Gourmet
2020.03.28

あったかご飯にとろ~り崩れる黄身の幸せ「究極の卵かけご飯」の作り方はこれだ!?

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卵かけご飯。
それは、あったかご飯と新鮮な卵、醤油さえあれば瞬く間に完成する料理である。何しろ卵を割ってまぜるだけだから誰でも失敗せず同じように作ることができる。

一食の費用が安い割に栄養価がすこぶる高い。しかも、ちょい足しアレンジの幅が恐ろしく広い。

醤油の代わりに胡椒やマヨネーズ、ケチャップ、麺つゆ、ソースなどをかけ、納豆、ふりかけ、チーズ、キムチ、のり、ねぎ、なめたけといった食材を組み合わせている方も多いだろう。

老若男女に人気の卵かけご飯は今や、飲み会の締め料理となっている。趣向を凝らして特別な卵かけご飯を出す店も増えてきたが、皆さんはどのように食べているだろうか?

先まぜ派?それとも直パカ派?

ある調査によると、卵を小鉢でかきまぜてからご飯にかける「卵先まぜ派」と卵を直接ご飯に割り込んでまぜる「卵直パカ派」に分かれるらしい。

そしてそれぞれ、「よくかきまぜる派」と「あまりまぜない派」に分かれるという。

ちなみに、
・卵をご飯にかけたら泡立つぐらいによくまぜまぜしてふわっと仕上げて食べる
・白身は苦手なので黄身だけをのせる
・先に白身だけご飯とまぜ合わせてから黄身を入れる
という人もいるらしい。

また、先に卵をまぜ合わせるとご飯が卵にコーティングされて醤油をはじいてしまうから、ご飯に醤油をまぜ合わせてから卵を入れる人もいる。

なるほど、人によってさまざまな食べ方がある。卵かけご飯はシンプルありながら、実に奥が深い。

日本で初めて卵かけご飯を食べたのは?

ところで、そもそも鶏卵が一般的に食べられるようになったのは江戸時代からだと言われている。当時は高価な食材であったため、庶民が普通に口にできるものではなかった。

江戸後期に記された鍋島藩の『御次日記』には、客人に饗されたメニューの中に「御丼 生玉子」という記述がある。「御丼」が何を意味するかは解明されていないが、ご飯と生卵という組み合わせはどうやら江戸時代にはあったらしい。

日本で初めて卵かけご飯を食べたのは明治初期に活躍したジャーナリスト、岸田吟香で、その美味しさを周囲に勧めていたという。ちなみに岸田吟香の四男は岸田劉生である。

卵かけご飯を好んで食べていたというエピソードをもとに出身地である岡山県美咲町では2008年から卵かけご飯で町おこしをしている。美咲町には西日本最大級の養鶏場と「日本の棚田百選」にも選ばれた棚田米があることから、美味しい卵かけご飯を求めて毎年多くの人が訪れているそうだ。

本能で感じる美味しさ

人の味覚を再現した「味覚センサー」という機械を使うと、「旨味」「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」という基本味の強さを総合的に算出し、食品同士の相性も客観的な数値で表すことができるという。

分析すると卵の味は、旨味34%、甘味19%、塩味16%、酸味16%、苦味15%の割合で構成されていることが分かった。

一般的に旨味を多く含む食べ物は体に必要な栄養素を含んでいるものが多い。そして、基本の5味のうち2~3つの味を含んでいると、人は本能的に美味しさを感じるという。

卵は約3割が旨味でできている。旨味を持つ卵と甘味を持つご飯、塩味を持つ醤油で出来上がる卵かけご飯は、本能的に好きになる要素が揃っている料理なのである。

ついに証明!?“究極の卵かけご飯”とは?

では、どうやって作ったら一番美味しい卵かけご飯になるのか。

「味覚センサー」で
1.卵を小鉢でかきまぜてからご飯にかける「卵先まぜ派」
2.卵を直接ご飯に割り込む「卵直パカ派」
3.黄身だけをのせる「黄身だけ派」
4.白身だけを先にご飯とまぜ合わせ、その後に黄身を入れる「黄身後まぜ派」
を比較・分析すると、

旨味だけの評価では「黄身だけ派」が一番旨味を感じられることがわかった。一方、ご飯と卵の相性度を測ると「黄身後まぜ派」が一番だという。

その差は機械でようやく測定できるレベルだというが、味は人それぞれ。実際に試してみると新しい発見があるかもしれない。

卵先まぜ派におくる究極の豆鉢

ところで、卵先まぜ派の皆さんはどのような器で卵をまぜまぜしているだろうか。もちろん、それぞれお気に入りの器でいつも卵をまぜまぜしているに違いないが、ぜひ一度、手に取っていただきたい器がある。

その名前も「てびねり片口豆鉢 (卵かけご飯ほぼ専用)」。2000年に発売されて以来、ロングセラーとなっている美しいガラスの器だ。

そもそも「てびねり」とは、ろくろを使わずすべて人の手により形を作りあげる陶芸技法の一つだが、ガラスと陶器という2つの素材の良いところを組み合わせたこの片口豆鉢は、ガラスでありながら陶器のような柔らかい風合いをもつ。

そして、非常に手なじみがよい。おまけに、卵1個をこぼさないようにかき混ぜられるサイズ感は抜群だ。しかも独自のゆらぎ形状をもつため、卵を混ぜると複雑な流れを生みだす。

実はこのような形状にするためには、非常に高度な技術が要求される。開発当初、デザインモデルをみた原形師や金型職人は、どうやって作ればよいかと頭を悩ませたらしい。少しでこぼことしたゆらぎある形状は炎で炙り、表面をなめらかにする技法により生みだされた。まさに試行錯誤のたまものである。

厚めのガラスで丈夫だから“ほぼ専用”とはいえ、さまざまな料理に使える逸品だ。ぽってりとした愛らしいフォルムは使えは使うほど愛着が湧くだろう。独創性を追求できる卵かけご飯は自由だ。黄色と白色のコントラストには“卵のちから”を感じずにはいられない。あなただけの“究極の卵かけご飯”をぜひ見つけてほしい。

石塚硝子株式会社ハウスウェアカンパニー

てびねり片口豆鉢
ブランドサイトhttps://aderia.jp/pickup/tebineri/

書いた人

医療分野を中心に活動。日本酒が好き。取材終わりは必ず美味しいものを食べて帰ると心に決めている。文句なく美味しいものに出合うと「もうこれで死んでもいい!」と発語し、周囲を呆れさせる。工芸であれ、絵画であれ「超絶なもの」に心惹かれる。お気に入りは安藤緑山と吉村芳生。