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2017.04.11

日本美術マニアたちの「絵巻愛」に圧倒される!?サントリー美術館六本木開館10周年記念展が開催中!!

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六本木開館10周年記念展
「絵巻マニア列伝」

絵巻といえば、美術館のガラスケースの中に広げて展示されることが多いですが、本来は、肩幅に手で持ち、少しずつ広げて楽しむもの。手の中で繰り広げられる物語に魅了され、絵巻を作成したり鑑賞したりすることをこよなく愛した「絵巻マニア」が、中世以来存在していました。後白河院(ごしらかわいん)、花園院(はなぞのいん)、後崇光院(ごすこういん)、足利歴代将軍らの鑑賞記録などとともに、絵巻の魅力をひもときます。

「サントリー美術館」学芸員 上野友愛さんに見所を紹介していただきました!

「今回の展覧会は、列伝形式で、絵巻マニアをご紹介します。まずは後白河院。マニアの中でもカリスマ的存在です。平安時代、絵巻を数多く制作し、自身が建立した蓮華王院宝蔵(れんげおういんほうぞう)に珍奇な宝物と共に秘蔵していました。後白河院のコレクションは、後の時代の絵巻マニアの日記に、「一度でいいから観てみたい」とか、観られた喜びが記されるほどの傑作ぞろいです。『年中行事絵巻』や『伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)』が有名ですが、今回、展示するのは、人間界の苦しみを描いた六道絵巻のひとつである『病草紙(やまいのそうし)』の断簡です。『不眠の女』、『居眠りの男』など、現代病ではないのかと思えるような、奇病が描かれたこの作品は必見です」(上野さん)
s_P2_サントリー1重要文化財『病草紙 不眠の女』一幅 平安時代 12世紀 サントリー美術館

マニアのタイプは人それぞれ。後白河院のようにコレクションする人もいれば、名作絵巻の鑑賞に執念を燃やす人、自ら模写したり、新作絵巻をプロディースする人などがいるといいます。

「後崇光院・後花園院親子は、名作絵巻を親子間で貸借し、楽しんでいたことが、『看聞日記(かんもんにっき)』に書かれており、国宝『玄奘三蔵絵(げんじょうさんぞうえ)』も親子間で貸借があったことがわかっています。また、『放屁合戦絵(ほうひがっせんえ)』というおなら合戦の話が描かれた絵巻には奥書があり、後崇光院が昔の絵巻を写したことが判明しています。高貴な方も、クスっと笑える絵巻を楽しんでいたというのは面白いですね」(上野さん)
P2_サントリー2『放屁合戦絵巻』一巻(部分)室町時代 文安6(1449)年 サントリー美術館蔵

室町時代、絵巻は宮中の人だけでなく、武家層をも魅了する存在となりました。

「足利家は、宮中文化の中心地であった都に、初めて武家として幕府を開いたわけですが、宮中と対等に渡り合うため、武力だけではなく、文化面でも交流を図りました。その方法のひとつが、なんと絵巻のレンタル!『看聞日記』には、後崇光院・後花園院父子の絵巻貸借サークルに、足利義教も参加していたと記されています。26巻をまとめて借りて、5日後に返すという超高速鑑賞をしていたそうです」(上野さん)
担当:谷口、北澤、原研究員国宝『玄奘三蔵絵』第四巻(部分)鎌倉時代 14世紀 藤田美術館蔵 画像提供/奈良国立博物館
約70件の作品を通して追体験する、マニアたちの狂おしいほどの“絵巻愛”に圧倒されること必至です。

老舗の味を楽しめるカフェでひと息

金沢の老舗「加賀麩 不室屋」がプロデュースするカフェを併設するサントリー美術館。春の訪れを感じさせる、桜あんの桜最中と粒あんの楓最中、お抹茶がセットになった、展覧会限定スイーツが登場。季節の食材を使ったランチやスイーツも豊富なので、鑑賞後にゆったりとした時間を過ごせます。
スクリーンショット 2017-04-07 14.26.28「春秋ふやき最中とお抹茶」1,026円(税込)

六本木開館10周年記念展
「絵巻マニア列伝」

会期/開催中〜2017年5月14日(日)
会場/サントリー美術館
住所/東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F 地図
開館時間/10時〜18時(入館は17時半まで)
休館日/火曜日