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2019.09.04

【沖縄】フォアグラ?からすみ?奇跡の「鍾乳洞貯蔵熟成豆腐餻」を試してびっくり!

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わたしは食文化ジャーナリストとして日本各地の食の取材を行っている。いま、沖縄の伝統食が、プレミアムな商品となって話題を呼んでいるという噂を聞いて、現地を訪ねてみた。

「鍾乳洞」で作られた絶品の豆腐餻

沖縄の伝統食・豆腐餻。豆腐を紅麹、泡盛などを用いた漬け汁で熟成させた発酵食品は、もともとは琉球王朝時代に、王族が食べていた料理だ。いまではさまざまなメーカーから販売されているが、なんと「鍾乳洞」で作られた絶品の豆腐ようがあると聞いてたずねてみた。

向かったのは本島北部に位置する金武町の「インターリンク沖縄」。同社が運営する「カフェレストラン長楽」で専務の豊川明佳さんが出迎えてくれた。

「わが社の『鍾乳洞貯蔵熟成豆腐餻』は、たんなる沖縄の観光土産ではなく「おもたせ」になるような、ワンランク上のお土産を作りたいと開発した商品です」と豊川さん。

鍾乳洞貯蔵熟成豆腐餻「うみないび」約1年熟成

一般的な豆腐餻は紅麹の色合いであることが多いが、長期熟成した豆腐餻は褐色

究極の豆腐餻を作るべく研究を重ねたのは弟の善規さん。「ル・コルドン・ブルー ロンドン校」でフレンチを学び、カフェレストラン長楽のシェフを務める。「豆腐餻は植物性とは思えない、豊かな旨みがあるのが魅力。ただし、クセがある、泡盛の香りがきつい、と苦手な方もいます。試行錯誤してこれは、と思うものを完成させるために、6年の月日を要しました」。

乾燥させた島豆腐を、金武町の泡盛を使った古酒、米麹、紅麹をブレンドした特製の漬け汁に漬け込む。そののち、最高の状態で熟成させるために目をつけたのは「鍾乳洞」だった。

通年18℃の鍾乳洞で1年以上長期熟成

金武町には20ヶ所もの鍾乳洞があり、インターリンク沖縄では泡盛を熟成させて古酒を作る蔵として使用していた。

「鍾乳洞の中の気温は通年、18℃度前後。泡盛の長期熟成に最適の温度です。この環境であれば、豆腐餻を長期間にわたって貯蔵し、熟成できるのでは、と思ったんです」。

一般的に豆腐餻の熟成期間は、3ヶ月。ところが、鍾乳洞であればなんと1年以上の熟成が可能だったのだ。

インターリンク沖縄では、「鍾乳洞見学ツアー」も行っている。地下30メートルへと続く長い階段を下りると、そこには長さ270メートルという洞窟。龍神信仰発祥の地として古くから人々が祈りをささげた拝所もある。


そして、一面に1万本を越える泡盛が並ぶ姿は圧巻だ。

インターリンク沖縄では、泡盛の5年、12年のボトルキープサービスを行っている。夢やメッセージを託した泡盛がずらりと並ぶ

洞窟内は、30℃を上回る外の暑さとはうって変わって、ひんやり涼しい。じつは通気性もよく、空気が淀むこともないのだそう。「天然のワインセラー」で、10年熟成した泡盛の味わいは、香り高くまろやかな仕上がり。

貯蔵されている泡盛は地元「金武酒造」の「龍」

「口に入れた瞬間の味わいが、ほかの古酒とまるで違います」と善規さん。43度という度数なのに『とんでもなく、まるい』味わい。きめ細やかな熟成のなせる技ですね」