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2020.08.27

刀剣から日本史が見える!国宝の太刀・大般若長光

この記事を書いた人

江戸時代の末まで、刀剣は一般庶民にも身近な存在でした。もちろん、名刀と言われるレベルのものを庶民が目にする機会は今よりずっと少なかったでしょうが、お土産物としても売られるなど、刀剣は日常の光景の一つとして人々の生活の中にありました。
そして仏教も、今よりもっと生活に溶け込んでいたようなのです。

今回は仏教ゆかりの名刀から「大般若長光(だいはんにゃながみつ)」をご紹介します!

大般若長光とは?

大般若長光は、刀剣の一大産地である備前長船(びぜんおさふね:現在の岡山県瀬戸内市)の名工・長光(ながみつ)によって作られた太刀(たち)です。
※刀剣の分類などについては、刀の展示ってどうして刃の向きがバラバラなの? 刀剣のいろはと鑑賞ポイントを解説!でご紹介しています。

刃長は2尺4寸3分弱(73.6センチ)、表裏には重量軽減のための溝である「樋(ひ)」が彫られています。上品な姿に、クローブのつぼみに似た華やかな「丁子(ちょうじ)」の刃文が焼かれた、長光の代表作とも言われる名刀です。

足利将軍家・織田信長・徳川家康・奥平信昌・武州忍藩藩主松平家・伊東巳代治(いとうみよじ)伯爵と受け継がれ、現在は国宝指定を受けて東京国立博物館で所蔵されています。展示されたらぜひ見にいってみてくださいね!

e国宝のサイトで画像が見られます。
e国宝

名付けの由来

室町時代、他の名刀の値段が最高でも100貫だった中、600貫(6000万円程度)という高値がつけられたことから、600巻で構成される「大般若経(だいはんにゃきょう)」にかけて名付けられました。600という数字だけではなく、「かん」という響きも似ていますね。

600貫だったから大般若経と同じ、という発想に繋がったのは、当時仏教文化がそれだけ根付いていた、ということなのでしょう。

備前長船長光とは?

大般若長光の作者は、鎌倉中~後期に備前長船で活躍した備前長船長光(びぜんおさふねながみつ)です。
長船刀工の祖と言われる光忠(みつただ)の子で、長船鍛冶の嫡流(ちゃくりゅう:本家を継承する家系)です。

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作品には太刀が多く、初期には華やかな丁子の刃文、後期にはまっすぐな直刃(すぐは)や、直刃をベースラインとして小さい丁子が交じった控えめな刃文などが見られます。どちらの時期の作も、とても穏やかな雰囲気を持つ、上品な佇まいです。
なお、「長光」と銘があっても長光と弟子・兄弟らによる合作も多いとされます。それによって、時代による違いだけでなく、同じ時期でも作品の雰囲気に若干ばらつきがあるのでは、とも言われているのです。

「長光」の名前を持つ刀工は、備前・陸奥・畿内・九州などで25工あまりが確認されています。

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アイキャッチ画像:国立国会図書館デジタルコレクションより

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。