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2020.12.11

最優秀作品が決定!平安貴族も詠んだセクシーな和歌「しもうた」選考会【後編】

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「和歌って何じゃい! 難しいわ!」そんなこと言わず気軽にみんなで楽しもう♪ というコンセプトでスタートした、下ネタを取り入れた和歌「しもうた」。前編に引き続き、ご応募いただいた作品の選考会【後編】を開催いたします。

優勝者には高品質な「ふんどし」をプレゼント! さぁ、景品のふんどしは一体誰の手に渡るのでしょうか……!?

▼しもうた選考会、前編の様子はこちら
下ネタの和歌「しもうた」を楽しもう!応募作品の選考会を開催【前編】

▼豪華景品が当たる最新の募集はこちら!
下ネタの和歌「しもうた」を楽しもう!応募作品の選考会を開催【前編】

フランスからの投稿も! 読者のみなさまの作品紹介

素晴らしい作品揃いだった前編。後編はなんと、フランスからもご応募いただきました! さっそく見ていきましょう!

※音声と一部内容が変更されている箇所があります。

最多応募! なすび小僧さんの作品

なすび小僧さんは、もはや日々のルーティーンのようにたくさんご応募くださいました。その中から厳選したものをご紹介します!

マメなことは、平安貴族にとって大事ですからね。

かんなづき
よるのしじまの
つきあおぎ
うさぎにまけじと
もちをつくかな

:神無月 夜の静寂の 月仰ぎ 兎に負けじと 餅をつくかな

これはしもうたと言うより、春画に近い「春歌」ですね。

狂歌のようでもありますね。

においたつ
どるちえあんど
がつばあな
きみさりしのち
さびしきしたぎ

:匂い立つ ドルチェ&ガッバーナ 君去りし後 寂しき下着

これは……彼女が下着を置いて帰ってしまったのでしょうか?

そうだと思う。むしろ、この女性のその後にドキドキしちゃいますね。

ノスタルジック! どす赤のリコピンさんの作品

コメント:はじめまして。下ネタに関する和歌を募集しているとのことで、実際に最近起こった体験をもとに作ってみました。ラジオでよんでいただけたら嬉しいです!

若男 スキンを求め 自販機へ 走る足音 風のごとし

これは和歌じゃなくて、俳句に近いんじゃないかな。風景の一部をカメラのように切り取ってる。

自販機で売ってるんですか?

最近はあんまり見ないですね。なのでノスタルジーを感じるけど、そこに自分の「心」を詠むといいかもしれません。

恐ろしく真面目にしもうたを詠んだ! 鉄のさいころさんの作品

コメント:初めまして。ペンネーム 鉄のさいころです。podcast、とても楽しく拝聴させていただきました。仮名手本忠臣蔵を読んでいたらちょうど使えそうな部分があったので、思い切って応募します!和歌って詠んだことがないので、すごく難しかったです。こうしたら良いなどあれば、教えていただけると嬉しいです。

謙虚なのか図々しいのかわからないコメントですね(笑)。

根を出して 音を楽しむ 蛸肴 潮のあじわい すいつくす夜
※上の句の元ネタは、手を出して足をいただく蛸肴という言葉で、江戸時代は女陰の隠語として使われていたようです。

はい、これも春画です。「春歌」です。情景を詠むだけだと、ちょっと和歌とは違う。

和歌には「自分の感情」を詠む。今回高木さんがしきりにおっしゃっています。

すごい真面目にエロい歌を考えたらこうなった、って感じですね。

フランスの風を感じる! ウエマツチヱさんの作品

出産後
体型戻し
ヨガ始め
なれない動き
チナラ止まらず

チナラって何?

出産後に大きくなった子宮に空気が入って、音が出てしまうことです! でもなんか、おしゃれな歌ですね。

コメント:Maurice Coyaudさんというフランス人の言語学者が詠んだ俳句がおもしろいので、訳と共にご紹介します。

Je pisse(ジュ ピス)私はおしっこする
sur les feuilles mortes(スー レ フォイユ モー)枯れ葉の上に
Bruissement(ブリュイッスモン)かすかな音 ※衣擦れというニュアンスもあります

【意訳】
おしっこする
枯れ葉の上に
しとしとと

この俳句いいですね! 情景が「おしっこ→枯れ葉→かすかな音」と移動していて、芭蕉の詠もうとした俳句に近い。(例:古池や蛙飛びこむ水の音)

編集長がフランス語を発音しているのが、めちゃくちゃカッコイイです! 音声もぜひ聞いてみてください! (※編集長は以前フランスに住んでいました)

岡村 雄一郎さんの作品

指浸ちて 糸引く露の 結べるを
滾れる夜半の 潮や解くらむ

言葉がキレイで、意外と上品なしもうたですね。

あふれるほど……すごいテクニックをお持ちなのかな、と想像されました!

今井宏哉さんの作品

めぐりあひて
ひとつとならんと我が天狗
君の壷にて面を鎮めむ

紫式部の和歌「めぐり逢ひて見しやそれともわかぬ間に 雲がくれにし夜半の月かな」を引用しているのだと思います!

自分のモノを「天狗」と表現する自信がスゴイ(笑)。

優勝は、タオルさんの和歌に決定!

読者、リスナーのみなさまを巻き込んだ、和樂web初めて試み「しもうた選考会」。最優秀作品に輝いたのは、タオルさんの和歌でした!

ぱい見ての のちの心に くらぶれば 昔はモノを 思わざりけり

タオルさんのしもうたは、前編で詳しくご紹介しています。

「チラリと見えてしまったあの人の胸。それ以来、まるで昔は恋などしていなかったかのように、あなたのことが気になってしまうのです……」
きっと、そんな想いを込めた、青春を謳歌する歌なのではないでしょうか。

タオルさんには編集部より、ふんどしをお贈りいたしました。みなさま、たくさんのご応募本当にありがとうございました! 心よりお礼申し上げます。

「もののあはれ」って何?

多くの和歌が詠まれた、平安時代の美意識をあらわす言葉に「もののあはれ(もののあわれ)」というものがあります。「なんだそれ!」「難しそうだぞ!」そんな声が聞こえてきそうですし、私も実はよくわかりません。

江戸時代の国学者・本居宣長の記した『源氏物語』の注釈書『源氏物語玉の小櫛(おぐし)』によると、このように書かれています。

何事にまれ、感ずべき事にあたりて、感ずべき心を知りて感ずるを、もののあはれを知るとはいふ 

これは、「どんなことであっても、素晴らしいものを素晴らしいと感じること。そして、素晴らしいと感じている自分の心に気付くことが、“もののあはれ”を知るということなのです」といった意味です。

素晴らしいと感じる対象は、美しい花や季節の移ろいなど、高尚なものだけではありません。「楽しい!」と感じ「今、私は楽しいんだ!」と気付けば、もうそれは「もののあはれ」と言えるでしょう。

今回しもうたを詠んだり、みなさまの投稿を読んだりして、私は心から「楽しい!」「嬉しい!」「素敵!」と感じました。もののあはれって、こういうことなのかも。一歩、日本の美意識に踏み込めた気がします。

次回、また新たな企画を発表しますので、ぜひ楽しみにお待ちください!

▼こちらで紀貫之による「和歌の本質」に関してご紹介しています!
掛詞はカレーとポトフだって!?「和歌」って一体何なの?まずは一首詠みたい「基本のレシピ」 

画:窪俊満 メトロポリタン美術館蔵

書いた人

「下ネタは人類の共通言語だ」をモットーに、下ネタを通して日本の歴史の面白さを伝える。中の人は女子校育ちの耳年増。男の目の届かない花園で培った下ネタスキルを活かしたい。

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大学で源氏物語を専攻していた。が、この話をしても「へーそうなんだ」以上の会話が生まれたことはないので、わざわざ誰かに話すことはない。学生時代は茶道や華道、歌舞伎などの日本文化を楽しんでいたものの、子育てに追われる今残ったのは小さな茶箱のみ。旅行によく出かけ、好きな場所は海辺のリゾート地。

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