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2019.09.10

クラフト塩麹に挑戦! 小倉ヒラクさんに聞くディープな麹の話と活用法

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一時は大ブームと言っていいほどの人気と盛り上がりを見せた発酵調味料・塩麹(しおこうじ)。 お店ではいろんな種類の塩麹が販売されていますが、実は超簡単に手作りできるんです。発酵デザイナー・小倉ヒラクさんのワークショップに参加して塩麹の作り方や活用法をお聞きし、塩麹を使うとなぜ食材がおいしくなるのか、歌って踊りながら教えていただきました!

日本の食文化を支える麹

味噌、醤油、酢、酒など、日本の食に欠かせないものに共通する要素があります。
それは、発酵。
そして、その発酵の原動力となっているのが麹です。

麹は、人にとって無毒で有益なカビの一種である麹菌が米などの穀物に繁殖したもの。麹には食べ物の旨みや甘みを引き出す力があります。

米に麹菌が繁殖した、米麹

「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことに日々取り組む発酵デザイナー・小倉ヒラクさんは、日本全国の醸造家やクリエイターたちとさまざまなプロジェクトを展開しています。発酵食品についてのワークショップも、その活動のひとつ。小倉さんはこれまで、日本各地で麹の作り方や味噌の作り方、発酵の知識などをレクチャーしてきました。

「湘南 蔦屋書店」のワークショップでトークする、発酵デザイナー・小倉ヒラクさん。

今回は、小倉さんの新刊書籍『日本発酵紀行』出版記念トークイベントと合わせて、2019年8月に「湘南 蔦屋書店」で開催された塩麹ワークショップに参加し、日本の食を支える麹のお話をうかがい、発酵調味料・塩麹の作り方を教えていただきました。塩麹を手作りすると、発酵の原理がよくわかりますよ。

乾燥麹を使えば超簡単、クラフト塩麹の仕込み方

塩麹作りの材料は、[1] 米麹、[2] 塩、[3]水、これだけ。あとは、清潔な蓋つきの容器を準備。
ワークショップ当日は、山梨県の老舗味噌蔵・五味醤油が丁寧に手作りした乾燥米麹が用意されました。分量は、米麹200グラム、塩60グラム。水は200~250㏄が目安です。

ワークショップ当日に、参加者に配られた五味醤油の米麹、塩、蓋つき容器

 まず、麹の香りをかいでください。どんな香りがしますか? 香りの要素はだいたい3つ。お酒のような香りと、栗のような香り、それからキノコの香り。

麹は、どれだけフレッシュな状態かによって香りが変わってくるそう。そもそも麹はお酒の原料でもあるため、お酒と共通した香りは基本的なベース。栗のような香りは若い麹が成長する時に強く感じ、キノコの香りは、成熟した麹から立ち上る加齢臭のようなもの(!)。

麹の香りをかいでみて!

 今日の麹はでき立てなので、栗の香りが強いですね。

次に、麹の粒を手に取って割ってみてほしいと小倉さん。

 麹を割って、断面をよく見てください。割ると、麹のクオリティがわかるんですよ。お米の芯の部分と、その外側の白い部分がありますよね。白い部分は麹菌の根っこで、菌糸が食い込んでます。いい麹はこの食い込みが深いんです。モノによっては中心まで菌糸が食い込んでいたりします。

外側は白くなっていて、中はお米がそのまま残っている(芯が残っている)状態

麹は、作り方によって品質に大きな差が出るのだそう。麹のお店などでは、お許しが出れば粒を割って断面を確認させてもらうのもいいかもしれませんね。
スーパーなどでパック詰めされている麹は買ってから割ってチェックしてみましょう。なお、よく見かける板状の乾燥麹で塩麹を作る場合は、手でほぐして粒をバラしてから使います。

塩麹を作ってみよう!

では早速、塩麹を作りましょう。……と言っても、工程は材料を混ぜるだけ!

麹と塩をしっかり混ぜる

麹と塩をまんべんなく混ぜます。ちゃんと混ざっていないと仕上がりにムラが出ますよ。
麹に塩を合わせることで味を付け、悪い菌が寄り付かず腐敗を防ぐ役割も担ってくれます。

そこに水を投入。水は麹がひたひたになるくらいまでを目安に。容器に蓋をして、準備完了。

水を注いで、蓋をして、準備は完了

この状態で、夏でも冬でも必ず室温で保存します。1日に1回混ぜて、1週間くらいで塩麹ができ上がり。発酵菌はだいたい25度から35度の間で元気になるので、そのぐらいの温度帯で保存するのがベスト。やってはいけないのは、直射日光に当てることだそうです。

室温で保存しているうちに米粒が溶けていくのが発酵している証拠。色は、白から次第にべっ甲色に。香りは栗の香りからだんだんお酒っぽい、味噌っぽい香りに変化します。冬場は発酵の様子を見て、常温保存の期間を1週間よりも延長したほうがいい場合もあります。

この時点で舐めてみると、舌に刺激を感じるほどしょっぱいです。発酵が進むと、味わいはどんなふうに変わるんでしょうか?

経過観察、じわじわと甘味が増していく不思議

ワークショップで準備した塩麹を持ち帰って、経過観察。30度を超す暑さが続く夏の日に、直射日光のあたらない場所で保存した結果をご覧ください。


【1日目】 麹が水を吸ってぷくぷくに膨らみました。表面が乾くほどに水が引いていたので、少しだけ水を足しました。香りは栗っぽい香りが強いです。味は、初日に比べたら少しマイルドな気もしましたが、やっぱりしょっぱい。


毎日、底のほうからしっかり混ぜました。混ぜることで麹菌に空気を送って菌の活動を活性化させます。


【2日目】 1日目とかなり様子が変わりました。ぷくっとしていた米の粒がしぼんで水分が外に出ているよう。味は、初日のようなしょっぱさがなくなり、少しまろやかになりました。香りにも変化が。栗の香りから、酒っぽい香りにシフトしはじめました。


ちょっとはしょって【5日目】 3日目くらいからかなり水分が出てきて、日を追うごとに米の粒がもろもろとやわらかくなって、塩辛さがさらにまろやかに。糖分を入れていないのにほんのり甘味も感じます。色も、べっ甲色っぽくなってきました。


【8日目の朝】米の粒がだいぶ崩れてきて、塩味のなかにしっかり甘さを感じる味わいに。これででき上がり、と判断。冷蔵庫に移しました。
冷蔵庫に入れたら菌の活動はお休みになります。そこから1カ月~半年はもちます。

小倉さんによれば、この状態からもっと発酵させていくのもレシピのひとつなんだとか。
発酵がさらに進むと今度は酸味が出てきて、ぬかのような味わいになっていきます。これは、乳酸菌が働き出すから。このちょっと酸っぱい味が好き、という方もいるので、クラフト塩麹ならではのカスタマイズにトライしてみてもいいかもしれませんね。
青いカビや赤いカビなど、なにか変な菌が入って増殖してしまった場合は残念ながら失敗。諦めましょう。こうならないために清潔な容器に入れて、清潔な道具でメンテナンスし、蓋をして保存しましょう。



では、でき上がった塩麹を使っておいしい料理を作りましょう! 小倉さんに活用法をお聞きしましたよ。ん? そもそも塩麹を使うとなんで料理がおいしくなるんでしょう。それは……

書いた人

寺社巡り、歳時記、やきものなど、さまざまな日本文化にまつわるウィークリーブックの編集担当を経て、料理専門誌編集部へ。たんぱく質不足。炭水化物過多。お腹はゆるゆるでいいが背中はバキバキでありたいので、背筋を中心に日々トレーニングしたりしなかったり。