VIO脱毛という言葉が浸透してきたように、アンダーヘアにこだわる女性が増えてきています。その理由には、見た目の問題だけでなく、将来介護しやすいようにという配慮もあるのだとか。なるほど、時代とともにアンダーヘア事情も変化していくのですね。
時代を遡ってみましょう。性に携わった職業・江戸時代の吉原の遊女たちは、どのように「毛」のお手入れをしていたのか気になりませんか? 「春画」でアンダーヘアをチェックしていて気付いたことをご紹介します。
遊女のアンダーヘアはどうなっていた?
吉原の遊女たちには、除毛の習慣がありました。それは見た目の問題というより、毛じらみなどを防ぐ衛生上の目的だったと考えられます。現代ではアンダーヘアに毛じらみが発生することはほとんどないので、やはり毛は時代を反映していると言えるでしょう。
除毛の方法は、毛抜きで抜いたり、線香で焼ききったりしていたのだとか。かなり痛そうです。
春画に描かれたアンダーヘアを調査してみた
性交を描いた浮世絵「春画」には、アンダーヘアがリアルに描かれています。そこで私は、書籍で百枚以上の春画のアンダーヘアをチェックしてみました。
画:喜多川歌麿 メトロポリタン美術館蔵
すると、菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)と磯田湖龍斎(いそだ こりゅうさい)の春画に1名ずつツルツルの女性を発見しましたが、2人とも使用人で遊女ではありません。鈴木春信(すずき はるのぶ)では新造という遊女の見習いで1人見られました。このことから、遊女かどうかというより、年齢で描き分けているような気がします。
また、春画では遊女にも毛が描かれていることから、以下のような考察ができます。
- 浮世絵師が遊女の局部を見たことがなかった
- 全部脱毛するのではなく、一部残していた
- 絵的に生えていたほうが「映え」た
1.浮世絵師が遊女の局部を見たことがなかった
ひとつ気付いたことがあります。遊女を描いた春画では、局部が描かれたものが少ないのです。例えばこちらは遊女と客を描いたものですが、局部は描かれていません。
対してこちらは、遊女ではなく素人の恋人同士を描いたもの。トリミングをしていますが、こちらは局部が描かれていました。どちらも菱川師宣の作品です。
遊女の局部が描かれていないのは、もしかしたら「描けなかった」のかもしれません。吉原の遊女と遊ぶには、かなり高額な費用がかかったのですから。
一晩500万円?浮気はご法度!吉原で高級遊女と遊ぶルールが厳しい!
2.全部脱毛するのではなく、一部残していた
遊女のアンダーヘアは、素人の女性より毛量が少なく整っているように見えました。このことから、整える程度で全部を脱毛していたわけではなさそうです。
3.絵的に生えていたほうが「映え」た
ツルツルの女性がほとんど登場しないことから、生えている方が一般的で、絵的にも映えたのかもしれません。脱毛技術が発達していない江戸時代では、毛のない女性を想像しにくかったのも一因でしょうか。
春画の題材は身近な素人カップルが多い
遊女のアンダーヘアをチェックしようと思い百枚以上の春画を見ていたところ、意外にもモチーフのほとんどは素人カップルたちだとわかりました。
▼春画モチーフの例
手の届かない吉原の遊女より、身近な人々の方がリアリティがあって売れたのかもしれませんね。
以上、朝から必死に春画のアンダーヘアを調査した赤井ふんどしがお送りしました。
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参考書籍(春画)
小学館『SHUNGART』