Culture

おいしいお茶は茶葉を知ることから

新茶の季節、一からお茶について考えてみませんか?

茶葉にはどんな種類があり、それぞれどのような特徴があるのでしょう。また、全国に広がる主要な茶の産地と有名なお茶についても知っておきたいものです。

世界で飲まれているお茶は、発酵の度合いによって大きく3つに分類されます。摘んだ茶葉をそのままにしておくと、葉に含まれる酸化酵素の働きで発酵が進み、茶色くなりますが、ほとんどの日本茶は、まったく発酵させない不発酵茶の緑茶です。摘んですぐに加熱して発酵を止めるので、緑の色と香りを保持。烏龍茶などは少し発酵させてから加工する半発酵茶、紅茶は完全に発酵させてから加工する発酵茶です。高さ3.5㎝の平たいフォルムがお茶のおいしさを引き出す。水野博司作 梨皮急須小平丸(りひきゅうすこひらまる)[径9㎝] 8,400円(田園調布いちょう)

緑茶の加熱方法は蒸すか釜で炒(い)るかのふたつ。多くは蒸し製で、茶葉の育て方や使用する葉の部分によって、煎茶、玉露(ぎょくろ)、茎茶(くきちゃ)、番茶、焙じ茶(ほうじちゃ)などさまざまな種類に分けられます。ここでは、最も一般的な煎茶と極上品の玉露、人気の高い茎茶をご紹介します。

渋みと旨みのバランスを楽しむ『煎茶』

日本茶生産量の約8割を占め、最も広く飲まれている煎茶。上質の茶葉は細くて撚(よ)りが強く、ツヤのある深い緑色で、渋みと旨みのバランスがよいのが特徴です。露天で日光をたっぷり浴びて育った茶葉のため、渋みのもとであるカテキン、苦みのもとであるカフェイン、旨み成分のテアニンなどのアミノ酸がほどよく調和し、みずみずしい味わいです。

通常より蒸し時間を長くして渋みを抑え、煎出しやすい深蒸し煎茶は、普通蒸しの煎茶と区別されます。また、煎茶は4~5月に摘まれる一番茶が最上で、清々しい香りも身上です。

凝縮された旨みが魅力の最高級品『玉露』

覆いをかけ遮光(しゃこう)する「覆い下栽培」により、煎茶にはない濃厚な旨みをもつ玉露。これによりテアニンなどのアミノ酸量を維持し、カテキンへの変化を抑制します。ひと口含むと、ふくよかな甘みが口中に広がります。

渋みや苦みと違い、旨み成分は低温でより感じられるので、ぬるめの湯でじっくりいれ、とろりとしたコクのある甘みを楽しみます。手摘みされる一葉一葉に旨みを包むように撚られ、深く濃い緑色です。覆い香と呼ばれる独特の香りも魅力となっています。

独特のさわやかな香りが人気『茎茶』

煎茶などを仕上げるときに分けられた茎の部分を集めたもので、”出物(でもの)”と呼ばれています。煎茶や玉露のような主役ではないものの、「木茎臭(もっけいしゅう)」と表現される独特のさわやかな香りとさっぱりした味わいが好まれます。

玉露や上質な煎茶から採られたものは特に「雁ヶ音(かりがね)」と呼ばれ、旨みとさっぱりとした切れ味のよさを併せもちます。

日本にはお茶の産地がたくさんあります。主要産地のお茶をいくつかご紹介しておきましょう。最大の産地は静岡県。香り高い川根(かわね)茶、牧の原(まきのはら)茶、本山(ほんやま)茶が有名です。生産量2位は鹿児島県で知覧(ちらん)茶をはじめ、品種が豊富。続く3位は三重県で伊勢茶が知られています。玉露は歴史ある京都府の宇治、静岡県の岡部、福岡県の八女(やめ)が三大産地。八女は深蒸し煎茶の生産も盛んです。好みに合わせてとりどりに楽しんでください。

教えていただいたのは-
大山拓朗さん(しもきた茶苑大山)

茶葉の個性を見極め、ブレンドすることでさらによさを引き出すのが茶師。大山さんは日本に9名しかいない茶師十段のひとり。同じく茶師十段である兄の泰成(やすなり)さんと、東京・下北沢で茶舗を営むほか、茶の魅力を伝えるためのイベントも積極的に行う。
問い合わせ/03-3466-5588

-2013年和樂6月号より-

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