【三重】江戸の庶民のドリームツアーお伊勢参りって何だ? 伊勢神宮 外宮内宮など参拝ルートを解説

【三重】江戸の庶民のドリームツアーお伊勢参りって何だ? 伊勢神宮 外宮内宮など参拝ルートを解説

「お伊勢参り」といえば、江戸時代の庶民にとっては一世一代のドリームツアー。電車も車もホテルもない当時は一生にただ1度行くことも難しく、地域の代表者に思いを託す場合もありました。自由に旅行や観光できない時代でも、お伊勢参りだけは許されたのですから、伊勢神宮がいかに信仰を集めていたかがうかがえます。

当時は、まず夫婦岩のある二見浦(ふたみうら)で禊(みそぎ)をして穢れを落とし、外宮(げくう)と内宮(ないくう)を参拝。そして朝熊ヶ岳(あさまがたけ)を登るのが、お伊勢参り、おかげ参りのフルコース。今回は、伊勢神宮の中でも外宮と内宮の歩き方をマップ付きでご紹介します。

まずは知りたい、伊勢神宮へ参ることの意味

「お伊勢さん」と親しみを込めて呼ばれる伊勢神宮。正式には「神宮」といい、8万社を超す日本の神社の中心的存在です。日本人の総氏神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が鎮座する内宮は、紀元前4年に五十鈴川(いすずがわ)のほとりに御鎮座し、その約500年後には豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る外宮が、内宮から約5㎞離れた山田原(やまだのはら)に御鎮座しました。このふたつのお宮をはじめ、14の別宮、43の摂社、24の末社、42の所管社からなる、合計125社の総称が伊勢の「神宮」です。

日本では、古代よりすべてのものに魂が宿ると考えられてきました。言葉に宿る魂を言霊(ことだま)というように、木には木霊(こだま)、米には稲霊(いなだま)、国には国霊(くにだま)が宿っているのです。伊勢神宮が20年に一度社殿や御装束神宝の新調を繰り返してきたのは、常に若々しく永遠を目指す“常若(とこわか)”の思想から。神様が居る場所としてふさわしいようにと、1300年もの間、式年遷宮を繰り返してきた、それが伊勢神宮なのです。

基本的に神社へは感謝の気持ちを捧げることから「お礼参り」ともいいますが、伊勢神宮ではこれを「おかげ参り」といいます。「おかげ」は「御蔭」の意味で、見えないところで生活を支えてくれる存在のこと。神仏のご加護から先祖や親、先生や仲間、衣食住、自然など、かかわるすべてのものへの感謝を捧げに神宮に参るのが「おかげ参り」でした。

近年では、願いをかなえ、力を授けてくれるパワースポットとしての神社巡りが人気ですが、神社本来の意味や伊勢神宮に参ることの意味を、令和という新たな年を迎えるこの時期にあらためて考えてみたいものです。

伊勢神宮参拝ルート

最高神である天照大御神より先に豊受大御神が祀られている外宮に参宮するのがよいとされるのは、「外宮先祭」という古くからのしきたりによるもの。後先が逆になってもお参りに支障はありませんが、2日間の日程で伊勢をめぐるなら、1日目に外宮へ、翌朝の早朝に内宮へ参るのがおすすめ。外宮も内宮も、1年中朝の5時から参宮することができます。

一、生活の基盤を守る豊受大御神が鎮まる「外宮」

日本人の生活に欠かせない米をはじめとする食物の神であり、あらゆる産業の守護神として敬われる豊受大御神を祀る外宮。正式には「豊受大神宮」といいます。こちらは内宮がつくられた約500年後、第21代雄略天皇が「丹波国の食事の神、等由気大神を伊勢に呼び寄せるように」と天照大御神の御神託を夢で受け、内宮に近い山田原の地に新たに造営。豊受大御神を迎えました。

外宮の歩き方

表参道から火除橋を渡って一の鳥居をくぐれば、そこはもう神聖な伊勢神宮の森。食物や産業など生活の基盤をつかさどる豊受大御神が祀られた外宮で、日常への感謝を捧げましょう。豊受大御神を祀る正宮に次いで重要なお宮が「別宮」。125の宮社すべてを一度に巡るのは困難でも、外宮、内宮の宮域内にある別宮にはぜひお参りしたいもの。それぞれ鎮座する神様ごとに、感謝の意と今後の平穏をお祈りしましょう。ゆっくり参拝しながら1周しても1時間弱。2013年の式年遷宮を記念して開館した「せんぐう館」へもぜひ!

1.まずは手水舎で身を清める
左側通行の火除橋を渡り、二見浦での禊の代わりに手水舎で手と口をゆすいで。軽く一礼したら一の鳥居を抜けて神域へ。

2.森の参道をゆっくり進む
街中から突然森の中へ、といった趣の参道。30~40mにもなる杉や楠などの大木が日をさえぎり、夏でも空気はひんやり。

3.正宮で豊受大御神に参る
檜が香りたつ新宮、正宮へ。天照大御神の食事をつかさどり、食物やさまざまな産業の守護神には、日々の生活の感謝を。

4.外宮第一の別宮・多賀宮へ
亀石を渡り、左手の98の石段を登ると、豊受大御神の荒御魂(活発で積極的、力強い働きをする神)を祀る多賀宮(たかのみや)。

5.宮域を守る地主神・土宮へ
杉木立に守られるように立つ、土地の神様の御社。豊受大御神が鎮座する以前から土地を守ってきた大土乃御祖神(おおつちのおんそじん)を祀っている。

6.風雨をつかさどる風宮へ
農作物の生育と順調な風雨をと祈りが捧げられてきた風の神様、級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)を祀っている。

7.別宮の参拝は遥拝所からも
100段近い石段を登るのが困難な人や、時間がない参拝者のために設けられた遥拝所。御社の前と同じ神聖な気持ちでお参りを。

8.神楽の奉納やお守りの授与
お参りがすんだら神馬に会いに行ったり、神楽殿でお札やお守りをいただいたり。神楽や特別参拝はひとりでも申し込み可能。

9.せんぐう館で式年遷宮を知る
舞楽の舞台が常設された勾玉池(まがたまいけ)のほとりにある、式年遷宮の資料館。外宮正殿の原寸模型や、神宝の製作過程の展示などもあります。

二、日本最高位の神様・天照大御神の神域「内宮」

正式には「皇大神宮(こうたいじんぐう)」という内宮。国生みの神である伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)から誕生した神々のなかで最も尊いとされる三柱神のひとり、天照大御神を祀ります。 最高神として八百万(やおよらず)の神々が暮らす天上界を統治していた天照大御神は、孫の邇邇芸命(ににぎのみこと)に地上界を治めさせることにしました。その際に授けた三種の神器のうち、「自分の御魂として祀るように」と命じたのが八咫鏡(やたのかがみ)。これは天照大御神の御神体として、現在も内宮正殿に祀られています。

内宮の歩き方

日本の総氏神である天照大御神を祀る内宮へは、俗界と聖界との架け橋で内宮のシンボルでもある宇治橋を渡ります。水と森、山に守られた内宮は、外宮とは趣が異なる聖地。125社を連ねる伊勢神宮の中心で、生命の源をつかさどる太陽神にお参りしましょう。神聖な空気を吸いながらゆっくり参拝するには、1時間から1時間半必要です。

1.宇治橋を渡って神域へ
式年遷宮同様、20年ごとに架け替えられる宇治橋。右側通行の橋を渡りながら、ゆったりと蛇行する川の流れや、広々と連なる山との景観の美しさを楽しみたい。

2.玉砂利の参道神苑を進む
宇治橋から正宮を目ざすには、まずは広々とした神苑を歩く。春と秋の公開舞楽などの行事はここで行われる。

3.五十鈴川で清める
元禄5(1692)年に徳川綱吉の母である桂昌院(けいしょういん)が寄進したもの。天気のいい日はこの御手洗場で手や口をすすいでも。

4.正宮で天照大御神に参る
参道をまっすぐ進み、水の流れのような青い石の階段を上がると正宮。御幌(みとばり)の奥先の正殿に、御神体である御鏡(みかがみ)が祀られている。

5.御稲御倉で神社建築を見学
正宮の石段を下り、荒祭宮(あらまつりのみや)へ行く途中に、御稲御倉(みしねのみくら)、外幣殿が並ぶ。神明造りを間近で見られるのはここ。

6.内宮第一の別宮・荒祭宮へ
別宮のなかで最上格なのが、天照大御神の荒御魂を祀る荒祭宮。外宮の多賀宮同様、2013年に遷宮を終えている。

7.島路川の向こう、風日祈宮へ
正宮への参道を横切り、橋を渡って風日祈宮(かざひのみのみや)へ。鎌倉時代の元寇(げんこう)時に神風を吹かせて日本を守ったという、風の神様を祀る。

8.神楽の奉納やお札は神楽殿で
神楽の奉納や祈禱などはここで。併設された授与所では、御札やお守りのほか、神明造りのミニチュア社殿型神棚なども扱う。

9.神馬や神鶏にもごあいさつ
内宮、外宮には、皇室から授かった神馬が2頭ずつ。1日、11日、21日の朝8時ごろ、正宮に参る神馬牽参(しんめけんざん)が行われる。

伊勢神宮 基本情報・アクセス情報

伊勢神宮へのアクセスは、JR及び近鉄の伊勢市駅から徒歩で約10分。
外宮住所:三重県伊勢市豊川町279
内宮住所:三重県伊勢市宇治館町1
参拝時間:
10月・11月・12月:5時~17時
1月・2月・3月・4月・9月:5時~18時
5月・6月・7月・8月:5時~19時
※12月31日~1月5日の22時までは終日参拝が可能
サイトURL:https://www.isejingu.or.jp/index.html

イラスト/なかだえり 撮影/篠原宏明

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