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2018.06.14

「ガレも愛した-清朝皇帝のガラス」サントリー美術館

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2018年7月1日まで、サントリー美術館で「ガレも愛した-清朝皇帝のガラス」が開催中です。サントリー美術館学芸副部長の土田ルリ子さんに、みどころを解説していただきました。

独自の造形感覚から生まれた比類なきガラス工芸

装飾性の高いガラス工芸といえばヨーロッパを思い浮かべますが、この作品は、18世紀の中国・清時代につくられた“清朝ガラス”。本国でもなかなかまとまって鑑賞できる機会がないという、貴重な工芸品です。

「中国でも、紀元前からガラスはつくられていましたが、飛躍的に発展したのが清王朝の時代。ヨーロッパからの献上品として贈られたヨーロッパのガラスの美しさに皇帝が感動し、紫禁城内にガラス工房を設置したのがきっかけでした。イエズス会の宣教師が技術提供したのですが、生み出されたのは、ヨーロッパの“透明”で“はかない”ガラスとは趣の違った、“透明と不透明の間”の“重厚感のある”ガラスだったのです」(土田さん)

技術的には、透明ではかないガラスもつくれたはず。けれど、そうでないものになったのは、中国の“玉”文化があったのではと土田さん。

雪片地紅被騎馬人物文瓶「雪片地紅被騎馬人物文瓶」乾隆年製銘 清時代・乾隆年間(1736〜95) 中国 サントリー美術館蔵

「以前、台湾の国立故宮博物館から、翡翠を削り出してつくった白菜が来日し、大きな話題を呼んだことを覚えていらっしゃる人も多いでしょう。中国では、古来、翡翠に代表される鉱物や象牙が非常に珍重されていて、それを工芸品として扱うための造形感覚や技が発展してきたのです。だから、ガラスも、玉を削るように削っているんですね。それが、他には類を見ない独自の美につながっていったのだと思います」(土田さん)

言われてみれば、今にも壊れそうな繊細さ…というよりは、おおらかで、愛しさすら漂う、ほんわかした雰囲気が。ヨーロッパにはないこうした造形に、アール・ヌーヴォー期を代表する芸術家、エミール・ガレも大いにインスピレーションを受け、自身の作品に取り入れました。

「今回は、ガレの作品も展示しますので、ぜひ比較してご鑑賞ください。ガラス工芸の魅力を、新たな視点から楽しんでいただけると思います」(土田さん)

公式サイト