巧みなメディア戦略で年商25億!オリエンタルカレーの味とアイデアに唸る!

巧みなメディア戦略で年商25億!オリエンタルカレーの味とアイデアに唸る!

それなりの時間生きているが、少なくとも日本人でカレーが嫌いという人に出会ったことがない。
辛さの強弱や具材への好き嫌いはあるものの、ラーメンと並ぶ日本の国民食の一つと言いきっても誰も異論は唱えないだろう。

そこまでカレーが普及した立役者と言えば、カレールゥだ。

にわかに信じられないかもしれないが、戦前の日本では庶民が家庭で手軽に作れるような料理ではなかった。
カレー粉は存在していたが、とろみのあるカレーにするためには小麦粉でルーを作ることから始めなければならなかったからである。和食がまだ主流だった時代、つまりは非常に手間のかかる料理であったのだ。

カレー粉やスパイスの複雑な調合なく、誰でも簡単にカレーを作れるようになったことは、カレーというメニューを一気に一般家庭レベルに普及させた。そんなカレールゥを日本で初めて販売したのが、株式会社オリエンタルである。

愛知県の一企業のチャレンジから日本の国民食カレーは始まった。
そんな歴史をここで改めて紐解いてみようと思う。きっとこの記事を読んだ後は、今日の夕飯はカレーになること請け合いだ。

そのものずばり「即席カレー」ここから始まった日本の国民食

愛知県稲沢市、ここに株式会社オリエンタル本社はある。
2015年に創業70周年を迎えている。

創業者である星野益一郎は、戦後この地で小麦や砂糖などの食料販売を細々と手がける事業家だった。そんな中、家庭科理として普及しつつあるカレーに着目する。そこで考案したのが小麦粉をバターや牛脂と炒め、純カレーと調味料全てが入った粉末状のカレールゥ「オリエンタル即席カレー」である。

この「即席カレー」は5皿分で35円。当時の公立小学校の教員給料がおおよそ300~500円、米1kgが20円、あんパン1個が5円だったというから、決して安くはない高級品だった。
しかし星野が思う以上に大ヒットし、瞬く間にお茶の間にカレーが普及するようになる。

アイディアマンそしてマーケティングのパイオニア、星野

想定以上の人気ぶりに、星野はこれを愛知県内だけではなく全国に販売を拡大していこうと画策する。そして、その時代には奇抜ともいえるアイディアを実行に移したのだ。

どんなアイディアか。
彼は4トントラックを改造し、専用の宣伝カーを製造。全国行脚の旅に出る。音楽を流し、人が集まってきたところでショーを見せ、最後にカレーを試食させたのだ。

娯楽はまだ少なかった時代、珍しいカレーまで試食できるというプロモーションは斬新だっただろう。当然、ハチの巣をつつくように人は集まり、多い時で1日1000個もその場で売れたという。最盛期には宣伝する芸人の数は約40人抱え(全て正社員だった)、宣伝カーも10台ほど保有していたそうだから、その規模感も半端ない。

星野のアイディアマンぶりはそれだけではない。

なんと、オリジナルの販促用グッズを制作し、集まった人々に配布したのだ。例えば風船は子供たちに、スプーンは主婦に大人気だったそうだ。今では当たり前ともいえる販促プロモーション手法だが、この時代にいち早く実行しているのだから恐れ入る。
事業家としてだけでなく、マーケッターとしてのパイオニアとしても星野の慧眼は光っていた。

ちなみに、この販促用スプーンは3000万本くらい製造されたらしいが、なんと今でも同社のサイトから購入することができる。

メディアを上手に使い、年商25億に

星野はメディア戦略も上手だった。ラジオ、テレビなどを駆使して、いち早くオリエンタルの名を全国に知らしめた。昭和30年頃にスタートした「唄うオリエンタルショウ」、夢路いとし・喜味こいしの軽妙な司会で人気を博した「がっちり買いまショウ」など人気番組のスポンサーなども行った。

「ハヤシもあるでよ~」

子供の頃、カレーかハヤシ、どちらがより好きかなどの会話をした覚えはないだろうか。

ハヤシライスとは、牛肉の薄切りをドミグラスソースで煮込んだ料理「ハッシュドビーフ」を祖とする料理だ。由来には諸説あるものの、カレーと同じくハイカラな料理であったことは確かだろう。

オリエンタルカレーは昭和37年にスパイス別添えの「マースカレー」を発売開始、同シリーズで「マースハヤシ」をリリースし、故南利明を起用したCMでこのセリフを言わせた。まだそこまでメジャーではなかっただろうハヤシライスと名古屋弁のインパクトは、瞬く間に流行になったことは想像に難くない。

今ではハヤシライスはどこかマイナーな印象もあるが、昭和の子供にとって、デパートのレストランでの御馳走は「(旗の立った)お子様ランチ」「カレー」そして「ハヤシライス」の三種の神器だった。
テレビの中の夢の世界と、ハレの日の美味しいもの。
そんな子供の夢にオリエンタルカレーが果たした役割は、けして小さくはなかったはずだ。

オリエンタルカレーが固形ルゥを製造しない、その深いわけとは

現代では、一般的なカレールゥの主流は固形ルゥである。
しかし、オリエンタルカレーが販売しているカレールゥはいまだ粉末カレーのみだ。

オリエンタルカレーは、最盛期の40年代前半には年商25億円、現在ではカレーだけでなく多角的に事業を展開しており、年商約80億円を誇る。できないわけではない。同社のこだわりだ。

40年代後半以降、インスタントカレーの主流は固形ルゥに変わっていった。扱いやすく、湿気にも強く保存も効く。いいことばかりのようだがそうではない。

というのも、固形ルゥはその形を保つために比較的融点の高い油脂を使う必要がある。その高融点の油脂(硬化油)や当初から添加物が健康上の問題になった時期があった。そのため、現在でもオリエンタルカレーは粉末ルゥにこだわり、できる限り自然な食品作りを目ざしているのだというのだ。

オリエンタルカレーは業務用から個性派まで、今でも様々な商品を製造販売している。しかし一貫して粉末の商品しかない。つくれないわけではない。逆に米粉のカレールゥなど斬新な商品は今でも積極的に作っている。トランス脂肪酸0で健康を気にする人には密かな人気らしい。

あれだけ破天荒な取り組みとチャレンジの歴史を持ちつつ、宣言カーしかり、オリジナルグッズしかり、オリエンタルカレーはユーザーのためという目線をぶれなくここまで来た。

ユーザーが楽できること
ユーザーを楽しませること
ユーザーを喜ばせること

そしてそのスタンスは未来にも続いていくのだろう。
そんなところが、いまだに愛される秘訣なのかもしれない。

株式会社オリエンタル https://www.oriental-curry.co.jp/

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