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「かわいい!」日本美術1200年の歴史を俯瞰する〜江戸編〜

琳派、浮世絵、禅画…江戸時代ではかわいいが爆発!?

室町時代までの「かわいい」の流れを見ると、中国伝来や幕府御用といった本格とされる絵より、やまと絵や禅画のように私的に楽しまれた絵に多かったことがわかります。その傾向は江戸時代の庶民文化の発達とともに一気に爆発します。

先駆けとなったのは俵屋宗達!

先駆けとなったのは、京都の町絵師から身を起こした俵屋宗達(たわらやそうたつ)です。だれにおもねることなく、みずから描きたいものを追求した宗達は、『犬図』のようなあどけない水墨画をはじめとした遊び心に溢れた絵を描き、京都の町衆にもてはやされるようになります。やまと絵をベースにした宗達の画風は、後に尾形光琳や酒井抱一が受け継ぎ、琳派と呼ばれるようになり、デザイン性の高いグラフィカルで「かわいい」画風を完成させるのです。

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俵屋宗達『犬図』時代/江戸時代前期 所蔵/西荒井大師總待寺

動物の擬人化がかわいい、歌川国芳

江戸時代を代表する美術といえばもうひとつ、歌舞伎や遊郭、相撲など町人に人気の題材を描いた浮世絵があります。人々の好みに応じて浮世絵師たちが、自由に腕を振るい、斬新でインパクトのある表現を競い合う中でも、創造性で名を馳せたのが歌川国芳(うたがわくによし)。愛する猫の姿態を描き、カエルや金魚、動物を擬人化するなどして、様々なものに「かわいい」命を吹き込んだのが国芳の功績です。
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歌川国芳『かゑるづくし』時代/江戸時代・天保13年ごろ 所蔵/個人蔵

奇想(きそう)と称される絵師たちも…

また、鶏の連作で有名な伊藤若冲は動植物を題材にしたユーモラスな作品も多数手がけ、同時代の曾我蕭白や長沢蘆雪らの「奇想」と称される絵師たちもまた、随所に「かわいい」センスを発揮。さらに、写実的でわかりやすい絵で京都画壇をリードした円山応挙は、子犬をはじめとした愛玩動物のかわいらしさを余すところなく描いています。

禅画とは思えない仙厓のかわいい作品たち

そしてもうひとり忘れてはならないのが、市井での布教に即興画を用いた禅僧・仙厓義梵です。求められるままに禅画を描いたとされる仙厓の絵は、今で言う「へたうま」の極致。そこはかとないかわいらしさに溢れていて、自然と笑みがこぼれてしまうような慈愛に満ちた禅画を数多く残しました。
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仙厓義梵『猫に紙袋図』時代/江戸時代後期 所蔵/福岡市美術館

日本人特有の感性である「かわいい」はこのように、江戸時代に確立されたのです。

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