「俺のストライクゾーンは宇宙だ」光源氏が口説いたワケアリな女性たち

「俺のストライクゾーンは宇宙だ」光源氏が口説いたワケアリな女性たち

日本を代表するプレイボーイ光源氏は、数えきれないほど多くの女性たちを口説いてきました。しかし、意外にもその全員が美女だったわけではありません。老女や不細工など、ワケアリ女性もたくさんいました。中には決して手を出してはいけない女性も・・・。
プレイボーイたるもの、ストライクゾーンは宇宙のように広くあるべし。『源氏物語』において、光源氏の口説いたワケアリ&タブーな女性(たまに男性)を一挙にご紹介します!

おばあちゃんも少年も・・・?光源氏のワケアリな恋人たち

国立国会図書館デジタルコレクションより 末摘花

まずは光源氏のストライクゾーンの広さを伺い知れる、ワケアリな恋人たちをご紹介しましょう!

一途な不細工 末摘花~気位の高さで愛を勝ち取る~

末摘花(すえつむはな)は、落ちぶれた貴族の高貴な女性。持ち前の想像力で「落ちぶれた貴族の高貴で”美しい”女性」と脳内イメージを勝手に変換させた光源氏18才は、末摘花と関係を結びます。

末摘花は紅花のこと。花弁が紅の染料に使われていたため、赤く染まった鼻を連想させる。

しかし夜明けに顔をみてビックリ。鼻が長く垂れ下がりその先端が赤く染まった、ガリガリで不細工な女性がそこにいたのです(※平安時代、女性の顔が見られたのは関係を持った後でした)。

一時は末摘花から足が遠のいていた光源氏ですが、気位の高い末摘花は一途に光源氏を待ち続け、その心に感動した光源氏に生涯を通して守られることとなったのです。

友達の元カノ 夕顔~素性のわからぬ場末の美女~

夕顔は、光源氏のライバル頭中将の元恋人で、頭中将の正妻の嫌がらせから逃れるため、京の場末でひっそりと暮らしていました。光源氏はその素性を知らず、夕顔もまた光源氏が何者かわからぬまま恋人関係になります。

夕顔の花。夕顔は庶民的な花で、高貴な光源氏にとっては珍しく感じられた。

しかし、荒れた不気味な隠れ家で二人が逢引きしていると、夕顔は突然死してしまいました。この夕顔と頭中将には女の子の子どもがいて、この子が後に光源氏の養女となる玉鬘(たまかずら)です。

老女 源典侍~おばあちゃんになっても色気たっぷり~

光源氏の恋人のひとり、源典侍(げんのないしのすけ)は、光源氏が18才頃に関係のあった50代半ば~後半の女性。平安時代ではおばあちゃんと呼ばれる年頃です。

しかも源典侍は、光源氏のライバル頭中将(とうのちゅうじょう)という、こちらもイケメンでプレイボーイな貴族と二股状態にありました。時代を代表するイケメン二人を手中に収めたおばあちゃん源典侍は、若い頃からモテモテで教養ある女性だったそう。

とはいえ、女性はよりどりみどりなイケメン18才男子にしては、好みが渋すぎやしませんか。

つれない人妻の弟 小君~光源氏に憧れる美しい少年~

光源氏が愛したのは、何も女性だけではありません。具体的な描写はありませんが、小君(こぎみ)と呼ばれる少年とも恋人関係にあったと推測されています。

この少年はつれない人妻の弟で、光源氏は彼を使って人妻を振り向かせようとしていました。そんな人妻の面影をたたえる少年小君にも、光源氏は惹かれていくのです。小君もまた、光源氏に純粋な好意と憧れを持っており、姉と光源氏がうまくいくよう立ち回っていました。

光源氏に限らず平安時代では、男色はそこまで珍しいことではなかった。

【小君との男色関係が推測される箇所】
『帚木』の巻より
原文:「昨日待ち暮らししを。なほあひ思ふまじきなめり」と怨じたまへば、顔うち赤めてゐたり。
訳:「(光源氏が小君を)一日中待っていたのに、私が思うほどあなた(小君)は私のことを思ってくれていないのですね。」と恨み言をおっしゃるので、小君は顔を赤らめている。

『空蝉』の巻より
原文:いとらうたしと思す。手さぐりの、細く小さきほど、髪のいと長からざりしけはひのさま通ひたるも、思ひなしにやあはれなり。
訳:(光源氏は小君を)とてもかわいらしいとお思いになっている。手触りから感じられたほっそりした体つきと、髪がそこまで長くない様子が小君と空蝉で似ているのも、気のせいだろうか。

そこは自制して!光源氏の口説いたタブーな女性たち

人には、決して恋愛関係に陥ってはいけない相手がいます。しかし光源氏にとってそんなことはお構いなし。光源氏の口説いたタブーな女性たちをご紹介しましょう。

国立国会図書館デジタルコレクションより 朝顔

養女 秋好中宮・玉鬘~邪険にできない養父の想い~

光源氏は、秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)と玉鬘(たまかずら)という二人の女性を養女として迎えています。もちろん悪い予感しかしません。光源氏は、二人の美しい養女に恋心を抱くのです。

迫りくる光源氏の想い(イメージ)。光源氏が強力な後見である以上、キッパリと拒絶することもできない。

しかし二人の養女は、光源氏が養父として強力な後ろ盾となっている以上、その思いを邪険にもできず、悩み苦しみます。平安時代当時、どんなに美しく高貴な生まれでも、女性は男性の後ろ盾なくして出世や幸せは望めませんでした。

結局光源氏は養女と関係を持つことはなく、秋好中宮は天皇のお后として、玉鬘は有力貴族の妻として幸せな人生を歩みました。

斎院 朝顔~神職を務める年上のいとこ~

斎院とは、賀茂神社に奉仕する内親王もしくは女王のことで、男性経験がないことが条件のひとつでした。光源氏のいとこで朝顔という女性が斎院を務めていましたが、もちろん恋心を抱きます。斎院が男女の関係に陥るのはタブーだったため、年上の朝顔は光源氏を上手にあしらいます。

源氏物語と縁の深い上賀茂神社。賀茂神社とは、京都市の上賀茂神社(賀茂別雷神社)と下鴨神社(賀茂御祖神社)の総称。

しかし、朝顔が斎院を退任すると、光源氏はここぞとばかりに再アタックをかけるのです。結局その想いが結ばれることはありませんでしたが、二人の関係を怪しんだ紫の上(光源氏の妻)には、「全然最初からそんな関係じゃないしww」と説明します。自分が振られただけなのに・・・。

継母 藤壺~母の面影を残す最愛の人~

光源氏は幼い頃に母を亡くし、母の記憶がほとんどありません。そんな母と瓜二つと言われた女性が藤壺(ふじつぼ)です。藤壺は父帝の妻でしたが、光源氏は藤壺と密通し、子どもまで設けます。

実の父は時の天皇だったため、これが知れたら反逆罪として命すら危うい状況でした。藤壺との関係は、光源氏最大のタブーにして、命をかけた大恋愛だったのです。

藤壺との恋について詳しく⇒えっ・・・父の妻と関係を持ったって・・・『若紫』に描かれた、禁断の恋愛

【おまけ】源氏物語に登場する面白キャラ「近江の君」

最後におまけとして、源氏物語に登場するお笑いキャラ「近江の君(おうみのきみ)」をご紹介しましょう。

近江の君は、光源氏のライバル頭中将の娘です。光源氏が素晴らしい養女(玉鬘)を引き取ったと噂になり、ライバル心に火がついた頭中将は、「どこかにいるはずの自分の娘を探し出せ」と命じます。頭中将もプレイボーイだったため、知らぬ間に子が産まれていても不思議ではなかったのです。

そこで見つけ出されたのが、近江の君です。彼女は一時期頭中将が付き合っていた中流階級の女性との子どもで、田舎の貧乏暮らしがすっかり板についてしまっていました。彼女は早口で教養がなくお下品で、一応上流貴族の娘でありながら、「トイレ掃除でもなんでもやります!」などと言ってしまう始末。

近江の君は双六でよく遊んでいたが、双六は上流貴族の遊びではなかったことから、彼女の育ちが伺い知れる。

しかし、光源氏の美しい養女玉鬘は、頭中将の実の娘なのです。同じ父を持ちながら一方は麗しい玉鬘と、一方は笑いものの近江の君。近江の君は玉鬘の引き立て役として登場した女性でした。

光源氏が絶対に手を出さなかった女性とは?

人妻だろうがおばあちゃんだろうが、誰彼構わず口説いているように見える光源氏。そんな光源氏が、唯一手を出さなかったゾーンの女性がいます。それは「息子の妻」。光源氏には冷泉帝と夕霧という2人の息子がいますが、息子たちの妻や恋人には手出ししていません。そこは一応常識人だったようです(ただし、冷泉帝に嫁ぐ前の秋好中宮には言い寄っています)。

そんな光源氏の息子夕霧は、いつしか光源氏最愛の妻、紫の上に恋心を抱いてしまいます。これは、父帝の妻に手を出した光源氏自身の因果応報と言わざるを得ないでしょう。

事実は小説より奇なり

今回ご紹介した光源氏のあってはならない恋愛の数々は、「小説だから」の一言で片づけることができます。しかし、「事実は小説より奇なり」という言葉もありますね。さぁみなさま方の恋愛遍歴やいかに・・・?

※アイキャッチ画像について
国立国会図書館デジタルコレクションより「源氏物語五十四帖 夕顔」著者:広重

「俺のストライクゾーンは宇宙だ」光源氏が口説いたワケアリな女性たち
この記事をSNSでシェアする
この記事をSNSでシェアする