Gourmet
2017.09.04

茶の湯とうるしの名品が一堂に会す、2つの展覧会をご紹介

この記事を書いた人

茶道具、漆工芸、食器、花器、様々な日本美術品に共通するのは、作品ひとつひとつの美しさにあるのかもしれません。華美な装飾だけでなく、佇まいそのものに、心打たれることもしばしば。どの名品も匠の技によって生み出されたもの。名品が織りなす美の世界をMOA美術館と泉屋博古館でお楽しみください。

『武者小路千家・千宗屋キュレーション 茶の湯の美』
MOA美術館

スクリーンショット 2017-08-23 16.20.28左 『大井戸茶碗 銘 本阿弥井戸』 李朝時代 16世紀 右 長次郎 『黒楽茶碗 銘 あやめ』 桃山時代 16世紀

キュレーションを手がけるのは、日本美術史から古美術、現代アートに至るまで造詣が深い武者小路千家・15代家元後嗣千宗屋(こうしせんそうおく)氏。MOA美術館が所蔵する茶道具を、独自の美意識で取り合わせます。日本美術の名品を数多く所蔵するMOA美術館ですが、豊臣秀吉がつくらせたものを復元した「黄金の茶室」をはじめ、茶室「一白庵」「樵亭」や尾形光琳が最晩年を過ごした屋敷の復元「光琳屋敷」などが点在する広大な日本庭園「茶の庭」もあり、館内の展示だけでなく、敷地全体で茶の湯の世界を体感することができます。移ろう季節とともに鑑賞を楽しんでください。

公式サイト

『うるしの彩り-漆黒と銀色が織りなす美の世界-』
泉屋博古館

スクリーンショット 2017-08-24 10.16.39左 千家名物 『青貝芦葉達磨香合』 明時代 泉屋博古館蔵 右 『藤棚秋草蒔絵香箱』 江戸時代 泉屋博古館蔵

京都でつくられた雅な会席食器類や書斎を飾る硯箱など、住友家に伝わった漆工芸を一堂に展示。美しい光沢をもつ漆に、彫刻や蒔絵、象嵌(ぞうがん)など、さまざまな技法を駆使して創造された美の世界は、繊細で華麗。古典文学を主題としたものもあり、精緻(せいち)な技と洗練された意匠の融合は、世界でも類を見ない日本独自の美術のひとつです。茶道や香道、能楽など伝統文化の世界で重用された作品も紹介。達磨(だるま)が芦の葉に乗り揚子江を渡ったという説話「芦葉達磨(ろようだるま)」を青貝であしらった『青貝芦葉達磨香合』など、中国の名品も登場します。

公式サイト