アルチンボルドと歌川国芳くらべてみました!日伊奇想の画家対決勃発!

アルチンボルドと歌川国芳くらべてみました!日伊奇想の画家対決勃発!

目次

1.《春》アルチンボルドの『春』。約80種類もの様々な花が組み合わさって女性の肖像画になっている。

日本で初めて本格的なアルチンボルド展開催!

「結びつけることが不可能に見えるもののあれこれを、彼は卓越した腕によって組み立て、望むものに仕立て上げた」とイタリアの詩人グレゴリオ・コマニーニに評されたアルチンボルドという画家をご存じでしょうか? 名前を聞いたことがなくても、花や果物などを組み合わせて顔を描いた絵(上図参照)と言われれば「ああ!あれか!!」とぴんとくる方も多いでしょう。花や果物で顔を描く! 確かに「結びつけることが不可能に見えるもの」を組み立てて珠玉のアートにまで昇華していますが、なんという奇想でしょう!その奇想の画業を実際に目にすることができる日本で初めての本格的な展覧会「アルチンボルド展」が6月20日から9月24日まで国立西洋美術館で開催されます。本展はアルチンボルドの代表作である「四季」「四大元素」の全点が集結するとあって、早くも話題を呼んでいます。

ジュゼッペ・アルチンボルドは1526年にイタリア・ミラノで画家の息子として生まれました。その後、自然科学をこよなく愛したマクシミリアン2世や、稀代のアート好きとして知られるルドルフ2世という神聖ローマ帝国の皇帝達に寵愛され、高位の貴族にまで登り詰めた異色の画家です。その才能は絵だけでなく、祝祭のプロデュースや各種発明、古美術の買い付けにまで及んだといいますから、天は彼に二物どころか、三物も四物も与えたと言えるでしょう。
Arcimboldo Giuseppe Die Erde um 1570 Öl auf Holz GE2508 Terra 「四大元素」から『大地』。象、鹿、ライオン、羊などの動物を組み合わせて人物像をつくりあげた。鹿の角やライオンの毛皮には、皇帝やハプスブルク家にちなんだモチーフが描かれている。

国芳は日本のアルチンボルド?

果物や花で肖像画を描いた「四季」以外にもアルチンボルドは果物や野菜、動物などをモチーフにした作品を多数残しています。『大地』など、動物を組み合わせて人の顔をつくっている作品を見ていると、なんだかどこかで見たことがある絵を思い出しませんか? そうそう、浮世絵を代表するトリックスター歌川国芳です!

歌川国芳はアルチンボルドから約200年後の1797年に江戸日本橋の染物屋の家に生まれ、15歳ころ初代歌川豊国に弟子入りしました。なかなか日の目を見なかった国芳ですが、30歳を過ぎて「水滸伝」に登場するヒーローを描いた武者絵が大ヒットし、一躍スター絵師になりました。当時江戸では国芳の武者絵に描かれた入れ墨を彫るのが大流行したというのですから、その人気のほどが伺えます。

天保の改革により、江戸の人々の娯楽がどんどん制限されていく中、国芳は禁令の網をかいくぐりながら幕府を風刺する作品を数多く残しました。また、その発想の飛躍は凄まじく、曲亭馬琴の読み本で日本版ガリバー旅行記として知られる「朝夷巡島記」(あさいなしまめぐりのき)では、アルチンボルドよろしく、登場人物達の身体で肖像を描く「寄せ絵」の手法で物語を表現しました。

一方は皇帝に寵愛されながら、もう一方は幕府の規制をかいくぐりながら作品を描き続けた。そんなふたりの発想が、日本とイタリア、そして200年という時代と場所を越えて一致するのは、なんとも奇妙な符号と言えるでしょう。

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ひとつひとつの植物や動物などを実に写実的に描いているアルチンボルトの作品とは相反して、国芳の絵はじっくり見れば見るほど笑ってしまうようなおかしな格好をした人の姿ばかり。似ているようで実は対照的なこれらの作品。並べて見ると何だか不思議。

ひっくり返してもスゴいぞ!アルチンボルドと国芳

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アルチンボルドは上下絵というトリックアートを残しています。コックや庭師の顔を上下反転させると肉料理や器に盛られた野菜に。上下をひっくり返すだけで肖像画と静物画、全く違ったイメージになってしまうのだから驚きです。これらの作品を肉や野菜の静止画としてみた場合、実はイタリアにおける最初の独立した静物画となるそう。イタリアの静物画の歴史においてもアルチンボルドは画期的な役割を担っていたのです。
download-8『両面相 だるま とくさかり 伊久 げどふ』

一方、国芳ですが、彼もまた上下絵を描いていました。上からみると禅宗の開祖「達磨」の顔と、能に登場する老爺の「くさ刈り」の顔。それを反転させると「外道」と歌舞伎の助六に登場する助六の恋敵「伊久」の顔になるという作品。善の顔が悪の顔になるという仕掛けになっています。

国も時代も違いながら「寄せ絵」や「上下絵」を得意としたふたりの奇想絵師。宮廷画家だったアルチンボルドと、幕府を皮肉っていた国芳ですが、奇想をアートに昇華するという天賦の才において、ふたりの天才は同じ世界を見ていたかもしれません。

展覧会情報

アルチンボルド展

会期/2017年6月20日(火)〜9月24日(日)
会場/国立西洋美術館(東京・上野公園)
住所/東京都台東区上野公園7−7
休館日/月曜日、7月18日(火)
*ただし、7月17日(月)、8月14日(月)、9月18日(月)は開館
開館時間/9時半〜17時半(金・土曜日は20時まで)
*入館は閉館の30分前まで

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