Culture

「歌舞伎」「文楽」「能」比べてわかる基礎知識!!〜舞台装置編〜

どんなシチュエーションで各演劇が催されてきたのか。それぞれの芸能を支持する観客によって時代と共に進化してきたのが舞台装置です。その違いを考察してみましょう!

興行ごとに仮設されていた歴史をもつ簡素なつくり
●基本構造/本舞台・橋掛り・地謡座・後座の4部分からなる能舞台のつくりは江戸初期に完成。中心にある本舞台は約6m(京間三間)四方の正方形で、床の四隅に柱を立て屋根が掛けられている。屋内でも舞台に屋根があるのは、かつて野外で演じられることが多かった名残。

文楽

客席へせり出した床から義太夫節を響かせる
●基本構成/人形の縮尺に合わせた舞台、その上手側に客席へ張り出た「床」からなる。床には太夫と三味線が座り、浄瑠璃を語る。舞台は人形遣いがスムーズに動くための奥行きがある。文楽の黄金期と呼ばれる江戸中期には水を用いるなど大がかりな舞台装置も考案された。

歌舞伎

観客の目を引き付ける変幻自在の劇空間
●基本構成/中央に舞台があり、花道と呼ばれる歌舞伎独自の空間が舞台下手から客席の外まで続く。演目には常時伴奏が付くが、演奏者が舞台上にいる場合や、黒御簾内にいることも。大がかりな舞台装置が歌舞伎の自慢。廻り舞台は18世紀中ごろ、世界に先駆けて考案された。

矢内賢二さん解説

「能は省略の美学。いろいろなものをそぎ落とした結果、言葉と体が舞台にあるんです。何もない分、観る者が自分の想像力を駆使して補う。観客としては3つの中でいちばんパワーを使う演劇だと思いますよ」

その点、歌舞伎は客を驚かせるためのつくりが満載。わかりやすいほどの見せ場づくり、漫画のように描かれた背景など矢内さんは「まがいものっぽさが歌舞伎の魅力」とも。「われわれ現代人は舞台から何かを得ようと思ってつい真剣に観てしまいますが、そもそも歌舞伎はそんなものではない。今はきらびやかになってしまいましたが、大衆演劇の猥雑さが歌舞伎の舞台の原型なんです。

文楽の見どころは「まずは床」と矢内さん。「そもそも文楽は太夫の語りを聴きにいくもの。太夫と三味線の座る床がせり出しているのも、そのためです。ふたりの掛け合いを聴くことが醍醐味であって、ひたすら人形を凝視していないで、ときには床に耳を傾けてほしいですね。とはいえ、殺しや濡れ事の場面など、人形が人間以上に生々しいしぐさにハッとさせられるのが人形劇の面白さ。

矢内賢二(立正大学文学部文学科准教授)

日本芸術文化振興会(国立劇場)勤務、京都造形芸術大学講師・准教授を経て現職に。著書に『明治キワモノ歌舞伎 空飛ぶ五代目菊五郎』などがある。

-和樂2014年6月号より-

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