し出す演出は、まるで映画のワンシーンを見ているかのよう。このDNAは、現代のストア演出にも垣間見られる。

20世紀は、スペインの芸術、建築、文化が花開いた時代。それらをひと目見ようと、国外から目の肥えた来訪者が急増。映画のロケーションにも使われるなど、スペイン市内は活気に満ち溢れていたといいます。どこを切り取っても美しい「グランヴィア店」も、そのひとつでした。ブティックのビジターブックには、ソフィア・ローレンやケーリー・グランド、モナコ公妃のグレース・ケリーといったきらびやかな名が残されています。

また「グランヴィア店」といえば、「ロエベ」の視覚的アイデンティティが初めて統一された伝説の場所。ウインドーディスプレイを手がけたのは、1945〜78年にかけてアーティスティック ディレクターを務めたホセ・ペレス・デ・ロサス。道行く人々は、シーズンごとに変わる「ロエベ」の詩的な世界を心待ちにしていたそうです。

【1950年代】大規模なレザークラフト工場を建設。次世代に技術を継承する学校も併設されて――

生産拠点が一気に拡大した’50年代のレザークラフト工場では、創業時に比べて働くスタッフの数も年齢も広がりを見せている。そのほとんどが、「ロエベ 」による職人養成学校の卒業生。磨き上げられた職人技、「ロエベ」のクラフト魂が、次世代へと脈々と受け継がれている。

「ロエベ」製品の人気の高まりと共に、マドリードの中心部にレザークラフトの学校を併設した世界有数の工場を建設。現在これらの革小物の生産拠点は、マドリード郊外のヘタフェに移転。メイド・イン・スペインの極上のレザー、最新テクノロジーと手仕事を駆使してつくられるアイテムは、今も変わらず、スペインから全世界へ発信されています。

そのころ日本は…
戦後復興を急速な勢いで成し遂げ、高度経済成長期を迎える。昭和の家電の「三種の神器」と称された、洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビが豊かさの象徴に。1958年には、当時の皇太子殿下(明仁親王)と正田美智子さんの婚約により、ミッチーブームが巻き起こる。

【1975年】社会的自立を果たす女性のためのお仕事バッグ、『アマソナ』デビュー!

滑らかなスエード×ナパレザーによる初代『アマソナ』は、A4の書類もすっぽり収まる実用的なサイズ感で、働く女性のステイタスシンボルに。誕生から半世紀を超えた今年は、現クリエイティブ ディレクターのジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスが再解釈した新生『アマソナ180』が誕生! いつの時代も多彩なオケージョンに即したディテール、豊富なラインナップから目が離せない。

初代『アマソナ』が誕生した背景には、スペイン国内における女性たちの社会進出が影響しています。時代の感覚を見事に取り入れた『アマソナ』は、まさに女性たちの“自信と自立”の象徴! 滑らかなスエードバッグの中央を飾るのは、お馴染みの4つの「L」からなるアナグラム。時代と共に再解釈されているアナグラムは、元々はスペインの画家で1958年~98年に「ロエベ」のアーティスティック ディレクターを務めた、ビセンテ・ベラが焼き印をヒントに創案。フェミニンな小ぶりのバッグが主流の時代に、大きさもマチ幅もたっぷりある『アマソナ』のデビューが、どれだけ鮮烈なものだったか、想像に難くありません。

【1970〜80年代】世界中にプレタポルテを拡大!ラグジュアリーブランドの地位を不動のものに

1980年代のレディスのランウェイ(中央)の様子とメンズの広告(右)。ビジュアルプレゼンテーションにおいても、当時から「ロエベ」独自の美意識が光る。カール・ラガーフェルドがデザインを担っていた時代の貴重な絵型(左)も、大切に保管されて。

「ロエベ」初のプレタポルテラインが発表されたのは、1965年。デビューとなるレディスのランウェイは、ラグジュアリーブランド「ロエベ」の名を世界中に印象づけました。1973年には、ヨーロッパ以外では初めて日本に出店。世界中の首都に進出し、アジア各地には30以上の店舗と販売店を拡大するまでに。また時を同じくして、初の女性用パフュームを発売するなど、本格的にフレグランスの領域にも参入。1980年代以降は、メンズのプレタポルテラインにも挑戦していきます。

そのころ日本は… 
1967年(昭和42年)に英国からツイッギーが来日して以降、1970年ごろにかけて日本ではミニスカブームが到来! 海外のブランドを取り入れた横浜発祥のニュートラも大流行。1970年に大阪で開催された「日本万国博覧会」を機に、海外のファッションブランドも続々と日本上陸を果たす。

【2016年】現代の工芸を称える国際的な賞「ロエベ財団 クラフトプライズ」を設立

「ロエベ財団 クラフトプライズ 2026」でファイナリストに残った30組の作品は、今年の6月14日まで、シンガポールの「ナショナル・ギャラリー・シンガポール」で展示中。※写真は巡回展のイメージで、大賞受賞者の作品とは一切関係ありません。

「ロエベ」の現当主、4代目のエンリケ・ロエベ・リンチによって1988年に設立された「ロエベ財団」は、主にアートとクラフト、写真、デザイン、詩、ダンスなどの活動における創造性を前進させ、教育プログラムを促進し、文化遺産を保護することを使命に掲げています。その活動を通して培ってきたクラフトの伝統をさらに保護するため、優れた現代工芸を称える世界初の国際的な賞が「ロエベ財団 クラフトプライズ」。現在は、娘のシーラ・ロエベが「ロエベ財団」のプレジデントを務めています。

現代クラフトの卓越性、革新性、芸術的価値に注目するこの賞は、年に一度開催。マドリードでの初開催から10年目を迎えた今年は、シンガポールが会場に選ばれました。過去最多の応募作品の中から大賞に輝いたのは、韓国出身の陶芸家、ジョンジン・パク。創業時から一貫してクラフトに敬意を表し、常に進化の手を止めない「ロエベ」による文化表彰の取り組みからも、ますます目が離せません。

【2026年】180周年を祝う特別デザインの名作バッグに、思わず笑みが溢れて

右/『フラメンコ』の特徴のひとつであるコイル状のストラップは、ライオンのしっぽに見立てたふわふわのファーに更新。『ライオン インターシャ フラメンコクラッチ』[縦24.5×横30×マチ10.5cm/クロスボディストラップ付き]¥522,500・中央/ボディ全面にビーズ刺しゅうを施した、手仕事溢れる逸品。『ライオン ビーズ フラメンコパース』[縦20×横30×マチ10.5cm/クロスボディストラップ付き]¥1,171,500・左/本カプセルコレクションのレザータグが付いたワンハンドルバッグ『アマソナ180』。フロントコンパートメントの内側に潜むライオンの表情にも注目を!『ライオン インターシャ アマソナ180 スモール』¥727,100[縦18.5×横24.5×マチ10cm/ショルダーハンドルとクロスボディストラップ付き](ロエベ ジャパン)

メモリアルイヤーを盛り上げるカプセルコレクションには、「ロエベ」のクラフツマンシップを代表する『アマソナ』を再解釈した『アマソナ180』や『フラメンコクラッチ』などのアイコニックなラインが採用されています。名作バッグに配されたなんともユーモラスなライオンモチーフは、ときにフロントコンパートメントの内側に潜んでいたり、ときにボディにあしらわれていたりしながら、世界で2番目に歴史あるラグジュアリーファッションブランド「ロエベ」の起源を想起させます。ライオンの毛並みやしっぽ、耳といったディテールを、遊び心に満ちたクラフトで表現する職人技も必見です!

※価格表記はすべて税込です。

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和樂web編集部


撮影/小池紀行(CASK) 構成/兼信実加子、遠藤智子(和樂web)
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