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2020.01.20

重要無形民俗文化財「高千穂の夜神楽」を体験!宮崎・高千穂神社の歴史とともに魅力をレポート

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夜神楽が毎晩行われているということを聞きつけた私。
人生初のこの体験を楽しみにやって来たのは、宮崎県高千穂町にある「高千穂神社」。

なんと、境内には、数々のパワースポットや国の重要文化財もあり、見逃せない見どころも多数!
松明や明かりで灯された日没後の境内も美しいので癒されます。

今回は、そんな高千穂神社の見どころと、この神社境内にある神楽殿で毎晩行われている高千穂神楽を中心にご案内します。

高千穂神社とは?

高千穂八十八社の総社である高千穂神社!


天孫降臨の地としての伝説や天の岩戸伝説など、様々な神々の神話が残る高千穂。
このエリアには、日本神話に登場する神々を祀る神社も多くあります。

昔は、高千穂には18もの村があったので、今の高千穂町よりも広範囲のエリアに及んでおり、このエリアは「高千穂郷」と呼ばれていました。当時の高千穂郷には、いろいろな神々を祀る神社が、なんと554社もあったんです。

これらの中で格が高い88社の神社は「高千穂八十八社」と言われており、高千穂神社は、神社の名前にこのエリアの名前の「高千穂」が入っていることからも分かるように、高千穂八十八社の「総社」となっているので、この神社を参拝すれば、この地方の神社を全部お参りしたことになる!という凄い神社でもあるんですね。

この神社が創建されたのは、今から1900年くらい前の弥生時代後半の垂仁天皇の時代。日本神話の天孫降臨の伝説などに登場する瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)など全部で16柱もの多くの神々がこの神社には祀られています。

高千穂神社の見どころ

荘厳でありながらも穏やかで優しい雰囲気に満ちた高千穂神社の境内には、数々のパワースポットや国の重要文化財などもあり、見どころも豊富です。

「本殿」と「鉄造狛犬」は国の重要文化財!


境内で目を惹く宮崎県でも他に無い大きさの立派な「本殿」は、1776年に再建された建物で、九州を代表する本殿の1つにもなっています。
五間社流造(ごけんしゃながれづくり)という建築様式で建てられており、この地に伝わる伝説を表した手の込んだ珍しい彫刻をはじめ、縁側の一部が小本殿となっているなど希少価値も高いので、2004(平成16)年に国の重要文化財になっています。


また、この本殿の両脇にあるガラス窓の中には、源頼朝が奉納したと言われている鉄で作られた一対の「鉄造狛犬」がそれぞれ鎮座しています。
この狛犬も国の重要文化財になっています。


さらに、本殿の東にある回廊奥では、高千穂神社の主祭神である三毛入野命(みけぬのみこと)が荒神の鬼八を退治したとされるこの地の伝説を木彫りで描いた「三毛入野命の彫刻」も見逃せません。

高千穂神社境内で見逃せない3つのパワースポット!

パワースポット1:ご神木「秩父杉」


樹齢800年を超えていると言われているご神木の「秩父杉」には、鎌倉時代に源頼朝に代わって天下泰平を祈願しにやって来た畠山重忠(はたけやま しげただ)が、自ら植樹した木であるという言い伝えが残っています。畠山重忠の出身地である「秩父」を取って、「秩父杉」と命名されたとのことです。

この杉の巨木は、疲れを癒してくれたり、人生の難関を突破できる力ややる気を授けてくれるご利益を期待できるパワースポットとしても人気があります。

パワースポット2:「夫婦杉」


2本の巨木の杉の木が根元で1つにつながっている「夫婦杉(めおとすぎ)」も樹齢800年を超えていると言われており、夫婦円満、子孫繁栄、縁結び、家内安全のご利益を期待できるパワースポットとして、ご神木「秩父杉」に並んで人気があります。
カップルで手をつなぎながら、この杉の周りを時計回りに3回周ると願い事が叶うらしいです。

パワースポット3:「鎮石」


高千穂神社の境内で最強のパワースポットと言われている「鎮石(しずめいし)」は、垂仁天皇の勅命で、伊勢神宮と高千穂宮が創建された時に使用された鎮め石とのことで、古来からそのパワーを発揮してきた石であると伝えられているものです。

この石に祈願すれば、個人的な悩みにとどまらず、世の中の乱れまで乱れた波動と共に鎮めることができるとされている驚きのパワーストーン。
この石は、本殿の東側の後ろに祀られています。

このパワーストーンに会いたいがために遠路はるばるやって来る人もいたり、道開きや開運のご利益などを期待して、この鎮石をスマホ等の電子機器の待ち受け画面としている人も少なくないそうです。

陽が沈んだ後の境内は、ノスタルジックで美しい!


11月22日、23日を除き、毎晩、高千穂神社の境内にある神楽殿で行われている「高千穂神楽」。
これを第一の目的に訪れた私は、夜神楽には早いまだ陽がある夕方に到着。
見どころが豊富にある境内は日昼もステキでしたが、個人的には陽が沈んだ後の境内の温かみのある照明や炎の明かりに包まれたノスタルジックで美しい光景が心に強く残っています。

陽が沈むと、駐車場から神楽殿へ続く裏参道にある数々のトーチ・スタンドに炎がともされるので、神楽殿まで幻想的な夜道を楽しめます。

また、参道の階段にも明かりがともされ、昼とは異なりノスタルジックな雰囲気も魅力。

境内にも明かりがともされ、本殿や社務所、神楽殿なども温かくて優しい光の空間に包まれます。


日没後も美しくて癒されますね。

重要無形民俗文化財「高千穂の夜神楽」


高千穂の夜神楽のルーツは、天の岩戸伝説で天鈿女命(あめのうずめのみこと)が天の岩屋にひきこまった天照大神を外に出そうとして、その岩屋の前で舞った踊りが起源とされています。

平安末期から鎌倉時代になると、この舞は、収穫の時期となる秋に豊穣への感謝と翌年の五穀豊穣を祈願して毎年、奉納されるようになったとのことです。このように800年を超える歴史を持つ伝統芸能の高千穂の夜神楽は、1978(昭和53)年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。


高千穂神社の境内にある神楽殿の中に開館早々入場!
早すぎたこともあり、中央前に置かれた舞台と300人ほど収容できる畳が敷かれただだっ広い空間は、まだ、ガラーンとしたまま。平日の夜だし、このまま他に誰も来なかったとしても上演されるのかしら?という不安までよぎってしまった…。
しかし、そんな不安をよそに開演前30分を切ると、近隣の宿などからマイクロバスや送迎車などでやって来た多くの観光客が次から次へと入場し、あっという間に超満員!

ここでは、33番もある長編の構成の「高千穂の夜神楽」中から「手力雄の舞(たぢからおのまい)」、「鈿女の舞(うずめのまい)」、「戸取の舞(ととりのまい)」、「御神体の舞」の有名な4番分の舞が行われます。
高千穂の集落ごとの神楽の舞手によって、毎晩、交代で本格的な舞が奉納されるのを体感できるので、貴重な経験となります。

「手力雄の舞」


手力雄の舞は、高千穂の夜神楽の24番にある舞です。天の岩戸伝説の中に登場する怪力の手力雄命(たぢからおのみこと)が、天照大神(あまてらすおおみかみ)が身を隠して引きこもった天の岩屋の場所を見つけ出すために、耳を澄ませて手掛かりになる音に耳を傾けたり、思案しながら、鈴と御幣(ごへい)を手にして天岩屋を探し当てる姿を表した舞となっています。見どころは、静と動の舞が見事に織りなされている点です。

「鈿女の舞」


鈿女の舞は、高千穂の夜神楽の25番にある舞です。天鈿女命が天の岩戸に身を隠して引きこもった天照大神を外へ誘い出そうとする姿を表した舞となっています。優雅で美しい舞でありながらも天鈿女命のキャラクターらしいこっけいな様子も見どころの1つです。

「戸取の舞」


戸取の舞は、高千穂の夜神楽の26番にある舞です。天の岩戸伝説で、天照大神が神々の誘いに乗ってついに岩戸を少し開けて身を乗り出してきた隙に、怪力の手力雄命が渾身の力を込めて岩戸を取り外す、力強く豪快な舞となっています。同じ神でありながらも「手力雄の舞」の時は、白い色をした顔でしたが、「戸取の舞」では、汗だくになりながら身の力を込めて岩戸を取り外すので、赤い色をした顔になっているのも見逃せません。

「御神体の舞」


御神体の舞は、高千穂の夜神楽の20番にある舞です。伊弉諾尊(イザナギノミコト)と伊弉冉尊(イザナミノミコト)の夫婦神が、その年に穫れた穀物を使って仲睦まじくお酒を作って神前に奉納する姿を表した舞となっており、五穀豊穣に加えて、夫婦円満、子孫繁栄の祈願も込められています。

◆「高千穂神楽」の基本情報
会場:高千穂神社境内にある神楽殿
受付時間:チケットは、事前予約は一切なく、毎晩午後7時から神楽殿で受付ます。
料金:1名700円(小学生未満は無料、20名以上の団体割引あり)
開演時間:20:00から21:00まで

「高千穂夜神楽まつり」や「町内19の集落で行われる夜神楽」もあり!


高千穂神社の境内では、11月22日と23日には、毎年、「神話の高千穂夜神楽まつり」が開催され、この両日には、毎晩奉納されている4番分の高千穂神楽ではなく、33番分の全部の高千穂の夜神楽が2日に渡って奉納されます。

この夜神楽のお祭りは、22日には18時から23時まで行われ、23日には10時から23時まで行われます。なお、観覧料金は無料となっています。
本格的な夜神楽を抜粋無しに全部鑑賞したい人は、この日に合わせて訪問するのがおすすめです。

また、この日に都合がつかない人は、毎年、高千穂町内にある19の集落で11月中旬から2月上旬にかけて行われている33番の高千穂の夜神楽もおすすめです。
開催スケジュールは、コチラで参照できます。

書いた人

猫と旅が大好きな、音楽家、創作家、渡り鳥、遊牧民。7年前、ノラの子猫に出会い、人生初、猫のいる生活がスタート。以来、自分の人生価値観が大きく変わる。愛猫を連れ、車旅を楽しむも、天才的な方向音痴っぷりを毎度発揮。愛猫のテレパシーと自分の直感だけを頼りに今日も前へ進む。