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焦がちね、物病んじすん(読み:あしがちねぇ むぬやんじすん 意味:焦ると物事がうまく行かない 沖縄のことわざ)
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焦がちね、物病んじすん(読み:あしがちねぇ むぬやんじすん 意味:焦ると物事がうまく行かない 沖縄のことわざ)

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2022.04.26

大河の予習に『慈光寺本承久記』を読んでみたら、信長が優しかった

この記事を書いた人

さぁて、いよいよ鎌倉幕府軍と朝廷軍が大激突……の前に、戦には順序があります。

「『慈光寺本承久記』を読んでみた」シリーズの過去記事はこちらからどうぞ↓↓

煽り合い

当時の戦は双方の煽り合いから始まります。まぁラップバトルですね。令和4(2022)年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも、北条時政(ほうじょう ときまさ) VS 大庭景親(おおば かげちか)でその様子が描かれました。

先にキレちゃった方が負け、って感じでしたね!

では承久の乱ではどうかというと……?

小笠原長清(おがさわら ながきよ)の郎党の、市川新五郎という人が前に進み出ました。

「向こうの旗の下にいる奴は誰だ! 俺に相応しい相手なら川を渡って戦ってやろう! そうじゃないなら疲れるだけだから渡ってやんねーよ!」

いい感じの煽りです!! この煽り合いは相手をムカつかせた方が勝ちなので、いい感じにカチンと来ますね! 朝廷側からは薩摩左衛門(さつまのさえもん)という人が進み出て、このラップバトルに応じます。

「よくも言ってくれたな! お前らは出自が怪しい田舎者(=北条義時)の家来だろ? こっちは敵を制圧しろとこの国のトップ(=後鳥羽上皇)から命令されているんだ。渡りたくても渡らせてやるものか!」

はい! 「や~い、お前の大将一般人♪」です! さすがにこんな見え見えの上から目線に釣られるわけが……。

「違いますぅ~。一応、義時殿は、桓武天皇の子孫なんですぅ~。つーか日本人全員天皇の血が入ってますぅ~!」

釣られた~~~!! 市川さん、煽りに乗っかっちゃった~~!!

ちなみに北条義時は市川さんの言う通り、桓武平氏といって桓武天皇の子孫ということにはなっているんですが、かなり怪しいです。

承久の乱の時点で天皇は85代続いているので、その中で臣籍降下(しんせきこうか=皇位継承権のない息子に名字を与えて家臣の身分にすること。詳細はこちら)した人なんて沢山いるわけで、その家系と先祖が婚姻したなんて、もはやもう名乗ったもん勝ちです。

実は私も桓武天皇の子孫らしいんですが、かなり怪しいです。こちとら2022年だし

だから、市川さんの言う「日本人全員天皇の血筋」は、ある意味では正しくて、厳密には正しくないということです。

とにかく、見え見えの煽りに乗っかっちゃった市川さんは川を渡ろうとします。それを見た武田さんちの次男の信長君は「え? あの子どこの子? 溺死しちゃう前に呼び戻して!」と市川さんを戻して、荒三郎という泳ぎの得意な若者に瀬踏み(せぶみ=川に潜って浅いところを探す役目)をさせます。

武田さんちの信長くんってだけでちょっと面白いのに、こっちの信長くんは優しいですね!

信長ってコイツか~~~!!! タイトルに釣られた!

荒三郎くんは泳いで向こう岸の様子を見に行き、ついでに朝廷軍の1人を矢で射殺して戻ってきました。そして、いよいよ幕府軍と朝廷軍が突撃です! 次回に続く!!

アイキャッチ画像:『織田信長像(模本)』 (「 ColBase」をもとに作成)

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信長協奏曲 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

書いた人

神奈川県横浜市出身。地元の歴史をなんとなく調べていたら、知らぬ間にドップリと沼に漬かっていた。一見ニッチに見えても魅力的な鎌倉の歴史と文化を広めたい。