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2022.10.27

宮様のお過ごしになったルネッサンス香る明治建築!猪苗代湖ほとりの「天鏡閣」の気品あふれる世界を堪能

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福島県、猪苗代湖のほとりには、クラシックな西洋風の洋館があります。その名は「天鏡閣」(てんきょうかく)。
国の重要文化財であり、ルネッサンス風の洋風建築は今見ても心踊る素敵な場所です。元々は皇族である有栖川宮威仁親王殿下の御別邸。一歩足を踏み入れれば、アールヌーヴォーやロココ様式を取り入れた気品あふれる内装が見られ、まるで少女漫画の世界に迷い込んだような気分になります。

ドキドキ……!!!

天鏡閣の歴史


明治時代、有栖川宮威仁親王殿下が東北をご旅行。そのさい、猪苗代湖の景観を気に入り、1908(明治41)年に御別邸を構えました。レンガ造りの表門を通り、ゆるやかな坂を上ると、2階建て、八角形の塔屋を持つ天鏡閣が見えてきます。天然スレート葺の屋根に、2階バルコニーを備えた本館は、落ち着いた雰囲気ながら、とても華やか。
広々とした庭園を持ち、住込みの使用人が住んでいたといわれる別館も、本館に倣った造りです。
1952(昭和27)年に高松宮宜仁親王殿下より福島県に下賜。1979(昭和54)年に国の重要文化財に指定されました。以降、明治建築の美しさを伝えながら、今日までその姿を保っています。

絢爛豪華!明治の洋館の美しさを堪能

写真右側、本館北側に位置する入り口が現在の受付

入館受付がある現在の入り口は、かつて調理所だったところ。

福島名物・赤べこが飾られています。

当時の玄関は「外広間」といい、アール・ヌーヴォ―様式の鏡と帽子掛けが飾られています。1階には「食堂」「客間」「撞球室」(どうきゅうしつ)と、お客様をもてなす部屋が並び、2階には「御居間」(客室)、「御寝室」、書斎である「御座所」、浴室など、私的な空間が集まっています。

ドラマみたい?荘厳な食堂

廊下を進むと、食堂に突き当たります。ここはおもてなしにおいてとても重要な場。華やかながら、どこか荘厳な雰囲気が漂います。ここの家具はイギリスの「ジャコビアン様式」で統一されています。天鏡閣の家具は全てが当時のものというわけではありません。現存する家具をもとに当時の様子を再現しています。

ロココ調を日本風にアレンジされている家具が並ぶ客間


食堂同様、天鏡閣の中心を担う客間は、華やかなシャンデリアと、暖炉と鏡が目を引きます。シャンデリアに合わせて家具はすべてロココ調。しかも、すべて日本風にアレンジされているもので、よく見ると螺鈿や蒔絵が施されています、明治10~20年ごろに貴族の邸宅で流行ったものなのだとか。
椅子は実際に鹿鳴館で使われていたものと同じ形だそうです。鹿鳴館みたい!とテンションがあがっていたのは正解だったもよう……。

何をするところ?撞球室


撞球、とはビリヤードのこと。明治時代の洋館にはよく設けられていました。奥にあるのが撞球台、つまりビリヤード台です。

上にある4つの照明は、影が出ないように均一に照らす役割があります。この撞球台は横浜の原三渓家から譲りうけたものだそう!紫檀象牙入りという贅沢な美しさです。
手前のテーブルと椅子は休憩所。テーブルは当時のものを修繕したものです。

洗練された優雅さの御居間


2階にあがると客室を兼ねた御居間が。かつてはベランダから猪苗代湖が一望できたそうですよ。
こちらはルイ16世の時代に流行した様式で家具が統一されています。マリーアントワネットが好んだ様式といえばピンと来る形もいらっしゃるのでは?

客室には洗面所や厠も!


アール・ヌーヴォー形式で統一された西客室は、洗面所や厠と一体になっていて、お客様がくつろげるよう設計されたことがわかります。

付属室には高松宮妃殿下から下賜されたというロココ風の化粧台が。それに合わせて家具もロココ調に統一されていて、お姫様のお部屋のようです。(実際にお召し換えやお化粧などに用いられていた部屋といわれています)

御座所やご寝室……宮様の生活した場所


二階の東側一部が、威仁親王殿下の専用部分になっています。書斎として使われていた御座所など、当時は今よりもっと深いベールに覆われていたであろう「宮様のご生活」を感じることができます。

細かなところまで美しいのは、さすが宮様のお住まいですね。

貴重な品々もみどころ


天鏡閣の各所には、有栖川宮威仁親王殿下ゆかりの貴重な品々が多数展示されています。
大正天皇が書かれた「天鏡閣」の額や、御茶器など、明治の美しく、精巧な芸術も楽しめますよ。
ちなみに、二階の各部屋は実は畳敷き。その上にじゅうたんが敷かれています。御用邸や離宮といった場所でよく用いられていたそうですよ。

ドレスの試着や食堂でのティータイム……楽しみがいっぱい


美しい内装を見るだけでも充分楽しめますが、なんと、ドレスを試着して見学も可能です。キッズ用もあります!(女性のみ)

今回私がお借りしたのは、ウエディングドレスのような華やかなもの。ドキドキしながら巡りました。

宇野さん!! めちゃくちゃ素敵です!!

左が会津木綿のドレス

明治風ドレスに加え、江戸時代から続く会津の名産・会津木綿を使ったドレスもあり、こちらも試着できます!
また、入ってすぐの食堂では、ティーセットをいただけます。美しい庭園でも軽食が味わえますよ。
幅広く楽しめる天鏡閣。東日本大震災では多くの被害に遭いました。しかし復興のさなか、丁寧に補修され、また美しい姿を猪苗代湖湖畔で見せています。別館ではその修繕の様子を一部見ることができますよ。
ぜひ一度訪れてみてください!

天鏡閣

書いた人

歌舞伎を着物で観つつ和菓子を食べ茶を点て過ごす日々。実はTOEIC910点だが、あまり活用していない。旅行とコスメと本が好き。ラグビーとプロレスで叫んでいることもある。今日も漫画は面白い。