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2016.12.15

「仙厓ワールド」で禅画に魅了されてみませんか?@永青文庫

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東京の文京区にある永青文庫で、禅画の名手、仙厓の作品を10月から1月までという3ヶ月半もの間展示するという『仙厓ワールド』が開催中なのはご存知でしょうか!?禅画についての勉強を始め、まだたったの2ヶ月の私、yuですが仙厓の作品は「禅=難解」というイメージをとりはらってくれた、ひと目みて思わずくすりとしてしまうハッピーなもの!そんな仙厓さんに魅かれ、すっかりファンになってしまった私。今回の展覧会は楽しみで楽しみで足早に永青文庫へと向かいました。

永青文庫は東京メトロ早稲田駅から徒歩15分ほど。早稲田大学の学生に紛れながらどんどんと歩き(ダイエットにもいいですよ!)、階段を上ると雰囲気のある建物が見えてきました。永青文庫へと到着です。

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永青文庫は、細川家に伝わるコレクションを保存・研究・展示する目的で1950年に設立しました。主に所蔵品で構成する展覧会は会期も長く、じっくりと作品を観ることができるということで、日本美術ファンに定評がある美術館です。今回の展示も第1期から第4期に分かれており、各期ごとに全点展示切り替えが行われます。私が行った日の展示は第3期。第1期も第2期も見たかった!なんてくよくよしても仕方ありませんね。

今回の展示の中で一番のお気に入りがこちら!

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『野雪隠図』19世紀 永青文庫【12/25まで展示】

賛文は『人ハこんそふな』。その意味は『人は来ないようだ』。こんな場面を絵にするなんてと呆れてしまう人もいるかもしれませんが、厓画無法(がいがむほう)を宣言した仙厓らしいユーモアな作品だなと私はほっこりしました。厓画無法とは「自分の画には他の作品のように一定の法がない。」と73歳の仙厓が宣言したことを言うそうですが、その厓画無法がさらに表れている作品が『寒山図』。禅僧らしからぬ丸々と太った姿が印象的です。

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『寒山図』19世紀 永青文庫【12/25まで展示】

真ん中で拳を振り上げ、怒った顔をしている人。誰だかわかりますか?

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『臨済図』19世紀 永青文庫【12/25まで展示】

臨済宗の開祖、臨済義玄です。禅画を勉強していく中で臨済義玄像はいくつか見てきましたが、どの作品も目をカッと見開き、拳を自分の手で押さえつけているような、迫力のすごいものばかり。対して仙厓さんの臨済図。怒っているのはわかるものの、緊張感にかける臨済の表情が実にコミカル。これが臨済図だと知った時にはおもわず笑ってしまいそうになりました。

ゆるくて可愛い作品たち。しかし、それだけではないのが仙厓です。
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『香厳撃竹図』19世紀 永青文庫【12/25まで展示】

こちらは、画面左下から上に向かって竹の葉を断続的に配することで絵から賛文へ自然に目が移るようになっている、仙厓が得意とするテクニックだそう。確かに竹を追っていくと賛文に目がいきます。ただただゆるく可愛く描いているだけでは無いことがわかりますね。

さらに仙厓が得意とした竹図については『野雪隠図』と同じ人が書いたとは思えない、画技の高さをみせる力強さ!『風竹図』はなんと80代の作品だとか。とても老人が描いた絵とは思えません。

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『風竹図』19世紀 永青文庫【12/25まで展示】

今回の展覧会では仙厓の様々な顔を見ることができ、今まで以上に仙厓のことが好きになりました。また、そんな仙厓の作品を展示している永青文庫は都心とは思えないほど自然に溢れ、時間がゆっくりと流れているようで心が落ち着く素敵な場所でした。帰りたくないな〜と、つい物思いにふけってしまいましたが、そうだ!まだ終わりではない!1月7日から第4期展示が始まるからまた来よう!と自分に言い聞かせ重い腰をあげたのでした。みなさんも永青文庫の「仙厓ワールド」で仙厓に魅了されてみませんか?
以上、仙厓ファン歴2ヶ月の日本美術初心者yuがお送りしました!

仙厓ワールド

会期/2016年10月15日(土)~2017年1月29日(日)
【第1期】10月15日~11月6日 ※終了しました 
【第2期】11月8日~11月27日 ※終了しました
【第3期】11月29日~12月25日 
【第4期】2017年1月7日~1月29日 
※仙厓の書画は各期に全点展示替えを行います

会場/永青文庫
住所/東京都文京区目白台1-1-1 地図
開館時間/10時~16時30分(入館は16時まで)
休館日/月曜(2017年1月9日は開館)、12月26日~2017年1月6日、1月10日
入館料/一般800円、シニア(70歳以上)600円、大学・高校生400円、中学生以下無料 ※障害者手帳をご提示の方およびその介助者(1名)は無料。