隈取で使う道具とその手順とは?
役柄のキャラクターを際立たせ、リアリティのある容姿を演出する歌舞伎の化粧。
ここからは、実際に隈取はどのように行っているのか、化粧方法について手順を追ってご紹介します!
【道具一覧】
①スポンジ ②鬢(びん)付け油 ③おしろい ④紅 ⑤肌色
⑥墨 ⑦太白 ⑧筆 ⑨はけ ⑩椿油
1.下地を作る
まずは土台を整えるところからスタート。いわゆる化粧下地の役割を果たすのが、鬢付け油です。
おしろいは、そのまま塗るだけだとどうしても地肌が透けてしまい、真っ白にはならないとのこと。そのため、鬢付け油を下地に使うことで、おしろいとの密着力を高め、ムラのない白肌に仕上げることができるのだそうです。あわせて、隈取では基本的に自眉を使わないので、太白(たいはく)と呼ばれるロウで、眉毛をペタッと潰すように固めます。
2.おしろいを塗る
おしろいは水で溶いて、一気に顔に塗っていきます。急がないと乾いてムラになるため、ここはスピード勝負。一通り塗ったら、スポンジでポンポンと叩いて水分を取り、下地の油とおしろいの粉を密着させます。
ちなみに、頭にかぶる羽二重(はぶたえ)と額の境目や、つぶした眉部分には肌色のドーランを塗って、色をなじませます。
3.紅と墨で隈取を入れる
最後は、紅と墨の出番。隈取は、ただラインを引いているというわけではなく、顔の筋肉や骨の隆起に沿うように描いて、表情に立体感を出します。ポイントは、紅をきちんとぼかすこと。そうすることで、いかにも「描きました!」という顔ではなく、内面からにじみ出てくるようなリアルな表情に仕上げられるそうです。
そして、墨でポイントになるのが、口元と目元。
「口元は、力強いへの字になるように、紅で自分の口より大きく描き、その内側に墨を入れます。これを『口を割る』といいます。
そして目元は、下まぶたに墨で線を描いて目力を出します。いわゆるアイラインのようなものですね。これを『目張り』といいます。豪快さを表す場合は、下の写真のように本来の下まぶたの位置より少し下に線を描いて、あえて白い部分を残します。こうすることで、より目を大きくみせることができるんです。
歌舞伎の化粧は、一回土台を白く塗ってフラットにするので、自分の元の顔を生かさないで描くことも可能。どんな顔にもなれるので、補正の技術が大いに生かせるんですよ」(立花さん)
ちなみに、隈取の化粧は荒々しく仕上げる方が良いのだそう。隈取を施す役柄は、豪快な性格を持ったものが多いため、一見雑に見えるくらい大胆に仕上げる方が、役柄の個性にマッチします。
今回は、プロに化粧をしてもらう『歌舞伎太郎』の体験講座の様子とともに手順をご紹介しましたが、本来はヘアメイクさんではなく役者自身が行うもの。10分~15分ほどでササッと仕上げるそうです。