Travel
2018.03.08

京都観光の穴場!大徳寺 春の特別公開情報

この記事を書いた人

臨済宗大徳寺派の大本山・大徳寺は、鎌倉時代末期の正和4(1315)年、宗峰妙超(大燈国師)によって開山されました。それから700年もの間、ときの権力者に翻弄されつつも「大徳寺は修行が第一。一日中悟りを求めて参禅し、真理を求めよ」という厳格な禅の教えに専念するために、本坊や塔頭の多くが門を閉ざしてきました。

そのため、普段はほとんどの本坊や塔頭が非公開ですが、春と秋の一時期のみ、素晴らしい建築や庭、障壁画を目にすることができます。若草が萌える春、禅林修行の場として今を生きる大徳寺に、ぜひとも足を運んでみてください。

大徳寺・本坊(だいとくじ・ほんぼう)

京都屈指の禅宗寺院。修行の中心道場です

大徳寺左/住持が須弥壇(しゅみだん)から説法する場である法堂。右/孔雀や獅子を極彩色で表した唐門は、日光東照宮の陽明門のモデルとなったもの。(写真/小西康夫)

大徳寺の本坊とは方丈や庫裏(くり)、浴室、お手洗いである東司(とうす)などを含む日常の修行の場一帯を指します。

本坊の建造物のなかでは、唐門・方丈が国宝。山門・法堂・経蔵・仏殿・勅使門が重要文化財の指定を受けています。方丈の前庭は、江戸初期の住持である天祐紹杲(てんゆうしょうこう)、東庭は小堀遠州の作庭と伝えられてきました。

大徳寺の本坊は、日本美の宝庫であるのと同時に、今も若僧が研鑽(けんさん)を積む場所。それゆえ厳格で清澄な空気が満ち満ちています。

春の特別公開

方丈(枯山水庭園、狩野探幽筆の襖絵80余面)、唐門、法堂(狩野探幽筆の龍の天井画)など。

公開期間/2018年4月27日〜5月6日
※法務などによって拝観休止の場合もあり
お問い合わせ先/京都古文化保存協会

大徳寺京都の豪商・後藤益勝の寄進により再建された方丈。

黄梅院(おうばいいん)

ゆったりとした趣で美しい緑が楽しめます

大徳寺境内に入ったときに目に入る広々とした前庭。新緑の時期は特に美しい。

織田信長が父・信秀の追善供養のために春林宗俶(しゅうりんそうしゅく)を迎えて創建。天正16(1588)年、毛利元就の三男で後に豊臣秀吉の五大老となった小早川隆景の帰依によって堂宇(どうう)が整備され、塔頭となりました。

重要文化財の本堂は、禅宗特有の方丈建築。大徳寺の開祖・宗峰妙超の遺墨「自休」の扁額(へんがく)をかけた書院「自休軒」の奥に、四畳半の「昨夢軒」茶室が組み込まれています。昨夢軒は、千利休の師である武野紹鴎好みとされるもの。晴れた日もよいのですが、雨のあとに訪れると、苔の美しさも感慨ひとしおです。

春の特別公開

本堂、書院、庫裏(重要文化財)、千利休作庭「直中庭」、武野紹鴎好みの茶室「昨夢軒」など。

公開期間/2018年3月24日〜5月27日
お問い合わせ先/京都春秋事務局

大徳寺本堂前庭の「波頭庭」は、手前半分を白川砂、その奥に苔を敷き詰めた簡素な趣。

真珠庵(しんじゅあん)

坐禅とお抹茶一服。重要文化財の拝観も

大徳寺方丈の一休禅師像の左右には「諸悪莫作」「衆善奉行」という一休の名筆が掲げられている。

とんち話の一休さんのモデルになった名僧の一休宗純は、応仁の乱で焼失した大徳寺の復興に尽力した中興の祖。永享年間(1429〜1441)に創建。延徳3(1491)年に再興されたのが、この真珠庵です。

重要文化財である方丈の部屋の中央には、一休の木像が安置されています。また、二畳台目茶室「庭玉軒」は、江戸初期の茶人である金森宗和好みのもの。わび茶の祖である珠光作の「七五三の庭」も、茶の美を体感できる見どころのひとつです。

春の坐禅体験

お抹茶一服のあとに坐禅会。その後に方丈や長谷川等伯筆方丈障壁画などの重要文化財、茶室「庭玉軒」を鑑賞できる。

開催日/2018年4月28日・2018年5月26日 両日とも10時〜12時(要予約)
お問い合わせ先/京都春秋事務局

大徳寺「大人が楽しむ坐禅会」をコンセプトに、心やすらぐ時間が過ごせる。

興臨院(こうりんいん)

「昭和の遠州」の中根金作復元の名庭も

大徳寺茶室「涵虚亭」は「四畳台目隅板、中柱出炉下座床」という構造。茶室内での給仕の動線を改善するため隅板を入れたものと考えられている。

興臨院は大永年間(1521〜1528)に能登の戦国大名、畠山氏によって建立され、のちに加賀百万石の前田利家が改修を行ったことから前田家の菩提寺にもなりました。創建当時の姿を伝える表門と本堂、唐門が重要文化財。方丈前庭は、近代作庭家の名人、中根金作が資料を基に復元したもので、枯山水で蓬莱山を表現しています。

また、中国の蘇東坡(そとうば)の詩に由来をもつ茶室「涵虚亭(かんきょてい)」は昭和3(1928)年に建立されました。貴人口と躙口(にじりくち)とが隅柱をはさんで隣り合う構造で、古田織部好みの見事な茶室です。

春の特別公開

創建当時の姿が残る表門と本堂(どちらも重要文化財)や古田織部好みの茶室「涵虚亭」など

公開期間/2018年3月17日〜6月10日
3月20日・21日は休み
お問い合わせ先/京都春秋事務局

大徳寺檀那の間の屏風は、湯川松堂筆の「金彩四季花鳥図」。

総見院(そうけんいん)

信長ゆかりの塔頭で落ち着いた雰囲気

大徳寺総見院本堂。

豊臣秀吉が本能寺の変で斃(たお)れた織田信長の追善菩堤のために建立した塔頭。開祖は、千利休の参禅の師だった古渓宗陳(こけいそうちん)です。

本堂中央に安置されているのは秀吉が奉納した織田信長公坐像(重要文化財)。これは慶派の仏師・康清によってつくられた高さ3尺8寸(約115cm)の木像で、今も圧倒的な存在感を放っています。

墓所には、信長とともに正室・濃姫や息女・徳姫たちの墓が並んでいます。また「龐庵(ほうあん)」「香雲軒」「寿安席」などの茶室も、しっとりとした味わいです。

春の特別公開

本堂や重要文化財の織田信長公坐像のほか、茶室など

公開期間/2018年3月24日〜5月27日の土、日のみ(GW中の公開など、例外がありますので、詳しくはお問い合わせを)
お問い合わせ先/京都春秋事務局

大徳寺廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)から信長像を避難させる際に使われた輿(こし)が廊下の天井に保管されている。