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2016.12.22

美術展「夏季特別展 雪村 -奇想の誕生」@MIHO MUSIUM

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東京で約15年ぶりの雪村展会期終了!!

2017年3月28日から、上野の東京藝術大学大学美術館で開催されていた雪村展の会期が終了しました。見に行かれた方、いかがでしたでしょうか。前期、後期と展示内容もがらっと変わり、何度行っても楽しめる展示会となっていましたね。

残念ながら雪村展に行き逃してしまった方も、ご安心ください。2017年8月1日(火)〜9月3日(日)までの期間、MIHO MUSIUM(滋賀県甲賀市信楽町代桃谷300 館長:熊倉功夫)にて夏季特別展「雪村-奇想の誕生」が開催されます!

展示期間も夏休みということで、遠方にお住いの方も、旅行の候補地の1つとして楽しむことができますよ!
s_雪村チラシ

ここでほんの少し、東京藝術大学大学美術館での展示作品をおさらいしてみましょう。

鍾馗図(しょうきず)

㈮ 雪村筆《鍾馗図》雪村筆『鍾馗図』1幅 個人蔵 【展示期間:4月25日〜5月21日】 ※東京での会期は終了しました。

鍾馗と虎の決死の対決!!かと思いきや、実は戦っているのではなく遊んでいるそう。そう言われてみると、虎の顔がじゃれてる猫にも見えてきます。鍾馗はとても遊んであげているような表情ではありませんが、虎の手を掴む手から優しさが感じられます。

琴高仙人・群仙図(きんこうせんにん・ぐんせんず)

スクリーンショット 2017-05-15 16.31.31雪村筆『琴高仙人・群仙図』重要文化財 3幅 京都国立博物館蔵 【展示期間:4月25日〜5月21日】※東京での会期は終了しました。

琴高は龍の子を取ってくると言って水中に入り、鯉に乗って現れたという仙人です。鯉を見つめる瞳と、ヒゲにしがみつく手が何とも可愛らしい。その姿を見ている弟子たちの表情は、真剣な顔や少しバカにしているのでは?と思ってしまうようなものまで、様々。

鷹山水図屏風(たかさんすいずびょうぶ)

両隻とも獲物を狙う鷹です。中央には隠し絵のように兎の姿が…!屏風の右側から見ると兎が見えず、鷹は石崖を見ているよう。しかし、左側から見ると今度は鷹の姿が見えなくなります。ついつい屏風の前を行ったり来たり…。このカラクリは雑誌やWEB上では楽しむことができません!展覧会に足を運んで、ぜひ本来の屏風の姿を見てみてください!

「ゆきむら」ではなく「せっそん」です

本展覧会のキャッチコピーは『「ゆきむら」ではなく「せっそん」です』。ついつい「ゆきむら」と読んでしまいがちですが、雪村が何者なのかがわかればもう間違えることはありません!

常陸国(現在の茨城県常陸大宮市)で戦国武将の一族に長男として生まれた雪村でしたが、父が他の妻の子を跡取りとしたため幼いうちに出家し画業の道へと進みました。水墨画の巨匠、雪舟に私淑し独自の水墨画を多く残しました。今となっては西の雪舟、東の雪村と言われるほど。自分の憧れの人と肩を並べちゃうなんて、絵師冥利につきますね!ともあれ雪舟(せっしゅう)に憧れていたから雪村(せっそん)。これでもう「ゆきむら」なんて読まないでくださいよ!

雪村についてもっとよく知りたいところですが、実は雪村の生涯には謎がとても多いのです。生没年すらはっきりとわかっていませんが、少なくとも86歳までは絵を描いていたという記録が残っているそうです。

㈪ 雪村筆《自画像》重要文化財

展覧会の見どころは3つ!!

1、15年ぶりの大回顧展。今、新たな魅力に迫る。
18世紀に活躍した奇想の画家・若冲より200年も前に戦乱の世に生まれた雪村。そのユニークな絵画表現は、元祖「奇想の画家」とも言うべき破天荒さを見せています。本展では現代の眼で雪村芸術の新たな魅力を捉え直します!

2、実物からしか味わえない息を呑む世界観
大きな屏風から小さな掛軸まで、雪村画は実際に作品の前に立たなければ味わえない独特の世界観があります。さらに本展では、細部に宿る雪村芸術の真髄に触れられるように拡大図などの掲示もあります。

3、尾形光琳が愛し、近代画家たちも引き継いだ雪村芸術
琳派の大成者・尾形光琳は雪村を敬愛し、また近代の狩野芳崖らは新たな日本画の創出のために雪村を研究しました。本展では、雪村芸術の後世への継承を初めて検証、実作例によって紹介します。

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今回の展覧会では常陸での修行時代から雪村が後代に与えた影響力の大きさまで、順に見ていくことができます。雪村はどのようにして尾形光琳をも魅了する画人になったのか…ぜひ、展覧会に足を運んでみてください!

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夏季特別展「雪村 -奇想の誕生」

会期/2017年8月1日(火)〜9月3日(日)
会場/MIHO MUSIUM
住所/滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷330 地図
開館時間/10時〜17時 ※入館は16時まで
休館日/月曜日
入館料(一般)/1,100円

会期/開催中〜5月21日(日) ※東京での会期は終了しました
会場/東京藝術大学大学美術館 地図
開館時間/10時〜17時(入館は16時半まで)
休館日/毎週月曜日 ※ただし5月1日は開館
入館料/一般1600円 大学生1200円 高校生900円 ※中学生以下無料

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