日本文化の
入り口マガジン
1月23日(土)
物質とエネルギーは構造的には粒状であるように見えるし、人生もそうだが、しかし心はそうではない(シュレディンガー)
日本文化の入り口マガジン 和樂web
日本文化の入り口マガジン 和樂web
1月20日(水)

物質とエネルギーは構造的には粒状であるように見えるし、人生もそうだが、しかし心はそうではない(シュレディンガー)

読み物
Travel
2019.08.19

大阪・太陽の塔、その内部は想像を遥かに超える不思議空間だった!驚愕の見学レポート

この記事を書いた人

一度見たら忘れられない、大阪を代表するシンボル「太陽の塔」。実はこの内部を見学することができるのです。中には一体どんなものがあるのか…? そこには、想像を超える驚きの世界が広がっていました。

太陽の塔って?

1970年、日本がイケイケどんどん元気だった時代。高度経済成長期真っ只中に大阪・千里丘陵でアジア初の国際博覧会である日本万国博覧会(大阪万博)が開催されたのは、ご存知でしょうか? 当時は家の中に電化製品が増え、皆が明るい未来に胸を高鳴らせている時期でした。会場にはたくさんの国や会社のパビリオンが建ち並び、それまでの万博史上最多の6400万人を超える来場者で、戦後日本最大のイベントと言われました。

今回内部を見学した太陽の塔は、大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」を表現するテーマ館の一部として、テーマ展示プロデューサー岡本太郎が建てた作品です。高さ約70メートル、基底部の直径約20メートル、腕の長さ約25メートル。太陽の塔は万博会場のメインゲートの正面に立ち、両手を広げた独特のフォルムで訪れる人達を出迎えました。

当時、小学校低学年だった私にとって太陽の塔は特別な存在。多分、生まれて初めて出合った造形アートだったのでしょう。子ども向け雑誌の付録にあった太陽の塔を工作して、テレビの上に飾って眺めていた記憶があります。巨大なものだけれど、どこか親しい印象だったような気がします。

駅からも見える太陽の塔!

太陽の塔のある万博記念公園へ行くには、大阪モノレール「万博記念公園駅」から徒歩約5分。駅からすでに太陽の塔の姿が!森林から覗く姿に、その大きさが実感できますね。

写真協力 大阪高速鉄道株式会社

門をくぐって、太陽の塔に対面!

駅からスロープを歩いていくと、左手に自然文化園のゲートが見えます。この下をくぐって中央橋を歩いていくと、万博記念公園中央口に到着。

昭和から変わらず立ち続ける太陽の塔

中央口を通ると、すぐ目の前に太陽の塔が!美しい芝生と木々に囲まれた太陽の塔は、約50年前と変わらぬ姿で、多くの来園者を迎えています。

公園と調和してますねー

約260ヘクタールの広大な大阪万博跡地は文化公園に整備されました。四季折々の花々や様々なイベントが楽しめ、 子どもから高齢者までが集える人気スポットに。太陽の塔は他のパビリオンと同じように、 大阪万博閉幕後に撤去される予定でしたが、保存を願う声の高まりを受けて1975年に永久保存が決まりました。

太陽の塔は、べらぼうなもの!

戦後日本を代表する前衛芸術家、岡本太郎は全国各地にパブリックアートを残しています。 それらは芸術は民衆のもの、暮らしの中にあるべきとの思いから生み出されました。 太陽の塔は岡本太郎作品の中でも最大規模を誇ります。 戦後最大の祭典である大阪万博に「べらぼうなもの」を作ると周囲に宣言していたそうです。

太陽の塔が持つ3つの顔

間近で見ると、迫力ありますね!

太陽の塔には3つの顔がありますが、正面の部分の「太陽の顔」が表しているのは現在。

後ろも存在感バッチリです。

背面の「黒い太陽」は過去を象徴し、黒い部分は日本六古窯の1つ信楽焼でつくられています。

空の青さと黄金の顔との対比が美しい!

頂部にある「黄金の顔」は未来を意味していて、この顔は2代目。1992年から1993年の大規模改修時に交換されたステンレス製です。以前の鉄板製は錆びることが避けられないことや、軽量化の為に交換されましたが、大切に保存されています。2010年からは夜間になると、LEDライトにより両目が光るようになりました。

いよいよ太陽の塔の内部へ!

太陽の塔は永久保存が決定してから大規模改修工事を行うなどして、その姿を保ってきましたが、内部に関しては、原則非公開となっていてベールに包まれた状態に。2016年から耐震補強工事と内部再生工事が始まり、約2年の歳月をかけて完了。満を持して2018年の3月から塔内の一般公開が始まりました。前日までの完全予約制ですが、人気で中々予約が取れない状態が続いています。平日が狙い目かもしれません。

太陽の塔の裏側の階段を降りて、いよい塔内部へ。天井が透けて、太陽の塔のお腹の部分が覗ける場所があります。塔の中に入ったのだと実感できる瞬間です。

ちょっと、不思議な気分

入り口近くには、岡本太郎が描いたデッサンの数々が時系列で展示されています。こちらのデッサンが描かれた約3か月後に、現在の太陽の塔の形がまとまったと知ると感慨深い。作家の試行錯誤の様子がリアルに伝わってきますね。

幻の顔を復元、地底の太陽ゾーン

大阪万博当時、テーマ館の地下展示空間の1つ「過去:根源の世界」に「地底の太陽」といわれる第4の顔も展示されていました。高さ約3メートル、全長約11メートルにもなる巨大な展示物でしたが、大阪万博閉幕後の撤去作業以来、行方がわからなくなっています。

最初に来館者を迎えるゾーン「地底の太陽」ゾーンは、かつての地下展示「過去:根源の世界」の雰囲気を体感する空間。展示物の真ん中にある地底の太陽は、新たに復元されたもの。最初に小さなサイズで原型を作り、その後拡大して原寸原型をかたどっています。「地底の太陽」は、人間の精神世界を表している太陽の塔の4つ目の顔です。

地底の太陽の周囲に配置された世界各国から集めた仮面と神像は、大阪万博テーマ館の地下展示空間でも展示されていました。当時の記録映像とプロジェクションマッピングが投影されて、見応え十分。次々と変化する映像と、バックに流れる神秘的な音楽とが合わさって、独特の世界観に引き込まれます。岡本太郎が残した「芸術とは呪術である」の言葉がぴったりの空間です。

小さなお子さんは、怖いかもしれないのでご注意を

想像をはるかに超える世界に唖然

期待に胸を膨らませながら、太陽の塔の胎内ともいえる「生命の樹」ゾーンへ。入った瞬間、信じられない異空間が広がっていて言葉を失いました。芸術作品に触れて、びっくりして言葉が出なくなったのは、初めての体験です。「皆さん、驚かれますね」と、万博記念公園マネジメント・パートナーズ、広報担当の藤間由希さん。

上空を見上げると驚きの光景が!!

塔の中心にある枝分かれして、上へ上へと伸びている樹のようなもの。それは高さ約41メートルに及ぶ巨大造形、「生命の樹」。そこには様々なオブジェが、枝の上に乗っかったり、絡みついたりしています。大阪万博当時は、33種292体の生物模型がありましたが、現在は33種183体が展示されています。世界にも例のないインスタレーション、生命の樹について岡本太郎は、「太陽の塔の血流」と表現し、壁にびっしりとある「真っ赤な波板」については、「脳の襞」だと語りました。静かに流れる荘厳な音楽「生命の讃歌」は、作曲家・黛敏郎によるもの。この音楽に合わせて照明が赤や青に変化して、より神秘的なムードを高めています。

生命の樹はいのちの歴史

樹の根元にあるのは、アメーバーなどの原生生物。そこから上へ向かって三葉虫や魚類、恐竜、そして人類と生命の進化の過程を表しています。樹の周囲をめぐる階段を進化の過程を見ながら上がっていくので、一緒に進化していくような気分に。半世紀の間に生物模型の多くは失われていたり、傷んでいたそうですが、当時のメッセージをそのまま生かす形で、再生しています。岡本太郎の「EXPO’70のプロデューサーを引き受けたとき、私はその中核に人間であることの誇り、生きていることの喜びを爆発させたいと思った」という言葉が胸に響きます。

アメーバーなどには、中にLEDライトを仕込む最新の技術が使われ、より生命力を感じる表現になりました。中央の樹の幹は、手を加えずほこりを落としただけだそう。約50年も前に、このような壮大な作品を生み出していたことに驚かされます。岡本太郎は、「人間の身体、精神のうちには、いつでも人類の過去、現在、未来が一体となって輪廻している」と語りました。

階段を上がっていって間近で見ると、より迫力ありますね。

あえて完全な再生を行わず、風化した状態のユニークな展示もあります。こちらのゴリラは、今は頭の部分が欠損して金具が見える状態ですが、大阪万博当時はあごの部分が電気で動いていたそう。長い年月が経過したことが実感できますね。

樹の最上部となる「太陽の空間」。樹の先端部分が突き刺さっています。じっと見ていると、引き込まれていきそうです。

太陽の塔は、地上30メートル上空に架けられた大屋根を突きぬいた形で立っていました。これは、太陽の塔の右腕の内側の部分です。大阪万博当時はここにエスカレーターが設置され、腕の先端から大屋根内部への通路になっていたそうで。信じられない構造にただただ、驚きです。

「太陽の塔内部再生」事業の寄附金募集では、2375件、目標の1億を超える約1億5千万円もの多額の寄附金が集まりました。人々の太陽の塔への関心の高さと愛着が感じられます。「内部公開は、大阪万博のレガシーの継承が大きな目的です。大阪万博の熱気が感じられる展示になっています」と藤間さん。親子三世代で来る人や、アートに興味のある若者など様々な人が内部見学に訪れているそうです。リピーターが多いというのも、納得。圧倒的でパワフルなアートは、何度でも見たくなる魅力を秘めています。

今回初めて太陽の塔の中に入って、力強いエネルギーを感じました。約50年前の熱気が覚めることなく、現在も生き続けている印象です。帰りは、ショップで「壁は自分自身だ」の岡本太郎のメッセージ入りマグネットをお土産に購入。元気をもらいたい方、お勧めです!

ライトアップされた太陽の塔

毎年夏の夜は、万博記念公園のイルミネーションでライトアップされます。暗闇の中でミラーボールが光輝き、太陽の塔とのコラボレーションは、昼間とは違った趣きです。2019年は8月25日(日曜)まで開催されます。

太陽の塔 基本情報

住所:〒565-0826 大阪府吹田市千里万博公園1-1
開館時間:10時~17時(最終受付16時半)
休館日:水曜日定休(2019年8月14日は開館)
料金:大人700円 小、中学生300円(別途自然文化園入園料が必要)

※内部見学は、前日までの予約が必要。予約は太陽の塔オフィシャルサイトで受付
※外観の見学は、自然文化園入園料のみ(大人250円 小、中学生70円)
※2019年9月30日まで当日券の試行販売を行っています。予約に空がある場合のみ当日券を販売。電話での空き状況確認はできないので、ご注意下さい

公式ホームページ

 

書いた人

幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。一時勘違いして舞台女優を目指すが、挫折。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。十五代目片岡仁左衛門ラブ。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。