Culture
2019.09.24

残したい日本の美!「包む」行為は相手を尊重する気持ちの表れ!

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紙を折る行為にかけた時間こそが相手への最大の贈り物

面白いことに、私たちはむきだしでものを持つことを嫌います。ましてや人にものを渡す場合、たとえ目の前でそれがあらわになることがわかっていても、「見えない形にして相手に渡したい」とあれこれ工夫を凝らしてしまうのが日本人というもの。また、掛け紙が多ければ多いほど大切なものである、と考えるのも日本人ならではの感覚ではないでしょうか。「包む」行為は相手を尊重する気持ちの表れ。かつての日本人は懐紙や風呂敷を常に携帯していたものですが、この習慣が薄れているのはとても残念なことです。
dma-WK8-1-06風呂敷より時計回りに 写真は「お使い包み」で、最も格の高い包み方に「平包み」がある。うずらちりめん地の風呂敷 藤色・正絹二尺巾(むす美)。山根折形礼法教室を主宰する山根一城(やまねかずき)さんによる古典的な折形の一例。「筆包み」は筆先の姿がそのまま鑑賞できる包み方で、書が好きな方へ。香辛料や薬を包む粉包みの折形から「胡椒包み」と「萬粉(よろずこ)包み」。寿の文字が躍る金封は芸事に携わる人への楽屋見舞いなどに人気。そっと手渡す習慣が生んだ女性の手のひらに収まるサイズ「長半円紅帯のし」

明治時代から戦前まで、教科書には「折形(おりがた)」という礼法が載っていたとか。折形とは上級武家の間で秘伝として使用された包みの手法です。扇、筆、新茶、お金など対象物の形に合わせて包んで折る。手間がかかりますが、「紙を折る行為にかけた時間こそが相手への最大の贈り物」と考えれば、あたりまえのことなのです。あらためて、包む行為に託した先人の心を取り戻したいものです。「人と人の間で一枚の紙が美と清らかな心を生む、という意味をもっと知ってほしい」(古美術 祥雲オーナー・関 美香さん)

※雑誌『和樂』 2013年8・9月号より