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2019.09.20

貴重な優品が続々来日!2019年秋に楽しめる全国の西洋美術展20選!

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オススメ展覧会6:「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」(横浜美術館)

印象派の巨匠・ルノワールの作品を中心に、オランジュリー美術館が所蔵するパリで活躍した近代の巨匠たち13名の絵画作品を紹介する展覧会です。オランジュリー美術館の作品は滅多に国外へ貸し出されることはなく、日本でまとまって同館のコレクションが見られるのは1998年以来実に21年ぶりの機会となります。

ちなみに、来日する作家を順番に全員列挙してみると、ルノワール、モネ、シスレー、セザンヌ、アンリ・ルソー、マティス、ピカソ、モディリアーニ、ドンゲン、アンドレ・ドラン、マリー・ローランサン、ユトリロ、スーティンの13名。展覧会名から受ける第一感では「印象派の展覧会なのかな?」と思ってしまいますが、印象派以降20世紀前半までの様々な作風の近代絵画を取り扱っているのですね。これだけいれば、1名くらいは絶対自分と相性の合う作家がいるはずです。ぜひ、お気に入りの作家を見つけてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、ポスターにも採用されているルノワールの傑作「ピアノを弾く少女たち」には多数のバージョン違いがあります。展覧会に行く前に、画像検索などでググってみると面白いですよ。

展覧会名:「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」
会場:横浜美術館(〒220-0012 横浜市西区みなとみらい3-4-1)
会期:2019年9月21日(土)〜2020年1月13日(月・祝)
公式サイト

オススメ展覧会7:「ラウル・デュフィ展―絵画とテキスタイル・デザイン―」(パナソニック汐留美術館)

19世紀末以降の近代絵画の巨匠といわれる作家たちは、絵画制作をベースに工芸や染織、デザインといった商業美術分野にも積極的に自らのインスピレーションを展開することが多くなりました。本展でフィーチャーされるフランス・フォーヴィスムを代表する巨匠の一人、ラウル・デュフィも、自由奔放な色彩で著名な絵画作品の他にテキスタイルデザインを積極的に手掛けました。

本展の第1の見どころは、明るく大胆な色彩と構図で知られる約20点の絵画作品。初期~晩年までの作品を網羅しているため、作風の変遷をじっくり見ていけるのも嬉しいところ。そして第2の見どころは、フランス南東部の都市・リヨンの有力な絹織物メーカー・ビアンキーニ=フェリエ社のためにデュフィが1912年から28年まで提供した布地の数々です。絵画作品のイメージそのままに、明るくカラフルな色彩と斬新なモチーフで制作されたテキスタイルの美しさを堪能したいですね。

展覧会名:「ラウル・デュフィ展―絵画とテキスタイル・デザイン―」
会場:パナソニック汐留美術館(〒105-0021 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階)
会期:2019年10月5日(土)〜2019年12月15日(日)
公式サイト

オススメ展覧会8:「ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華―大様式の形成と変容」(東京富士美術館)

この秋、17世紀に始まり、20世紀前半まで続いたフランス近代絵画全盛期の「すべて」を堪能できる凄いフランス絵画の展覧会が開催される美術館をご存知でしょうか?それが、東京富士美術館が開催する「フランス絵画の精華」展です。

同館は、日本でも有数の充実した西洋絵画コレクションと、ゴージャスな常設展示室が最大のセールスポイント。実はちょっと東京都心からはかなり離れたところにあるのですが、そんな距離をものともせず、毎回企画展には熱心な西洋美術ファンが詰めかけています。そんな東京富士美術館がオープンしたのは今から約36年前の1983年でした。開館記念「近世フランス絵画展」でオープンすると、続いて「栄光の18世紀フランス名画展」「フランス革命とロマン主義展」など立て続けに17世紀~19世紀頃のフランス絵画の大型企画展を次々と成功させます。まさに「フランス絵画」には絶対の強みを持つ美術館ならではの企画展でした。

それから30年以上が経過。オープニング展の学術監修や作品展示交渉を務めた故ルネ・ユイグ氏に敬意を評し、あらためて近代フランス絵画の歴史を俯瞰するような特別展が開催されることになりました。その展示構成は圧巻。17世紀に活躍したシャルル・ル・ブランやプッサンに始まり、18世紀ロココを代表するヴァトー、フラゴナール、シャルダン、ブーシェ、肖像画の名手ヴィジェ・ルブラン、そして19世紀はフランス・アカデミーで活躍したアングル、ブグロー、ジェロームといった大家を取り上げます。印象派が圧倒的に肯定的な評価を受ける現在、特に19世紀アカデミズム寄りの作家たちは好意的に顧みられることが少ないので、本展でしっかり取り上げてくれるのは目の肥えた美術ファンには嬉しい所ではないでしょうか?ちょっと遠いかもしれませんが、1日しっかり時間を作ってでも見に行きたい期待の展覧会です。

展覧会名:「ルネ・ユイグのまなざし フランス絵画の精華―大様式の形成と変容」
会場:東京富士美術館(〒192-0016 東京都八王子市谷野町492-1)
会期:2019年10月5日(土)~2020年1月19日(日)
公式サイト

オススメ展覧会9:「ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」(Bunkamura ザ・ミュージアム)

「リヒテンシュタイン公国」という、スイスとオーストリアに囲まれた、わずか人口35,000人ほどのミニ国家をご存知でしょうか?18世紀、神聖ローマ帝国の領内でリヒテンシュタイン侯爵が領主として同地を治世下に入れて以来、約300年間世襲制で独立を保ってきた小さな君主国です。

そんなリヒテンシュタイン公国ですが、歴代領主がコツコツと収集してきた膨大なコレクションが積み上がり、公式HPによると2019年現在、リヒテンシュタイン公のコレクションは30,000点以上に成長。個人コレクションとしては世界屈指のレベルに達しています。その中核となるのが、ヤン・ブリューゲル、ルーベンス、ヴァン・ダイク、クラーナハといったフランドル地方のゴシック~北方ルネサンス~バロック期の巨匠達のコレクションや、ウィーン窯を中心としたきらびやかな陶磁器の数々です。

リヒテンシュタイン公国は、今年建国300年を迎えるそうです。アルプスの古城で平和な日々を守り続けたリヒテンシュタイン侯爵の優雅な宮廷生活や栄光の日々に思いを馳せながら名画や陶磁器の名品をじっくり鑑賞してみたいですね。

展覧会名:「Bunkamura 30周年記念 建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム(〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1)
会期:2019/10/12(土)~12/23(月)
公式サイト

オススメ展覧会10:「印象派からその先へ―世界に誇る吉野石膏コレクション展」(三菱一号館美術館)

山形県を代表する製造業の優良企業として知られる吉野石膏株式会社。その吉野石膏が所蔵する印象派を中心とする屈指の近代西洋絵画作品「吉野石膏コレクション」の国内巡回展がいよいよ大詰めを迎え東京にもやってきます。熱心な美術ファンならご存知かもしれませんが、同社は創業者から歴代3代の社長がコツコツと作品を買い集め、現在では500点を超える近代日本画・西洋絵画のコレクションを所蔵するまでに至りました。作品収集の最初のきっかけは、社員が絵を見てリラックスできるようにと「社員の福利厚生」のために作品を集めようと思った・・・というのだから面白いですよね。

さて、本展ではそんな充実した「吉野石膏コレクション」から約70点の西洋美術作品が登場。チラシのイメージにも選ばれたルノワールの肖像画傑作を始め、モネ、ピサロ、シスレー、ドガ、メアリー・カサットといった印象派を中心に、ゴッホ、ピカソ、カンディンスキーなどその後の西洋美術史に名を残す巨匠たちの優品も観ることができます。三菱一号館美術館の明治のレトロな洋風建築の独特な雰囲気の中で味わう極上の西洋絵画作品。すごく楽しみです。

展覧会名:「印象派からその先へ―世界に誇る吉野石膏コレクション展」
会場:三菱一号館美術館(〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2)
会期:2019年10月30日(水)~2020年1月20日(月)
公式サイト

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サラリーマン生活に疲れ、40歳で突如会社を退職。日々の始末書提出で鍛えた長文作成能力を活かし、ブログ一本で生活をしてみようと思い立って3年。主夫業をこなす傍ら、美術館・博物館の面白さにハマり、子供と共に全国の展覧会に出没しては10000字オーバーの長文まとめ記事を嬉々として書き散らしている。