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粋で大胆でユーモラス!江戸の琳派芸術の魅力に迫ります

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粋で大胆でユーモラス!江戸の琳派芸術の魅力に迫ります

2017年9月16日から11月5日まで、出光美術館では『江戸の琳派芸術』展が開催されます。琳派はもともと京都が発祥ですが、本展覧会では酒井抱一(さかいほういつ)により江戸にもたらされた江戸琳派に焦点をあてていきます。そこには京都と江戸、地域によって異なる美意識がありました。出光美術館、学芸員の廣海伸彦(ひろみのぶひこ)さんに解説していただきます。

『江戸の琳派芸術 The Art of Edo Rimpa』
出光美術館(東京)

学芸員 廣海伸彦さん

17世紀に京都で誕生した琳派。19世紀になると、酒井抱一によって江戸にももたらされ、江戸琳派として独自の発展を遂げました。この展覧会では、酒井抱一の作品を中心に、その弟子である鈴木其一(すずききいつ)などの作品も通して、江戸琳派の魅力をひも解きます。

「大名家の次男として、江戸で生まれた生粋のシティボーイ、酒井抱一。30代半ばで、京都の琳派芸術を代表する存在、尾形光琳の作品に出会い、憧れるようになります。しかし、抱一は、光琳の作品をただ忠実に再現するのではなく、大胆な変更を加え、自分なりのエッセンスを加えたのです。それは、抱一にとって光琳が、時代を隔てた師匠であるとともに、乗り越えるべき存在であったからだともいえます」(廣海さん)

たとえば、燕子花(かきつばた)が印象的な『八ツ橋図屏風』。
粋で大胆でユーモラス!江戸の琳派芸術の魅力に迫ります酒井抱一 『八ツ橋図屏風』 江戸時代 出光美術館蔵

「尾形光琳の『八ツ橋図屏風』をもとに描かれた、抱一の『八ツ橋図屏風』は、一曲の幅をそれぞれ45㎝も伸ばしています。そのため、必然と描く画面が大きくなるにも関わらず、光琳の作品の燕子花は約130も描かれているのに対し、抱一の作品は、80ほど。モチーフを描き込みすぎることは野暮で、すっきり描こうとする点が、京都の琳派とは明らかに違う、江戸琳派の特徴といえます」(廣海さん)

ほかにも抱一が光琳の『風神雷神図屏風』の裏に描いた『夏秋草図屏風』の下絵や、江戸文化を象徴する浮世絵作品も展示します。
粋で大胆でユーモラス!江戸の琳派芸術の魅力に迫ります「この作品が描かれているのは、実は光琳の『風神雷神図屏風』の裏。重ねたとき、夏と秋の草花の隙間から風神雷神を覗く構図が特徴です。風神の風でしなる秋草、雷神による雨でできた水たまり…、粋を感じる作品です」(廣海さん) 酒井抱一 『夏秋草図屏風草稿』 文政4(1821)年 出光美術館蔵

「ちょうど、抱一が活躍した時代に江戸っ子という言葉が生まれました。それは、江戸の京都からの自立を意味します。芸術の分野においても、京都の煌びやかで王朝的な文化をただ真似するのではなく、『夏秋草図屏風』のように、粋やユーモアといった江戸らしさを感じる作品が描かれるようになりました」(廣海さん)

今回の展覧会では抱一の弟子で、近年、人気急上昇中の鈴木其一作品も注目です。
粋で大胆でユーモラス!江戸の琳派芸術の魅力に迫ります「師匠である抱一の『八ツ橋図屏風』の燕子花に注目してみると、花や草の表と裏を2色で描きわけ、立体感をつけています。しかし、其一は、光琳の画風と似ており、1色でフラットに描くことを好みました。 鈴木其一 『四季花木図屏風』 江戸時代 出光美術館蔵

「『四季花木図屏風』を見てもわかるように、ビビットな色彩と、フラットな描き方が其一の特徴です。その点は、師匠の抱一よりも光琳志向を感じさせます。其一は抱一からどんな表現を学んだのか、ふたりの作品を見比べてみるのもおもしろいです」(廣海さん)

京都の琳派芸術を、粋に、大胆に、江戸の琳派芸術として昇華させた絵師たちの神髄に触れるよい機会となりそうです。

詳しい美術展情報は、公式サイトで!

公式サイト

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