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鳥獣戯画

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実はよく知らない。「鳥獣人物戯画」全4巻を徹底解説!

「鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)」といえば、莵や猿、蛙や猫といった動物たちが愛らしくも愉快に擬人化され、相撲や水遊び、法会(ほうえ)や宴会を繰り広げる絵巻物のこと…。なのですが、それでは正解と呼ぶには少々もの足りません。実は、私たちがよく知るそれらの場面は「鳥獣人物戯画」のほんの一部。全4巻からなる絵巻物の1巻の中の場面に過ぎないのです。ここでは、だれもがよく知るその甲巻の名場面とともに、普段あまり見ることのない乙、丙、丁巻の場面をご紹介。きっと、「こんな絵があったんだ!」と新鮮な驚きと発見があることでしょう。

「鳥獣人物戯画」を解説。謎多きその正体に迫る!

鳥獣戯画「鳥獣人物戯画絵巻」国宝 四巻 紙本墨画 甲巻31.1×1156.6㎝、乙巻31.1×1224.5㎝、丙巻31.9×1113.1㎝、丁巻31.7×938.6㎝、甲乙巻・平安時代、丙丁巻・鎌倉時代 高山寺

まずは知りたい! 誰が何を目的に制作したの?

漫画やアニメのルーツとして高く評価され、日本はもとより、世界的にもその名が知られる「鳥獣人物戯画」。特に有名な甲巻は、莵や猿、蛙や猫などの動物たちが画面の中を縦横無尽に駆け回り、遊び尽くすという斬新にしてとてもモダンな内容。これが、今から800年も前の平安時代末期に描かれたとは、俄(にわか)には信じ難いほどです。その魅力はまさにタイムレス。永きにわたり多くの人々を虜にし、作品が宿す輝きは時を超えて未来永劫、受け継がれて行くことと思われます。

しかし、有名にして希有なる存在のこの絵巻ですが、いつ何時、だれが何の目的をもって描いた、あるいは描かせたのかということは、今もはっきりしたことがわかってはいないのです。「鳥獣人物戯画」は全部で4巻からなる絵巻物。その全長は約44mにも及びますが、そこに描かれたさまざまな戯画が、いったい何を表そうとしたものなのかも判然とはしていません。

謎の多い、全4巻からなる壮大な絵巻物。

動物たちが遊び戯れる様子を擬人化した甲巻、麒麟(きりん)や犀(さい)といった空想上の動物を含む、馬や牛、鳥などを描いた乙巻は、恐らく平安時代の後期に、また前半に人々が遊び戯れる様子を、後半に擬人化した動物を描いた丙巻、仏事や田楽、法力比べなどに興じているさまざまな人々の様子を描いた丁巻は鎌倉時代に、それぞれ制作されたのではないかということが、ほぼ唯一判明している事実です。

しかし、逆に言えば何もわかっていないからこそ、この愉しさ溢れる絵巻は却っていつの世にも人々の目に新鮮なものとして映り、それぞれが真っ新な目でマンガやアニメのルーツともいわれる墨線のみで描かれた白描に向き合うことができるのかもしれません。さらに言えば、この絵巻の収められた場所が、小鳥がさえずり栗鼠(りす)が住む境内の山中で座禅しひたすらに精進を重ねたという鎌倉期の名僧・明恵上人(みょうえしょうにん)縁の高山寺だったところに、この絵巻に秘められた真の意味と価値があるのではないでしょうか。

「鳥獣人物戯画」を大解剖!

【甲巻】
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山奥の渓流で飛び込んだり泳いだりと、さまざまに水遊びを楽しむ莵と猿たちの姿から幕を開ける甲巻。やがてその場面は野原へと移って弓の競技がはじまります。右から左へと順に見て行く絵巻の特性を生かした物語描写が、甲巻の最大の見どころにしてマンガの原点といわれる理由。甲巻は全部で23紙からなり、その全長は約11.5mにも及びます。

【乙巻】
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甲巻とほぼ同じ時期に描かれたとされている乙巻。普段目にする馬や牛、犬や鶏といった動物たちのさまざまな生態とともに、麒麟や龍、獏(ばく)や犀といった空想上の動物が数多く描かれています。戯画といった雰囲気のほかの3巻に比べ、明らかにシリアスな風情が漂っているのが、乙巻の特徴です。

【丙巻】
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丙巻は前半と後半で作風ががらりと変わっています。前半は僧侶と俗人が入り乱れて首引きをしたり双六(すごろく)をしたりして戯れ遊ぶ様子が、後半は猿が鹿に乗ったり、猿と蛙が蹴鞠(けまり)をする様子などが描かれています。甲巻のように擬人化された動物たちが人間の遊びを繰り広げている反面、甲巻よりも莵が少なく猿と蛙が主人公になるなど大きな違いも。

【丁巻】
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丁巻に描かれているのは人間のみで、僧侶や俗人、貴族などが、老若男女、入り乱れて描き出されています。それもほかの3巻とは明らかに違うラフなタッチで構成されており、全面にわたって誇張された滑稽な表情がこれぞ「戯画」と呼ぶにふさわしい内容。また石を投げ合う場面などに描かれる効果線はこれぞ漫画の技法の原点と言えます。

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