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泉屋博古館

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京都・泉屋博古館にて春季企画展「中国文房具と煎茶-清風にふかれて」開催中!

京都・鹿ヶ谷(ししがたに)にある「泉屋博古館」は住友家が中国の古美術を中心に蒐集した美術品を所蔵する美術館。中国・日本の書画、洋画、近代陶磁器、茶道具、文房具、能面・能装束など作品は極めて多様ですが、最も有名なのが第15代当主・住友春翠(しゅんすい)が明治中頃から大正期にかけて蒐集した中国古銅器と鏡鑑です。質量ともに最も充実したコレクションとして世界的にも高く評価されています。

その春翠が中国の文人趣味に憧れ、数多く蒐集した中国文房具を展示する企画展「中国文房具と煎茶-清風にふかれて」が2019年3月2日から2019年5月6日まで、泉屋博古館にて開催されています。春翠が憧れた中国の文人趣味とは何か、展覧会の見どころなどを泉屋博古館学芸員の竹嶋康平さんにお聞きしました。

住友春翠が憧れた中国の文人趣味とは?

泉屋博古館田能村竹田「梅渓閑居図」 (部分)文政10(1827)年 泉屋博古館 梅が咲き誇る中、のんびりお茶する3人のおじさん。周囲は霞たなびく春の穏やかな気に満ちています。文人たちが理想とした光景です。

「中国の文人とは、歴史や古典など人文学的な教養が深く、詩文に通じた人々のこと。詩をつくれば書や絵も描き、音楽も奏でると多趣味でしたが、それはあくまで自分の楽しみのためでした。この“自娯(じご)”という概念が、文人趣味を語るうえでのキーワードです。彼らの多くは、ふだんは官僚として民衆のために働き、プライベートでは俗世間から離れ、自然の中で、学問や芸術について友と語らうことを理想としていたのです」(竹嶋さん)

泉屋博古館「鍍金魁星像」 明時代 15世紀 泉屋博古館蔵 「魁星(かいせい)」は、文人たちの信仰を集めた書斎の神様。「魁(さきがけ)」の字にふさわしく、衣を翻らせ疾走する様子を躍動感たっぷりに表した中国金工史上の逸品。右手には筆が!

中国の文人たちの自娯の楽しみ=文房具

日本では江戸時代以降、中国文化に造詣が深い人々の間で文人趣味が流行。春翠はその流れを受け継ぎ、中国文房具を蒐集しました。

「“文房具”と聞いて思い浮かべるのは、ペンやノートなどいわゆる“ステーショナリー”だと思いますが、そもそもは文人たちの“文房”すなわち書斎で用いられていたもの全般を意味しました。筆や紙など筆記用具はもちろん、琴や笛、香炉、花瓶、果ては“見て楽しむ”ための岩まで。今で言うと“インテリア”に近い言葉ですが、実用性だけでなく鑑賞性も強く求められた点で異なります。ですから、まずは皆さまが日常お使いになっているペンや、手帳、自宅や職場に飾ってあるものの素材や色、デザインなど、お気に入りのポイントを入り口に“文房具”を鑑賞してみてください。そのうえで、そうした造詣上の特徴を手がかりに、文人たちの“自娯”の楽しみに触れ、彼らが理想とした清雅(せいが)の精神を感じとっていただければ嬉しいです」(竹嶋さん)

泉屋博古館文房諸道具 前漢〜清時代 泉屋考古館蔵 筆や墨など文人たちの基本アイテムの取り合わせ。注目は右端の一角獣の書鎮。もとは墓の埋葬品で、転用の歴史も興味深い。

清風という中国のお茶の精神性

「煎茶」もまた、文人趣味に欠かせない要素。「お気に入りを集めた書斎でひと息つくとき、文人たちが楽しんだのは煎茶でした。数滴に茶葉の旨味を凝縮した煎茶は、文人たちにとって喉を潤すための飲料というより、清雅の境地へ達するという精神的欲求を満たすためのものだったのです。

こうした煎茶の精神性は“清風”と形容されます。同様に、茶器にも清らかさが求められました。煎茶器は、初期には中国から数多くもたらされ、次第に日本国内で生産されるように。中国文人の清雅の心が、日本でどのように感受され造形化したのか、ということも、鑑賞のポイントになるでしょう」(竹嶋さん)

ゆったりと心を清らかにして、中国文人たちが愛した世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

名品がずらり!青銅器館の展示あわせて楽しめる

泉屋博古館

住友春翠が書斎や煎茶の席飾りとして収集し始めた青銅器のコレクションは、今や世界的に名が知られています。青銅器館で同時期に開催されている「中国青銅器の時代」展では、数々の名品を展示。特に青銅器に表され、現在の漢字の原点となった文字「金文」に注目し、その世界を、驚くべき鋳造技術とあわせて紹介しています。

春季企画展「中国文房具と煎茶 ― 清風にふかれて」

会場 住友コレクション 泉屋博古館
住所 京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24
Tel 0757716411
会期 2019年3月2日(土)~5月6日(月・振休)
開館時間 10時~17時 (入館は16時30分まで)
休館日 月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月25日・30日
入館料 一般800円/高大生600円/中学生350円(小学生以下無料)
※企画展・青銅器館両方ご覧いただけます
公式サイト

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