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2019.10.08

やきとりの名店が大集合するイベント「全国やきとリンピック」って?ご当地やきとりと歴史も紹介

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食文化としてのやきとりを国内外に発信している「全国やきとり連絡協議会(通称・全や連)」。その「全や連」と「かいなん産業フェスタ実行委員会」主催の「第13回全国やきとリンピックin海南」&「かいなん産業フェスタ」が2019年10月12日(土)・13日(日)、和歌山県海南市で開催されます。
(※残念ながら今年は台風の影響により中止になってしまいましたが、本記事では気になるイベントの内容をご紹介します。)

「全国やきとリンピック」は年に一度、全国のやきとりの名店が一堂に会する大イベント。個性豊かな「焼き師」たちのやきとりを食べ比べたり、部位ごとの味の違いを楽しんだり、全国ご当地やきとりをコンプリートしたり…。
一人でも、家族や友達と一緒でも、さまざまな形で満足できるのがやきとりの嬉しいところです。
日本の食文化としてのやきとりを、改めて見直す機会にもなりそうです。

「全国やきとリンピック」は今回の和歌山が第13回目。関西圏では初の開催となります。
これまで福島や長門で開催され、そして第11回にはなんとイタリア・フィレンツェにて「世界やきとリンピック」が開かれました。
今回の「第13回やきとリンピックin海南」には全国から16店の個性的なやきとりの名店が集まります。
北海道美唄市からは「1本の串で、一羽まるごと味わえる贅沢なモツ串」が食せる「焼きとり たつみ」、山口県長門市からは「ジューシーな長州どりや長州黒かしわを使い、ガーリックパウダーを振りかけて食べる」との「焼きとりやちくぜん総本店」、また山形県米沢市の「米澤牛Diningべこや」では「柔らかな肉質と脂の美味しさ」を堪能できる牛串をいただくことができます。
他の店舗にも、それぞれのやきとりへのこだわりやストーリーが。ぜひ以下から、店舗ごとのショートムービーをご覧ください。

「第13回全国やきとリンピックin海南」公式サイト https://www.zenyaren.jp/project/yakitorympic/13kainan

海南市ならでは!「やきとり+紀州漆器」YAKITORI KISHUプロジェクト


「JAPAN」といえば「漆器」を指すように、漆器は日本を代表する伝統文化の一つです。
海南市黒江地区は室町時代から続く「紀州漆器」の産地となっており、今も伝統的な意匠から斬新なデザインのものまで、さまざまな漆器の文化を発信しています。
今回の「全国やきとリンピックin海南」では、「JAPAN」を代表する食文化「やきとり」と「紀州漆器」のコラボレーションが実現。
プロダクト開発として海南市出身、気鋭の若手漆器職人・島圭佑さん、プロデュースには同じく海南市出身の山家雄一さんと、フードコーディネーターである菅野尚子さん、そしてプロダクトデザイナーとして田口裕介さんが参加し、海南市ならではのやきとり食文化の演出がなされます。
その一つが「プレミアムやきとり漆器」です。

プレミアムやきとり漆器とは


今回、「第13回全国やきとリンピック」を記念して、紀州漆器組合青年部は新たに漆器皿を開発。やきとりに特化したやきとり専用漆器皿を「プレミアムやきとり漆器」と名付けました。

コンセプト
やきとりと紀州漆器が歩む伝統と革新の2本の「道」を、
紀州漆器の特徴である「根来塗り」で際立てた溝によって表現しています。

やきとりの美味しさのために
溝によって油やタレを切ることによって、やきとり本来の美味しさを損なわない工夫となっています。また、紀州漆器が率先して取り入れてきた技法によって、自然の風合い、気品を演出する漆と木目の塗り分けを施しています。

「YAKITORI KISHUプロジェクト」より引用


「第13回全国やきとリンピックin海南」ではこの「プレミアムやきとり漆器」が披露されます。やきとりと紀州漆器のこれからの進化が期待されるプロジェクトです。(会場での「プレミアムやきとり漆器」の販売予定はありません。)

海南市だからこそ!地元特産品が目白押し「かいなん産業フェスタ」


「全国やきとリンピック」と共に開催される「かいなん産業フェスタ」。
海に面した海南市は海の幸が豊富で、海南市塩津港では昨年11月から「立征(りっしょう)水産」が牡蠣小屋を開いています。会場ではこの和歌山塩津産の牡蠣を食べることができます。
また「魚与(うおよ)水産」では塩津産のしらす丼を、「あり長(ありちょう)水産」では同じく塩津産のしらす丼としらすトーストを味わえます。
「JAながみね」からは和歌山産のみかんなど農産物の出店も。
海南市だからこその「やきとり+地元グルメ」をおすすめします。
(自然のものですので天候や気候により出展には変更があります。)

実は海南市は、たわしやスポンジなど水回りの日用家庭用品のシェアの多くを占めています。
会場には海南市の家庭日用品メーカーの出店もあります。
日用品は日々の生活に欠かせないものです。メーカーごとに工夫をこらした箒やスポンジ、たわしなどを見比べて、自分好みの一品を選ぶのも楽しいかもしれません。
【出展メーカー】
早川工業 / アイセン / サンコー / 橋爪商店 / クロシオ(家具)

迷路のような小路が連なる海南市黒江地区。先ほどの「プレミアムやきとり漆器」でも触れましたが、ここは昔ながらの紀州漆器の産地となっています。
漆器といえば、改まった時に使用する格式の高い器ですが、紀州漆器には「普段使いの漆器」をも扱ってきた歴史があります。ちょっと晩ごはんに家族そろって使えるような、そんな器も見つかるのが紀州漆器の嬉しいところです。
「かいなん産業フェスタ」では紀州漆器の展示販売も行われます。
ぜひこの機会に、日常に馴染む漆器と出会っていただければと思います。

知っているようで知らない「やきとりの歴史」


ちょっと一杯飲むときにも、晩ごはんの一品にも、子供たちのおやつにも、世代やシーンを越えて愛されているやきとり。甘辛のたれと深みのある塩、どちらも想像するだけでごくりと喉が鳴りそうです。
ところで、やきとりは一体いつから私たちの身近な食となったのでしょうか?

日本人にとって親しみのある神話『古事記』。太陽の女神「天照大神(あまてらすおおみかみ)」が弟である「須佐之男命(すさのおのみこと)」の蛮行を嘆いて天岩屋戸に引きこもってしまったエピソードは有名ですが、その時、鶏も重要な役目を果たします。「常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)」である鶏が高らかに鳴いて、天照大神が天岩屋戸から姿を現す手助けをするのです。
朝日を呼ぶ鳥として、古来、鶏は神聖な生き物とされてきました。

そのこともあって日本では長い間、「やきとり」は鶏ではなく、スズメやヒヨドリ、キジやカモなど野鳥が中心となっていました。
肉食を忌む仏教の影響に加え、もともと家畜を食料とする習慣がなかったこともあり、書物に鶏の「やきとり」調理法が見られるのは江戸時代になってから。それでもやはりまだ、主流はスズメなどの野鳥でした。

文明開化の掛け声と共に明治の世には牛鍋が流行し、やっと「やきとり」も庶民の食文化のひとつとなったのですが、当時、串に刺されていたのは主に鶏や豚の臓物。今でいうところの「ホルモン串」です。
安く手に入るホルモンを香ばしく蒲焼にして売る屋台が夜の町にひしめいて、力仕事を請け負う人たちの間で大盛況だったとのこと。
大正、昭和の時代にも「ホルモン串」としてのやきとりは多くの人の胃袋を満たし、大正12年の関東大震災、昭和20年の終戦の混乱の中でもやきとりは庶民の力の蓄えとなりました。

現在の鶏肉を串に刺す「やきとり」が主流となったのは、昭和30年代にブロイラーの技術がもたらされてからです。安価にたくさんの鶏肉が出回ることとなり、各地でさまざまな「やきとり」が生まれました。
今では、居酒屋でも精肉店やスーパーでも手軽に買い求められるようになった、やきとり。
豚や野菜などを串に刺したものも広義で「やきとり」と呼ばれるのは「ホルモン串」時代からの変遷の名残です。

平成、令和の世では、タレや焼き方、鶏の品種や肉質、部位などにもこだわった食文化としての「やきとり」が注目されています。手軽な食としてだけではなく、日本の食文化の代表として認められつつあります。
これから「やきとり」がどんな進化を遂げてゆくのか、先々に作られる歴史もまた楽しみです。
(参考文献「全国やきとり連絡協議会」公式サイトより「やきとりの歴史」)

「第13回やきとリンピックin海南」&「かいなん産業フェスタ」
※台風の影響により中止

*開催日: 2019年10月12日(土)・13日(日) 各日10:00~17:00
*会場 : 和歌山県海南市 JR海南駅西側 徒歩3分(雨天決行・荒天中止)
*駐車場 :会場周辺には駐車場はありせん。JRをご利用下さい。
*和歌山マリーナシティ有料駐車場より、会場までの無料シャトルバスを運行。
(駐車場は有料です。ご注意ください。)
*公式サイト https://www.zenyaren.jp/project/yakitorympic/13kainan

書いた人

和歌山県在住。自然豊かな環境で育ったため、今でもうっかりカエルやクモと会話してしまう日々。和歌山の自然と生き物、神社仏閣をこよなく愛しつつ、「蒼海」俳句会にて俳句修業中。(社)自分史活用協議会「自分史アドバイザー」。