戦国時代の日本史を変えた!!知ってるようで知らない「火縄銃」の話

戦国時代の日本史を変えた!!知ってるようで知らない「火縄銃」の話

目次

火縄銃は日本史を劇的に変えた。

ヨーロッパでは16世紀以降、戦場に銃が大量普及した。新兵器をいち早く取り入れたのはオスマン帝国のイェニチェリ軍団である。狂信的な皇帝崇拝主義者でもある彼らは、戦術においても最先端テクノロジーを取り入れた。1522年のロドス島包囲戦では、キリスト教勢力の聖ヨハネ騎士団に苦戦したとはいえ結局は火力で圧倒した。

日本への鉄砲伝来は1543年。驚くべきは、日本の鍛冶職人はそれから僅か1年程度で鉄砲をコピーしてしまったということだ。

戦場への定着も極めて早かった。16世紀半ばには、畿内に火縄銃の生産を主幹産業とする集落まで登場した。供給があるということは、それに見合う需要があるという意味である。

同時に、ヨーロッパ発の武器であるマスケット銃は極東の島国日本で独自の文化を形成する。

欧米と一線を画す日本式火縄銃の構造


日本は中央に山脈が走る国である。火縄銃はそのような地理に適合し、欧米のマスケット銃とは一線を画す設計になった。

日本の火縄銃の特徴は、主に2つ。まずは頬付け型の銃尾部である。欧米型の銃の銃床は、射手の肩にフィットするよう設計されているのが普通だ。しかし日本の銃にはそれがなく、小さな銃尾部を頬に当てがうような撃ち方になる。これは日本の鎧と欧米式銃尾部の相性が良くなかったからだと言われている。

もうひとつは、瞬発構造である。日本の銃は引き金を引くと、即座にロック機構が解除されて火縄が火皿に接触する。だが欧米では、引き金とロック機構が連動する緩発構造が主流だった。自然の遮蔽物に恵まれた山岳国家日本では、身を隠しながらの狙撃が容易だ。瞬発構造は銃の命中精度を上げる効果をもたらす。

そうした機構的差異がある一方、日本の戦国武士団はトルコのイェニチェリ軍団と同様の効果を手にした。競合する周辺諸国を圧倒するだけの小銃火力である。

室町時代の政治機構は、各守護大名の中心に足利将軍家が位置するという構図だった。これはあくまでも「中心」に過ぎず、諸大名の都合で将軍の首すらも変わる。将軍の立場は盤石ではなかったのだ。

だから、日本各地の支配権限も細分化する。大名や豪族同士の争いが絶えなくなり、足利将軍家ですらも特定の大名の傀儡と化した。

そうした状況を一気に変えるには、強大な火力を誇る新兵器が必要だったのだ。

火縄銃は「武道」


現代でも、全国の歴史関連イベントで火縄銃の演武を見ることができる。

銃規制の厳しい日本において、火薬を使う古式銃の演武は誰でも実践可能なことではない。銃刀法と消防法の問題をクリアする必要がある。火縄銃演武の団体は、常に地元の警察と連携している。

火縄銃射撃は事故と隣り合わせだ。現代の銃と違い、火薬はその都度自身で調整しなければならない。うっかり詰め込み過ぎた火薬のせいで暴発事故を起こしてしまった、ということもある。もしそうなったら、その団体は当面活動休止だ。

そして何より、古式銃団体のメンバーは「武道家」である。

欧米でも古式銃演武を中心とするイベントは行われている。アメリカの独立戦争を記念する式典では、マスケット銃部隊のパフォーマンスは定番の出し物。ドイツの30年戦争にまつわるイベントでも、17世紀の銃を使った演武が行われる。

そこに登場する射手は、要するに「古式銃マニア」或いは「銃コレクター」である。対して日本の古式銃団体のメンバーは、単なるコレクターの域を超越した「何か」を胸に抱いている。彼らにとっての火縄銃はただの道楽でもなければ、職業でもない。そのような判断基準では決められない独特の価値観がそこにはある。

空気を揺らす衝撃

火縄銃と聞いて、長篠の合戦を連想する人は少なくないはずだ。

愛知県新城市の長篠城跡では、毎年5月に『長篠のぼりまつり』が行われる。全国からやって来た古式銃団体が、日頃鍛えた演武の腕前を披露する。

ここで実践される射撃法は、銃弾を込めないものだ。火薬だけを入れた、いわゆる空砲である。だが、怒号のような火縄銃の発射音と衝撃を体験するにはそれで十分だ。大砲に近い大口径銃の射撃では、文字通り空気が振動する。こんな武器が450年前に存在したのか、とも思ってしまう。戦国時代は、やはり熾烈だ。

このイベントを見るために、わざわざ遠い国から来日してくる人もいる。欧米のガンマニアの間でも「Japanese musket」は有名だ。「Tanegashima(種子島)」という単語でそのまま通じてしまうというから驚きである。

銃の前には立つなよ


火縄銃演武を行うイベントは全国各地で行われているが、いくつか注意点も記載しなければならない。

まず、ペットの連れ込みは禁止。火縄銃の発射音は現代銃のそれとは比べものにならないほど大きい。この際にペットが暴れ出すと、イベントの進行を妨害してしまう。

また、カメラマンがいい写真を撮ろうとして射線の前に移動する行為もタブーである。たとえ空砲であったとしても、人に銃口を向けてはならないというのが射撃種目のルール。これは世界共通で厳守される項目だ。

火器を取り扱う性質上、観客に対してもいろいろと決まり事が多い火縄銃演武であるが、この大迫力の射撃は一度見ておいて損はない。

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