手のひらサイズのたぬき像〈信楽焼のしんじるたぬき〉

手のひらサイズのたぬき像〈信楽焼のしんじるたぬき〉

僕は日本の文化や風習に強い感心を持っている。しかし、さほど詳しくはない。

なぜ、正月に餅をつくのか?
なぜ、先祖供養のためにお盆に踊るのか?
なぜ、葬儀のあとに盛り塩をするのか?

なんとなく推測できそうなものもあるが、それにしても知らないことばかりだ。物知りの母に「あら、そんなことも知らないのかね」と呆れられるたびに、もっと自分の国の習俗について学ぶ必要があるなと反省してしまう。

夫婦愛の象徴としてのたぬき

昔話でお馴染みのたぬきが〈夫婦愛の強い動物〉であるということも、今回紹介する作品に出会うまで知らなかった。むしろ、その反対のイメージを持ってすらいた。

物の本によると「たぬきは夫婦愛が強く、一度伴侶と決めた相手と生涯を共にすることが多い」とある。ううむ、このあたりも僕たちは大いに反省する必要がありそうだ。しかし、なぜそういう性格が昔話ではフィーチャーされなかったのだろうか? 実に不思議である。もしかすると、探せばそういう話も見つかるのかもしれない。そういえば〈平成狸合戦ぽんぽこ〉では愛が重要なファクターとなっていたが、それもその習性を意識した演出だったのだろうか?

リサ・ラーソンの〈しんじるたぬき〉

……話が逸れてしまった。プロダクトの紹介に入るとしよう。この作品を手掛けたのは陶芸家のリサ・ラーソン氏。たぬきの生態を知り、それに感銘を受けたことが創作のきっかけになったとのことだ。

〈滋賀県立陶芸の森 陶芸館〉でリサ氏の展覧会が開かれた際、現地の名産品である信楽焼のたぬきの置物を知ったことも創作の動機となった。

まずはその表情に注目していただきたい。思わず撫でたくなるほど可愛らしく、それと同時に、野生動物の持つ気高さが実にうまく表現されているように思う。制作者の動物への深い関心や愛情が自然と伝わってくるようだ。

そしてこのボテッとしたフォルム! 相手が置物で、しかも陶器だと分かっていても、ついつい抱きしめたくなるほど愛らしい。〈生き物〉と向き合い続けてきたリサ氏だからこそ生み出せる佇まいなのだろう。

和の空気、北欧の佇まい

スウェーデン出身の作家がデザインしたためか、和の空気のほかに、どこか北欧の民藝品のような雰囲気も漂っている。現代的なインテリアや家具ともよく調和しそうだ。気軽に机や棚に飾れるサイズ感も嬉しい。自宅用にはもちろん、結婚祝いとしてプレゼントするのも素敵だと思う(割れ物なので、念のため贈る前に確認するとより良いだろう)。

この〈しんじるたぬき〉は、信楽焼の産地として有名な滋賀県で生産されている。

信楽といえばたぬきの置物だが、住宅の洋風化が進んだ昨今では、居酒屋の軒先でしか見かける機会がなくなってしまった。しかし、この作品であれば、どんな空間にもすんなりと馴染んでくれることだろう。民藝の新しい可能性を見たような、そんな思いだ。

信楽のたぬきの置物は、明治時代、陶芸家の藤原銕造氏が制作したものが始祖とされている。全国的に知られるようになったのは今から70年ほど前のこと。1951年に昭和天皇が滋賀県の信楽町を行幸した際、町の住人がたぬき像に日の丸の小旗を持たせて沿道に設置した。昭和天皇がその光景に感興を抱き、歌で詠んだという逸話が新聞で報道され、それをきっかけに広く認知されるようになったという。

犬や猫、水鳥に象、熊、カンガルー、マントヒヒ……。
僕は動物をモチーフにした雑貨を蒐集している。先のことは分からないが、今のところこの作品が他を抜いて、僕の一番のお気に入りとなっている。

今回ご紹介した雑貨はこちら

しんじるたぬき(置物/信楽焼)

サイズ:幅60mm,高さ65mm,奥行き76mm(重さ80g)
価格:6,500円(税抜)
Webサイト:https://www.lisalarson.jp/japanseries/tanuki/

焼き物に関するおすすめ記事はこちら

益子焼のうつわ人気の秘密は?焼き物の里・益子の歴史と作家
焼き物初心者必見「備前焼」が可愛くて使いやすい理由を徹底解説
沖縄の焼き物、やちむんとは?文化を体現するうつわの魅力

手のひらサイズのたぬき像〈信楽焼のしんじるたぬき〉
この記事をSNSでシェアする
この記事をSNSでシェアする