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2017.02.27

沖縄最北の宿「朝日家」で自然と共に時間を感じる旅

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自然は1日という時間の中で様々に変化し、色々な顔を見せてくれます。そんな『時の力』を体で体感できる宿をご紹介します。

何もしない時間こそ最高の贅沢

静かな海から朝日が昇り始めました。そこにあるのは波の音、ススキが風にゆれる音。ヤンバルクイナの鳴き声で目を覚まし、強くまぶしい太陽の光で朝を感じます。日常とは異なる時間の流れの中で時の力を感じる。これこそが最高の贅沢ではないでしょうか?
①海同じ沖縄の海でも天気や方角などによって全く違う姿を見せる。エメラルドブルーに透き通った穏やかな海や岩場に強く波を打ち付ける激しい海も。

見たい、食べたい、体験したい。人は“何か”を求めて旅に出るのです。日常とは異なる景色のなかで異なる時間を感じる。これも“何か”のひとつかもしれません。沖縄にはそんな特別な時間が流れる土地がいくつもありますが、今回は北へ北へと車を走らせました。空港から約140km。たどり着いた先は、那覇空港から一番遠い宿、国頭村(くにがみそん)にある「朝日屋」。

あるものは大きな海、川、森、手作りのお部屋。テレビやインターネット、近所にはコンビニもありません。ここでは都会のせわしない時間の中では感じることのない、のんびりとした時を感じます。
スクリーンショット 2017-02-13 12.24.31ツインルーム、ダブルルーム、ファミリールームの全3室。どの部屋もほとんどが手作りで、いたるところにエコな工夫が施されている。

何もないからといってやる事がない訳ではありません。海辺を散歩して潮風を感じたり、サンゴを踏む音の違いを楽しんだり、川の魚を観察したり。波の音を聴きながらの読書も素敵です。何も考えず、ボーッとしているだけでも、音の違い、匂いの違い、風の違い…様々な発見がありました。何もないと思っていたこの空間には、たくさんの発見や出合いが隠れています。これこそが沖縄、国頭村「朝日家」の“時の力”なのです。
スクリーンショット 2017-02-13 12.26.16窓の外には大きな海が広がる。宿の隣には海も川も森も。たくさんの自然に囲まれている。

体にも自然にも優しい沖縄料理をいただく

空がオレンジ色になってきたら、そろそろ夕食の時間かなと食事処のカフェに向かいます。時計を気にせず、時間に追われないで過ごせるのもここならでは。宿の隣にある「カフェ水母(くらげ)」の料理に使われている食材は、ほとんどが近くの海や森でとれたもの。

「買い物に行くには1時間ちょっとかかるので、新鮮なもの、自分たちで作ったものを出したいですね。農薬も使っていないですし、森も海も豊かなので、魚もとれる。森に入れば食べられる野草だったりが手に入るわけです。それが本当に美味しくって。だからそういう身近にある新鮮でとれたてなものを提供するようにしています」とオーナーの木村さん。
スクリーンショット 2017-02-13 12.27.33左/「カフェ水母」でいただく朝食。お米も減農薬で、調味料も添加物の入っていないものを使っている。右/飲み物やデザートも充実。自家焙煎オーガニックコーヒーや黒糖シロップ入りシークワーサージュースも。冷たい飲み物は琉球ガラスで提供される。写真は黒糖しょうがケーキ。

「近くに川があり海があり山があって森があって、夜なんか本当に虫と鳥の声とか獣の声とかがうるさいくらい。こういう環境はなかなか味わえないでしょうから、お部屋にあえてテレビも置かなかったり、自然の風を感じてもらうためにクーラーをつけないとか、ちょっと普段の生活から離れて、この環境で何か考えてもらえたらいいかなと思います」

普段は何気なく過ぎてゆく時の流れを体感

⑤空雲の隙間から夕暮れに染まる空と星空が一緒に見えることも。空を見ているだけでも1日の中でたくさんの変化がある。

強い朝日を浴びて、キラキラと光る海、川。あっという間に雲に覆われて表情を変える空。夕刻になると雲間から日が差し、空の色は茜色へ。そしてだんだんと星空へと変わっていきます。1日という時間の流れを自然と共に体で感じることができる。その時間の中で普段は出来ない事をやってみたり、考えない事を考えてみるという、新しい“時”を過ごす旅にでてみませんか?
⑥朝日海側の窓にはカーテンがついていないためダイレクトに部屋に朝日が入ってくる。

時の力を感じる宿

旅の宿 朝日家
住所/沖縄県国頭郡国頭村楚洲150-1 地図
料金/素泊まり1室1名利用時:6,000円〜
  2名利用時:5,000円〜(1名分)
   朝食+1,000円 夕食+1,500円

CAFF水母/営業時間12時〜17時、火曜・水曜定休       
ホームページ/http://www.asakurage.com

【『時の力』と一緒に楽しみたい、沖縄料理の『食の力』3軒はこちら】
1.いちばん上等な沖縄料理を食べるならここ。「美榮」の琉球料理
2.現存する沖縄最古のそば屋 「きしもと食堂」の魅力
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撮影/篠原宏明
取材・文/木村優
構成/高木史郎、小竹智子、久保志帆子