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2019.10.01

富山の激レアグルメ!魚津の絶品「ブリ勝バーガー」を食べてみた!

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2019年9月22日(日)からの2日間、魚津総合公園(富山県魚津市)にて「魚津の秋 大収穫祭」が開催された。ちょうど秋の三連休の後半、魚津の食をテーマに、魚津が誇る「うまいもん」が大集合するイベントだ。

何やら事前情報では、激レアな「ブリ勝バーガー」が登場するとのこと。早速、イベント開催2日目の9月23日(祝)、朝から魚津へと向かった。

興奮気味で魚津に到着し車から降りようとしたそのとき、まさかの、真横によろめいた。ちなみに比喩ではない。本当に激しくよろめいたのだ。予想しない強烈な突風のせいで不意を突かれる格好となる。

じつはイベント2日目の朝、折しも台風17号が日本海沿岸を北上しており、その影響で富山県魚津市も暴風域圏内に入っていたのだ。公園内にあるミラージュランド入り口には、無情にも「イベント中止」のポスターが。

さて、今回の取材の目玉である「ブリ勝バーガー」は幻のままとなるか?
(いや、写真が掲載されているから、出オチか…)

魚津でベニズワイガニが解禁!地産地消の「魚津豊作定食」

最初にネタをばらすと、公園内のミラージュランドのエリアでは「中止」。つまり、魚津のブランド食材が集う「うまいもん市」は、無念にもこの目でみることができなかった。一方で、魚津水族館横のエリアでは一部のイベントが予定通り開催されていた。もちろん、横殴りの風に無言であおられながら、胸をなでおろしたことは言うまでもない。

イベント開催場所である無料休憩所に近づくと、入口左手に大きな釜が見えてきた。どうも湯気が立ち上っている様子。

カニ汁だ。

魚津の味噌を入れている様子

鍋の中に入っているのは、この9月から漁が解禁となったばかりのベニズワイガニ。
平成30年の農林水産省が発表した都道府県別漁獲量では、ベニズワイガニの漁獲量の日本一は鳥取県。富山県はといえば、400トンの漁獲量で全国9位となる。この魚津港にも多くのベニズワイガニが水揚げされる。

ベニズワイガニのカニ汁(1人前)

ズワイガニと異なり茹でる前から全体的に紅色がかっているため、水産試験場によって「ベニズワイガニ」と名付けられた。その生態は、ズワイガニよりも深海で生息し、親ガニになるまで約8年、計11回の脱皮を繰り返すという。もともとベニズワイガニは、ズワイガニの代用品として食されていたが、近年では殻の身離れもよく、カニみそのおいしさもあって再評価されている。

なお、余談だが、現在世界で行われているベニズワイガニ漁の多くは「かに籠漁」というが、これは魚津市の漁師であった浜多虎松さん(故人)が開発したといわれている。

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カニ汁は、ベニズワイガニの旨味が出汁に溶け込み、味噌のほのかな甘みが、あとから口の中でじわっと出てくる一品。料理人の方に話を伺うと、魚津はベニズワイガニだけではなく、「うまいもの」が多いという。とれたての魚津米や魚津の味噌など、地産地消にこだわった「魚津豊作定食」は、魚津のおいしさがそのまま体感できるセットとなっている。

エコなのに熱いぜ!ブリ勝バーガー

空前のサバブーム到来で、サババーガーの本格的な専門店もオープンしているとか。しかし、残念ながら同じ魚でも、正直、ブリは押され気味。それを覆すかのような「ブリ勝バーガー」に期待値は上がる一方だ。

さて、取材の目玉となる「ブリ勝バーガー」はどこぞと探していると、入り口にお手製の張り紙を発見した。

魚津漁協謹製とのこと。まずは、魚津漁業協同組合の浜住氏から、ブリ勝バーガー誕生の経緯を伺った。

「うちの漁協でブリを取り扱う中で、部位によってはどうしても半端が出る。それを有効利用できないかと考えた」

魚も自然の恵みの一つ。やはり、せっかく捕ったブリを丸ごと有効利用したいと、去年あたりから考え始めたという。この考えに賛同した富山短期大学食物栄養学科と連携して商品開発に向け動き出し、試行錯誤を重ねた結果、このブリ勝バーガーが完成したのだ。

それでは、ここで幻の「ブリ勝バーガー」をご紹介しよう。

まずは、包み紙から。

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「祝」という赤字が、これまでの苦労をうかがわせる。

実際に、ブリ勝バーガーを作る魚津丸キッチンの厨房の方々から話を伺った。
「もちろん、ハンドメイドですから。パテを作って型を取るのが大変です」

そう。このブリ勝バーガーの断面図を見て頂ければわかるが、ブリをそのまま揚げているわけではない。何しろ、ブリ全体を有効活用するため、ブリのあらなどを使用するからだ。

ただ、すり身にしているわけではない。荒引きは角状に残して、細引きはすり身にして混ぜている。うまくブリの魚本来の味がでるように工夫されているのだ。食べると、ごろっとしたブリの身をところどころに味わうことができ、ミンチカツのブリバージョンのような食感で、割とあっさりしている。

また、味付けにもこだわりがある。もちろん、ここでも魚津産の醤油を使用。
「魚津の醤油はちょっと甘いんで、しょうが汁を入れています」

それだけではない。作り手からは、ブリ勝バーガーを元気の源にしてほしいという思いが込められている。

「恋に、受験に、勝負に 勝って欲しい」
なるほど。カツを「勝つ」とかけての命名らしい。

エコなのに、ブリに対する愛情、食べてもらうことへの感謝、元気をチャージしてほしいという願いが詰まった、なんとも熱い「魚津ブリ勝バーガー」であった。

ブリ解体ショーで食育を語る!魚津愛にあふれた海風亭の料理人

炎のように燃えたぎるわけではない。しかし、穏やかながらもふつふつと心に情熱を持っている。そんな印象を受けたのが、今回のブリ解体ショーで包丁さばきを披露した料理人、美浪呂哉(みなみともや)氏だ。

創業100年の日本料理店「海風亭」の美浪呂哉(みなみともや)氏

ブリ解体ショーが始まると、大勢の観客がまな板を取り囲むようにしてじっと見つめた。

料理人ならではのウロコの引き方を披露

手際よく、ブリがどんどん解体されていく。華麗な包丁さばきはさることながら、その解説もわかりやすい。ただブリを解体するだけでなく、スーパーで見かける「活け締め(活〆)」など、日常で使う魚に関する言葉も丁寧に解説する。魚自体をもっと知ってほしいと思うからだ。

魚津出身ということもあって、一緒に魚津の魚を盛り上げていきたいと常々話していたという。

「魚津の魚は本当にとてもおいしいです。子どもたちには、魚をおいしい状態で食べてもらいたい。一口目がまずかったら魚が嫌いになるので」

魚津の食材を使っておいしいものを提供していきたいという。今後、郷土料理の掘り起こしもする予定だ。

雨にも風にも台風にも負けない魚津の思い

「できることなら毎年やりたい」
そう話すのは「魚津の秋 大収穫祭」の場所となった魚津総合公園の園長代理、永田慎太郎氏だ。

イベント2日目は台風の影響を受けたが、1日目の客足は多かったという。

無料でふるまわれた魚津の漁船が北太平洋で水揚げしたサンマ

どうしても秋は台風の影響を受けやすいが、かといって開催の日程を直前で調整するのは困難。それでも、やはり毎年行いたい気持ちがあるのだという。というのも、今回のイベントで魚津の魚が結構人気があるということが再認識できたからだ。これが一番大きな収穫なのかもしれない。

まだイベントは終了していないが、どうしても訊いておきたかった。
「初めてのイベント。最初の試みは成功ですか?」

照れながらも、はい、との返事が返ってきた。
「来年に向けてまた、色々な調整をしていきます!」

出来ることなら来年は、台風とは関係のない穏やかな秋晴れの中で、「魚津の秋 大収穫祭」を堪能したい。また、新しい魚津の味と出会えることを期待して。

基本情報

店舗名:魚津総合公園
住所:魚津市三ヶ1390
定休日:水族館…12月~3月中旬の月曜日と祝日の翌日&年末年始(12月29日~1月1日)、ミラージュランド…毎週水曜日(水曜日が祝日の場合は、翌日)

店舗名:日本料理 海風亭
住所:富山県魚津市釈迦堂 1-13-5(ホテル美浪館 1F)
営業時間:ランチ11:30~14:00 夜17:00~19:00
定休日:日曜日(祝日は要問合せ)
公式webサイト:http://www.minamikan.com/kaifutei/