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2020.11.24

えっ!?なにこの分厚さ!足利将軍家の名刀・厚藤四郎から目が離せない!

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なんとなく、刀って長いものでも数ミリ程度の厚さかな、というイメージがありませんか? 短いものならなおさら。

全然想像つかないけど5mmくらい?

でも、そんなイメージを一気にひっくり返してくれるような豪快な、でもとても優美な短刀があるのです。

名刀・厚藤四郎(あつしとうしろう・あつとうしろう)。足利将軍家に伝わった宝刀です。

厚藤四郎とは?

厚藤四郎の作者は、鎌倉時代中~後期ごろに山城(現在の京都府)で活躍した刀工・粟田口藤四郎吉光(あわたぐちとうしろうよしみつ)です。この刀工の作を持っていることがステータス、と言われたほどの名工だったため、戦国武将たちはみな、藤四郎吉光の短刀を憧れの眼差しで見ていたと思われます。

そんなに人気がある人だったんだ〜

厚藤四郎は、刃長7寸2分弱(21.8センチ)という小ぶりな姿でありながら、刀身の厚さが最大で1センチを超えます。よく時代劇などで見るような長さの刀でも、平均6~8ミリ程度の厚さだということを考えると、驚くべき分厚さです。

出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)

私のiPhoneでちょうど幅が7mmくらい。だいたい倍だとすると結構な分厚さ!

厚藤四郎は、「鎧通し(よろいどおし)」という、ほっそりとしていて通常より刀身が非常に厚い短刀に分類されます。
鎧のすき間を狙って突き通す、という目的から作られたものなのですが、すらりとした姿と非常に厚い刀身が同居しており、見ていると優美でありながら骨太、といった不思議な感覚を味わうことができます。

柔と剛、どちらも兼ね備えてるんだ!

刃文はまっすぐな「直刃(すぐは)」を基本として、下のほうで緩やかに波打ち、鋒(きっさき)では上品に小さく円を描きながら棟(むね)側で止まっています。

e国宝によると、厚藤四郎は足利将軍家に伝来した短刀で、当時から名刀の誉れ高かったといいます。
その後、一柳直末(ひとつやなぎ なおすえ)、黒田孝高(くろだ よしたか/官兵衛・如水とも)、豊臣秀次、豊臣秀吉と受け継がれた後、毛利秀元に下賜され、毛利家から徳川家綱(とくがわ いえつな)に献上されたと伝わります。

現在は国宝に指定されて東京国立博物館の所蔵品となっており、本館13室で比較的コンスタントに展示されています。
過去の展示
こまめに展示スケジュールをチェックしていると、きっと見つかるはず。ぜひ実物を見てびっくりしてください!

名付けの由来

その見た目の通り、とても分厚い刀身であることが名付けの由来とされます。

そのまんま!わかりやすい(笑)

同じ刀工の有名作

武将憧れの的だった粟田口藤四郎吉光には、特別な名前が付けられた作品が多数あります。

藤四郎吉光の作風についてはこちら。
小さいけれどパワフルボディ!?虎の群れを追い払った上杉謙信の愛刀・五虎退

(順不同、すべては網羅していません)
・平野藤四郎(ひらのとうしろう)
・一期一振(いちごひとふり)
・秋田藤四郎(あきたとうしろう)
薬研藤四郎(やげんとうしろう)
・鯰尾藤四郎(なまずおとうしろう)
・博多藤四郎(はかたとうしろう)
・前田藤四郎(まえだとうしろう)
・庖丁藤四郎(ほうちょうとうしろう)
五虎退(ごこたい)
・後藤藤四郎(ごとうとうしろう)
・白山吉光(はくさんよしみつ)
・信濃藤四郎(しなのとうしろう)
・真田藤四郎(さなだとうしろう)
骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)※ただし、藤四郎吉光の作ではないとも言われる
・乱藤四郎(みだれとうしろう)
・芝吉光(しばよしみつ)
・蜘蛛切藤四郎(くもきりとうしろう)
・親子藤四郎(おやことうしろう)
・こぶ屋藤四郎(こぶやとうしろう)
・三本寺吉光(さんぼんじよしみつ) /山本寺吉光(さんぽんじよしみつ)
・増田藤四郎(ますだとうしろう)
・岡山藤四郎(おかやまとうしろう)
・岩切長束藤四郎(いわきりながつかとうしろう) /岩切藤四郎(いわきりとうしろう)
・新身藤四郎(あらみとうしろう)
・朝倉藤四郎(あさくらとうしろう)
・朱銘藤四郎(しゅめいとうしろう)
・樋口藤四郎(ひぐちとうしろう)
・毛利藤四郎(もうりとうしろう)
・清水藤四郎(しみずとうしろう)
・鍋島藤四郎(なべしまとうしろう)
・鍋通藤四郎(なべどおしとうしろう)/鍋藤四郎(なべとうしろう)
・飯塚藤四郎(いいづかとうしろう)/足利藤四郎(あしかがとうしろう)
・北野藤四郎(きたのとうしろう)※所在不明
・大森藤四郎(おおもりとうしろう)※所在不明
・烏丸藤四郎(からすまとうしろう)※所在不明
・牛王吉光(ごおうよしみつ)※所在不明か
・阿部藤四郎(あべとうしろう)※所在不明か
・塩河藤四郎(しおかわとうしろう)※焼失
・鎬藤四郎(しのぎとうしろう)※焼失
・米沢藤四郎(よねざわとうしろう)※焼失
・豊後藤四郎(ぶんごとうしろう)※焼失
・車屋藤四郎(くるまやとうしろう)※焼失
・長岡藤四郎(ながおかとうしろう)※焼失

わ〜、こんなにたくさん!本当に人気のある人だったのがわかりますね。

主要参考文献:
・東京国立博物館図録『日本の武器武具』
・石井昌國『日本刀銘鑑』雄山閣
・e国宝 https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100183&content_part_id=0&content_pict_id=0
・『図解日本刀事典』学研
・小和田泰経『刀剣目録』新紀元社

アイキャッチ画像出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)

▼おすすめ書籍『名刀大全』名刀の魅力と歴史がわかる決定版大型作品集

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。

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‪‪銀行に10年務めたあと和樂webのスタッフに。音声コンテンツ『日本文化はロックだぜ!ベイベ』聞き手担当。頭も体も硬いので、今一番欲しいのは柔軟性。

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ちょっと意外ですが、刀、特に長いものの第一目的は「斬る」ことではなかったよう。
最後の足利将軍・義昭って、信長に一方的にやられてしまった、みたいなイメージがあった!