和食に欠かせない昆布。選び方・保存方法・下準備など、おいしく食べる秘密を紹介!

和食に欠かせない昆布。選び方・保存方法・下準備など、おいしく食べる秘密を紹介!

目次

突然ですが、11月15日は「昆布の日」であることをご存知でしょうか?「育ち盛りの子どもが栄養豊富な昆布を食べて元気に育つように」という想いから、1982年に日本昆布協会が定めたそうです。

お鍋やおでんが美味しく感じられる季節になると、よく登場するのが「昆布」。他にはないやさしい味わいの出汁が出ることから、和食には欠かせない食材です。

ちなみに私自身は「昆布の消費量全国No.1」の富山県出身の両親のもとで育ったこともあり、昆布が大好き。その「好き」がこうじて、2016年から「昆布大使(日本昆布協会認定)」となり、料理教室やコラム執筆などを通して昆布の魅力を伝える活動をしています。

活動するなかで「美味しい」「ぜひ使ってみたい」という好評のコメントだけでなく、「何となくハードルが高い」「使い方がよく分からない」という悩みや疑問の声もよく届きます。

そこで皆さんのよくある疑問をまとめて、昆布企業さんにインタビューをしてきました!知っているようで知らない昆布の魅力をたっぷりとお届けします。

さっそく、昆布のよくある疑問をインタビュー!

今回インタビューに伺ったのは、株式会社ヤマコンさん。愛知県名古屋市熱田区に本社がある、創業68年の企業です。家庭用や業務用に昆布商品を販売するほか、昆布関連のイベントへの出展、小学校向けの食育活動など幅広い事業を展開されています。

「昆布の美味しさは分かっていても『ハードルが高い』『難しそう』という声も多くて…」とインタビューの経緯を少し緊張しながら話し始めると、代表取締役副社長の山下久美子さんからはこんなお返事が。

「そうなんですよね、その気持ちはよく分かります」「最近の人は仕事や育児などでみんな忙しいから、美味しさを伝えるだけでは広がらない。私の会社では『時短』『簡便性』ということも大切にしていますよ」

こちらで働くパート従業員のほとんどは家庭を持つ主婦の方々であり、新しい昆布商品を企画する際には、必ず従業員に試してもらいアンケートなどで意見を聞くようにしているのだとか。山下さんは「一般的な家庭の食生活の現状もよく分かっている」とのこと。

こう語る山下さんに何だかホッとしながら、インタビューが始まりました。

まずは、昆布についてのよくある6つの疑問から。

1.昆布の選び方

―最初に、昆布の選び方についてお聞きしたいです。スーパーなどの昆布売り場に行くと種類や値段もいろんなものがあり「どれを選んだらいいか分からない」という方が多いです。「最初に使うならこれ」という初心者の方へのおすすめはありますか。

山下さん:難しく考えずに、自分の好みで選ぶのが一番です。昆布は「日高昆布」「真昆布」「羅臼昆布」「利尻昆布」とった種類だけでなく、等級や収穫された浜によっても味が違います。ただ万能選手という意味では「日高昆布」かな。煮物や味噌汁など幅広い料理に使いやすいですよ。

―「真の昆布」「昆布のなかの昆布」とも呼ばれることから「真昆布」を手に取る方も多いと思いますが、こちらはどうなんでしょう。

山下さん:真昆布は主に出汁用なんです。出汁を取った後の昆布は固くて食べにくいので、驚く方も多い。種類によって主な用途が違っていて、昆布の袋などにも書いてあります。購入する前に確認してもらった方がいいですね。まずは食べやすい日高昆布から始めて、その後いろいろな種類を試してみるのはどうでしょう。

2.保存方法

―続いて、保存の仕方について。「カビが生えるのが心配なので、冷蔵庫に入れている」という声も聞くのですが、これはどうなんでしょうか。

山下さん:基本的には常温で保存すれば大丈夫。昆布は乾物なので、家庭で保存する場合に腐ることはほとんどありません。ただ湿気には弱いので「水分が付かないように」という点は気を付けてほしいですね。我が社では、(梅雨がないという意味で)北海道の倉庫で昆布を保管しています。

―ちなみに私は、昆布を購入したら使いやすい大きさに切って、密閉できる容器に入れて保存しています。

山下さん:最近は、チャックシール付きの袋に入って売られているものも多いです。これなら、わざわざ詰め替える必要もなくラクですよね。

3.出汁を取った後の利用法

―教室などで昆布出汁を紹介すると、出汁を取った後の昆布の再利用についての質問がとても多いです。「昆布の佃煮」などのレシピもよく紹介されていますが、少量の昆布だと作るのが面倒という声も。山下さんおすすめの、簡単な利用法があれば教えてほしいです。

山下さん:「簡単」という意味では、出汁を取った後の昆布をそのまま食べてみてはどうでしょう?特に味付けをしなくても美味しいですよ。我が社では、始めから一口サイズにカットした「一口昆布」という商品や「食べる昆布シリーズ」といった商品を販売しているのですが、美味しい出汁も取れるし、具材にもなるということで大変好評です。炊き込みごはんに加えて、丸ごといただくのもいいですよね。

―なるほどですね。ちなみに、昆布をそのまま食べる料理でおすすめはありますか。

山下さん:簡単なものだと、細かく切った昆布とツナを合わせて甘辛く煮るものや、魚の代わりに豚肉を昆布で巻いた昆布巻きもよく作ります。油分の多い食材も、昆布と組み合わせることでさっぱりといただけます。

―たっぷり昆布が食べられそうですね!

4.下準備「固く絞った布巾で拭く」

―昆布を使う際の準備として「固く絞った布巾で拭く」というプロセスをよく見かけます。このひと手間はやはり必要なんでしょうか。

山下さん:もともとは「汚れをふき取る」という意味から来ているんですよ。昆布が収穫された後、乾燥や袋詰めなどの過程で人の手に触れています。でも最近は機械化が進んで、清潔な環境で商品がつくられていることも多いので「このひと手間がどうしても必要」とは言えないかもしれませんね。

―昔からの習慣が残っているという意味ですね。

山下さん:そうです。ちなみに、昆布に付着した白いものは「マンニット」と呼ばれる甘さのある旨味成分。カビなどの有害な成分ではないので、安心してくださいね!

5.昆布は味が薄い?

―「昆布出汁は味が薄い」「家族が食べてくれない」という声を時々聞くのですが。山下さんの周りでもそういう声はありますか。

山下さん:ありますよ。化学調味料や出汁パックなどの味に慣れてしまっていると、昆布出汁のやさしい美味しさは分かりにくいかもしれません。あるいは、昆布を使う量が少なかったり、扱い方が違っていたりする場合もあります。

―昆布の扱い方とは何でしょう?
山下さん:昆布は、表面と切り口から旨味成分が出ます。旨味を出やすくするために、細かくカットしたり切り込みを入れたりする方法もあります。ただし、旨味と一緒に雑味や粘りも出ることがあるので、料亭の汁物のような澄んだ出汁を取りたい時には不向きかな。用途に応じて使いけするといいと思います。

―たしかにそうですね。細かく刻んだ昆布からは、出汁がしっかりと出ますね。

6.沸騰直前で取り出す?

―いよいよ最後の質問です。昆布出汁を取る時に「沸騰直前で取り出す」のが正式な作り方だと思いますが、この過程はどうしても必要なのでしょうか。「味噌汁に昆布がそのまま入っている家庭で育った」という方も多いと思うのですが。

山下さん:沸騰直前に昆布を取り出すのは「えぐみが出るのを防ぐ」ため。飲み比べてみると、その違いが分かると思います。ただ、家庭などで昆布を使う場合にはそのまま入れっぱなしでもいいかもしれませんね。それよりも、昆布を気軽に使ってもらえたら嬉しいです。

―お話を伺って、知っているようで知らない昆布の使い方がよく分かりました!本などで「昆布の正式な使い方」の知識を得ることも大切ですが、手軽に美味しい出汁が取れるのが昆布の魅力ですね。山下さんがおっしゃる通り、もっと気軽に昆布を味わっていきたいと思います。

「未来のお母さん、未来のお父さん」のための食育活動

ヤマコンさんでは、昆布を使った食育活動にも力を注いでいます。小学校へ出向き、昆布出汁の飲み比べや、全長10メートルほどの昆布に触れる体験などを行っています。

また、来年1月には小学校の先生向けの昆布食育講座を開催予定とのこと。

参加対象である先生たちの多くは20代後半から30代前半で、自分で昆布を使ったことのない人も多い世代。先生たちから「子どもたちに昆布の魅力を伝える前に、自分たちが昆布のことをよく知らないので教えてほしい」という声があり、日本昆布協会の東海支部から依頼を受けて講座を開催することになったのだとか。

山下さんは、「昆布のやさしい美味しさを知ってもらう」「未来のお母さん、未来のお父さんのための食育活動」という想いで現在準備を進めています。きっといろんな質問が飛び交う、実りのある時間になるんだろうなと……私もお手伝いがてら参加したいと思います!

いのちの始まりにも昆布を

話が盛り上がってきた頃、ふとこんな話になりました。

「お腹に赤ちゃんが入った時に、昆布を手に取る人ってすごく多いんですよ」

それまでは外食や出来合いのもので食事を済ませていた人が、身体のことを急に考え始めた時に、身近なようでいて身近ではなかった「昆布」の存在に気が付く。「そのタイミングで昆布を使い始めるのも大歓迎だけど、できればその前から昆布に親しんでもらいたい」と山下さんは考えています。

この話を聞いて、助産師グループ「自然Style」さん主催の離乳食教室でお話した時のことを思い出しました。昆布のおやつと昆布出汁を試食を用意したところ、参加したママにも赤ちゃんにも大好評!昆布のおやつを一生懸命に食べる赤ちゃんの姿や、昆布について熱心に質問するママの姿に、強く心を打たれました。

実はこの経験が、今回の記事を書く最初のきっかけでした。

「人は海から生まれた」という言葉があります。出産や育児というタイミングで昆布を使い始める人が多いという話に、何か神秘的なものを感じるのは私だけでしょうか。昆布出汁を飲んで「ほっとする」と感じる方も多いと思いますが、海のなかで育った昆布は、普段私たちが忘れがちな「原始的な感覚」に届く力を秘めているような気がしています。

大きくなっても忘れない昆布の味

昆布企業の長女として生まれ、幼い時から昆布の香りに親しみ、昆布のおやつを食べて育ってきた山下さん。そんな山下さんに、昆布にまつわる心に残るエピソードをお聞きしてみました。

「会社の前で中学生から『おはよう』と声を掛けられたことがあって。『誰だったけ』と思っていたら、小学校の食育活動で講師として呼ばれた時に、昆布出汁を伝えたお子さんだと分かったんですね。数年経っても覚えていてくれたことの嬉しさと感激で、とてもびっくりしました。」

この話を聞いた時、昆布出汁の美味しさはもちろんのこと、山下さんの人を包み込むような温かい雰囲気も、子ども心に印象深く残っていたんだろうなと感じました。

さらに今後について尋ねてみると、こんな言葉が返ってきました。

「昆布屋に生まれて、昆布のおかげで今まで生活してこられた。若い時は家業から離れていたこともあったけれど。今は、昆布の素晴らしさを伝えていくことが私の役割なんだろうなと。最近そう思うことが多いです。毎日動き回っていますよ(笑)。」

内から外から巡りを良くする昆布パワー

「類は友を呼ぶ」ということわざにもある通り、私の周りにも昆布が好きな人がたくさんいます。今回のインタビューで山下さんとお話をしながら、昆布好きな人たちのことを思い浮かべていたら「みんな朗らか」という共通点があるような気がしてきました。

富山では定番の「とろろ昆布おにぎり」。おにぎりに、とろろ昆布をたっぷりと乗せるだけ。見た目はともかく(笑)、昆布のやさしい旨味とお米の相性は抜群!おにぎりが好きな方は、ぜひお試しを。

昆布は食物繊維が豊富に含まれることなどから、昔から「身体に溜まった老廃物を出す」と言われています。もしかすると……そこには便秘予防などといった身体的な意味だけでなく、「気持ちがスッキリする」という心理的な意味も含まれているのかもしれません。

また「よろこぶ」などの語呂合わせから、祝いの席には欠かせない食材である昆布。正月や節分などの「福茶」、おせち料理の「昆布巻き」などによく使われる縁起物でもあります。

昆布を使った定番料理「鯛の昆布締め」。昆布と魚は、やっぱりよく合います。鯛の刺身を昆布に挟んで寝かせておくだけなので、難しそうに見えて意外と簡単!

昆布は和食には欠かせない食材ですが、身体の内から外からいろんな意味で「巡りを良くする」食材とも言えそうですね。昆布がますます愛しくなってきました!

おでんや鍋料理といった冬の料理はもちろんですが、他の季節や普段の料理にも、昆布をもっと気軽に使っていきたいですね。
昆布パワーで皆さまが健やかに過ごせますように。

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<参考>
*株式会社ヤマコン
http://yamakon1953.co.jp/
*日本昆布協会
https://kombu.or.jp/
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