まだ鮮明な写真がない時代、「グラビアアイドル」として男性たちの目を癒していたのが、浮世絵や美人画に描かれた美女たちです。写真のようなリアルさはないけれど、それがかえって想像を掻き立て、匂い立つような色っぽさを放つもの。芸術作品として楽しめる、繊細なセクシーシーンをご堪能ください!
「大正の歌麿」と呼ばれる美人画家・橋口五葉
浮世絵研究家であり、自身も繊細な美人画を描いた橋口五葉(はしぐち ごよう)。明治末期から大正時代にかけて活躍し、喜多川歌麿(きたがわ うたまろ)の技法を取り入れながら新しい表現も見せ、「大正の歌麿」と称されました。
髪梳ける女
美しい曲線を描く豊かな髪を梳く女性。胸元のはだけた浴衣姿からは、じんわり汗ばむような、夏の夜の情緒を漂わせています。
化粧の女
女性がお化粧する姿って、何だか秘密を覗いているようで色っぽい。この女性は、肩から胸まですっかりはだけて、体にも丁寧にお化粧をしています。一体誰に見せるのでしょう?
浴後の女
入浴後に寛いでいるのでしょうか。丁寧に結上げられた髪が、ともすればエロティックになる絵に気品をもたらしています。しどけない姿と真っ白な肌、首筋にはりついた後れ毛に、目が奪われてしまう一枚です。
夏衣の女
先にご紹介した3人の女性より、いくらか年上に感じられる女性。ふとこちらに気付いたのでしょうか。今にも立ち上がろうとしています。視線の先にある人物とこの女性は、この後どのような時を過ごすのでしょう。
江戸を代表する浮世絵師・喜多川歌麿
橋口五葉を「大正の歌麿」とご紹介しましたが、そもそも歌麿ってどちら様?という方も多いでしょう。喜多川歌麿は、繊細な描線で女性の美しさを表すことを得意とした、葛飾北斎(かつしか ほくさい)と並び称される浮世絵師です。大首絵(おおくびえ)と呼ばれる上半身アップの浮世絵を考案し、江戸の町民から絶大な人気を誇りました。
北国五色墨・てっぽう
歌麿は、名もなき遊女たちを多く題材に取り上げました。「てっぽう」とは最下級の遊女のことで、一夜を共にすると病気にかかることが多かったため、「当たると死ぬ」という意味でてっぽうと呼ばれました。官能的なだけでなく、どこか退廃的な美を感じる一枚です。
教訓親の目鑑・不作者
こちらも遊女。衣服や髪型から、ある程度位の高い遊女だと推測されます。体に入れた客の名前の刺青を、お灸で消しているところなのだとか。江戸の遊女たちは、お客への愛の証として、体にお客の名前を彫ることがあったのです。
見れば見るほど味わいが深まる浮世絵・美人画
動画や写真で、いくらでもリアルな映像が見られる時代です。そんな時代だからこそ、自分の想像力にまかせて「絵」をじっくり味わってみてはいかがでしょう。余計な情報がないからこそ、自分好みのストーリーを描けるというもの。浮世絵や美人画に描かれた美しい女性が、豊かなイマジネーションの世界へあなたを誘います。
合わせて読みたい!
え!ブロマイドだったの?みんな持ってた歌麿の浮世絵が可愛すぎ!